伊調千春、妹・馨と共に姉妹金メダル目指す
レスリング・全日本選抜選手権最終日(13日、東京・駒沢体育館)日本初、姉妹同時の金メダル獲りだ! 中京女大の「同門対決」となった女子48キロ級代表決定プレーオフで、昨年全日本選手権女王・伊調千春(22)が3−0の判定勝ち、坂本真喜子(18)を破り、アテネ切符を獲得した。女子63キロ級代表の妹・馨(19)とともに姉妹金メダルを目指す。男子は新たに6階級の五輪代表が決定。グレコローマン74キロ級はシドニー五輪銀メダリスト永田克彦(30)=新日本プロレス職=が2大会連続代表を決めた。〔写真:歓喜の涙。伊調千はセコンドに付いてくれた妹・馨に、「ありがとう」=撮影・尾崎修二〕
★自信のクリンチから活路開く
勝利を告げるブザーが鳴った瞬間、静かに下を向いた。セコンドについた妹の声を聞きながら闘った濃密な6分間を終えた伊調の前に、アテネへの道が開かれた。
「馨と一緒に練習してきたことが、できた。ありがとうと言いたいです。タックルを切る自信はありましたから」
かつて、伊調にとっては苦手だった坂本の姉、日登美直伝のタックルで攻めてくる相手を完ぺきに防いだ。両者無得点で迎えた第2ピリオドはクリンチ体勢からの開始。昨年51キロ級世界女王のパワーを全開、組み合った状態から一気に投げ倒し、3ポイントを奪取。昨年12月の全日本選手権と同様、自信のクリンチから活路を開いた。
★馨が専属コーチ
実家に近い八戸クラブで5歳からマットに立ち、京都・網野高から強豪の東洋大へと進むが、女子部員はわずか3人。練習不足に悩んだ。中京女大付高で大学生と練習する馨の話を聞き、東洋大を2年で中退。02年、親の負担を考えて奨学金をもらうため中京女大に1年生から入り直した。「馨は尊敬するアスリート」と言い切る。姉妹で出場した02年世界選手権は馨は金で、千春は銀。悔しくて泣き続けた。翌03年は姉妹そろって金メダル。だが、今年2月のクイーンズカップでは、馨が五輪代表を決めたのに、千春は敗れてプレーオフへ。そんなとき友人に言われた。「馨を1人でアテネに行かすの?」。目が覚めた。馨が専属コーチを買って出てくれた。「構えが高い。リラックスしろ!」。3歳下の妹の容赦ない叱責は、激励に聞こえた。
「馨と一緒に金メダルを獲ります」。姉妹で行くアテネ。女子4階級の決勝はそろって8月23日。日本で初めて、姉妹が同時に五輪金メダルをその手にする日がやってくる。(牧慈)
★坂本真喜子「北京五輪に行きます」
必殺技タックルを封じられ、坂本は潔く負けを認めた。試合後、必死に涙をこらえながら、「悔しいです。姉とやってきたことは出し切ったけど、相手が上でした」。大学に入学したばかりの18歳だが、負傷で五輪を断念した元世界王者の姉・日登美の思いも背負って闘った。「次は姉と一緒に北京五輪に行きます」とリベンジを誓った。
★そのとき
伊調姉妹の母・トシさん(55)は、親せきとともに応援。千春の勝利に、「姉妹そろって(五輪に)行けるなんて、最高です」と目を潤ませた。試合前、いつもは話もできないほどの気迫を見せる娘だが、この日は「私の服装のこととか、いろいろ会話できたので、リラックスしてると感じました」。アテネにも、もちろん応援に行くつもり。「これからお金をためなきゃ」と、周囲の笑いを誘っていた。
■伊調 千春(いちょう・ちはる)
1981年(昭和56)10月9日、青森・八戸市生まれ、22歳。京都・網野高から中京女大へ。兄の影響で5歳からレスリングを始める。昨年の世界選手権は51キロ級で初の金メダル獲得。1メートル57。 |
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■五輪の姉妹出場
日本選手では96年アトランタ五輪が戦後初めてで、バドミントンの単で水井妃佐子、泰子、複で宮村愛子、亜貴子のペアの姉妹2組が出場した。00年シドニー五輪はシンクロナイズドスイミングで米田祐子、容子が出場。レスリングの伊調千春、馨は昨年の世界選手権でともに優勝しており、アテネ五輪も姉妹で金メダルに挑む。 |
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★女子は全階級で金も?
五輪初採用の女子は4階級完全制覇を狙う。55キロ級の吉田沙保里、63キロ級の伊調馨、72キロ級の浜口京子は昨年の世界選手権をそろって制している。懸念は48キロ級。日本は最軽量級で95年を最後に世界選手権優勝を逃し続けている。現世界女王イリナ・メルニク(ウクライナ)を中心に、02年女王ブリジット・ワグナー(ドイツ)らがライバル。ただ、伊調千も今年1月のプレ五輪大会で優勝。元51キロ級のパワーを生かし、チャンスは十分だ。
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