広島の“不屈の男”赤松が激白!セ界連覇カープの強さ

 
甲子園に呼ばれ、胴上げに加わった赤松。菊池(右)とともにガッツポーズ(撮影・鳥越瑞絵)

 (セ・リーグ、阪神2-3広島、24回戦、広島14勝9敗1分、18日、甲子園)昨年12月に胃がんを公表し、今年1月5日に胃の半分を切除する手術を受けた広島・赤松真人外野手(35)が、優勝を受けてサンスポのインタビューに応じた。7月に3軍練習への合流を果たし、復帰を目指す不屈の男が、連覇を決めたナインへ、そしてファンへ熱い思いを語った。(聞き手・柏村翔)

 --35歳の誕生日だった6日の阪神戦(マツダ)は、ファンが赤松選手のボードを掲げる中でサヨナラ勝ちした

 赤松 「(サヨナラ打の)会沢と試合後に電話をしました。『記念球を渡したい』って。みんながいろんな形で誕生日を祝ってくれて、『俺はまだ忘れられてないんだな』って思いました」

 --手術前に不安で寝られなかったりは

 「人間はいつか死ぬ。あした手術だからって不安になっても得は何もない。ならゆっくり寝た方がいい。僕はそういうタイプ。何でがんになったからって落ち込む必要があるの? 人生一回しかないんだから、僕は楽しく前向きに生きたい」

 --赤松選手が感じるカープの強さとは

 「自分が何をしたらいいかを分かっているから、明確に目標を立てられる。個人が上がってチーム力も上がる。新しい選手が(チャンスを)つかむ。あいつ何であんなにうまくなったんだ? それじゃ俺もとなる。その逆に“腐ったりんご”とかありますが、カープは1人がボンと出たらみんなが引っ張られていく。練習していない奴はヤベェと思う。だから練習して、またチーム力が上がるんです」

 --同じ外野手として鈴木とはよく話をした

 「基本だけ。誠也によくあるんですが(グラブの)下で捕る。レギュラーは慣れも疲れも出てくるから、パパッと、おろそかに捕ってしまうときがある。そこは気を抜くなよと。エラーしたときのことを考えていない。僕は守備固めで出る。そんなところで絶対に捕れないですよ」

 --丸、菊池がチームを引っ張っている

 「丸は考えるタイプ。頭がいい。キク(菊池)は本当にベンチ裏とかでキレる。ある若手が打たれてベンチでグラブを投げて怒っている。それをキクが怒る。『ここはチームが戦うところ。うるさいんじゃ』『なんすかっ』『裏こいや』。そんなことはしょっちゅう。本気で勝ちたいと思っているから起きる。いいことだと思います」

 --菊池は帽子のつばの裏に背番号「38」とマジックで書いている

 「うれしいですが、気を使うなよと。一番先に(がんを)伝えたのも菊池。一番信用しているから。電話では『ちゃんとやってんの?』とか、そんな感じですが、電話してくる前に嫁に『今、電話をしても大丈夫ですか?』と。『今は元気だからいいよ』と嫁が返してから『生きてる?』と電話をくれる」

 --昨年の優勝で、チームが浮かれることはなかった

 「僕は浮かれていましたよ、いい意味で。初回に3点とられても『はいはい、ハンディだから』と普通に言ってました。実際に逆転のカープになった。少し前までは1、2点とられると『逆転しようぜ』という声が出ない。『ハイ、ゴー』と言うだけ。うわべですよ。でも今は本心で、逆転できる、ハンディをあげているとみんなが思っている。相手も球場全体もそういう雰囲気になる」

 --振り返れば2008年1月に新井選手の人的補償で阪神から移籍

 「悔しい気持ちはまったくなかった。ワクワクした。(移籍は)スポーツ選手として当たり前のこと。不安もまったくなかったですよ」

 --新井さんはどのような存在ですか

 「新井さんが来てくれたから、チームがまとまって強くなった。黒田(博樹)さんもです。新井さんは雰囲気をつくるのがうまい。悔しくないのに悔しい顔をつくるのがうまいし、喜怒哀楽がスムーズ。そしてどんな選手にも、2軍の選手にも教えてくれます」

 --最後にサンスポ読者にメッセージを

 「僕は弱っていない。だから弱っている方々にパワーをあげたい。復帰してくださいという声で励まされてきたので、今は僕がこうやって動いていることで勇気づけられるように、恩返しできたらと思います。グラウンドに立って盗塁して、そうなれば最高ですが、戻れないときもある。そのときはごめんなさい。でも戻れるように努力は絶対する。あきらめることはしません」

★胴上げの輪「不思議な感じ」

 3軍でリハビリを行っている赤松は甲子園に呼ばれ、胴上げの輪に加わった。

 「不思議な感じです。かなり。自分は貢献できていないので複雑ですけど、うれしいです」。かつて阪神の一員としてプレーしたグラウンドでナインと一緒に喜びを分かち合った。7月11日から3軍として大野練習場で練習を開始。2軍合流を目指してトレーニングに励んでいる。「みんなが応援してくれているので僕も頑張ります」。この感動を力に変えて、復帰を目指していく。

★今は野球より家族の時間大事に…

 走りのスペシャリストの赤松は「どんな投手でも癖は絶対ある。リズムを見抜く。ピンチのときは息づかい、呼吸、目の動きが変わる。それをすぐノートに書く」と言い、その情報をチームに還元してきた。ただ、今はテレビ中継は「いち視聴者として見ています。本当は研究として見た方がいいんだけど、そうなると家でも野球、野球になっちゃうので、家族の時間を大事にしようと。今まで普通だったことが普通じゃなくなったから。会話するのも食事するのも楽しい。家族にはすごく感謝しています」と目を細めた。

★小林麻央さんブログから勇気もらった

 赤松は闘病中、同じくがんと闘い、正面から向き合ったタレント・小林麻央さんのブログを見ていた。「元気づけられるというか。僕なんて比較にならないレベル。大変な中でブログを更新して、笑顔で大丈夫ですよとアピールしている勇気に感動しました」。自身にも励ましの手紙が1000通以上届いた。

 「全部読みました。僕より大変な治療を受けている人もいる。ある人が、がんで余命何年と言われて山登りを始めて、末期がんに感謝していますと。がんにならなかったらこんな風景を見られなかったと。だから僕も、そう思うようになりました」と話した。

赤松 真人(あかまつ・まさと)

 外野手。1982(昭和57)年9月6日生まれ、35歳。京都府出身。平安(現龍谷大平安)高-立命大から2005年ドラフト6位で阪神入団。08年に、阪神にFA移籍した新井貴浩の人的補償で広島へ。10年にゴールデングラブ賞。昨年12月末に胃がんを公表。通算867試合で打率・249、21本塁打、144打点、136盗塁。1メートル82、75キロ。右投げ右打ち。既婚。年俸3600万円。背番号「38」

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