笹本は1回戦敗退、不可解なビデオ判定

 男子グレコローマンの決勝トーナメント1回戦で、笹本睦(綜合警備保障)は、アルメン・ナザリャン(ブルガリア)に判定で敗れた。笹本は積極的に攻めたが、シドニー五輪58キロ級金メダリストのナザリャンに試合の前半でポイントを奪われ、主導権を握られた。



 「やり切れませんよ」。レスリング男子グレコローマン60キロ級の笹本が、泣きながら控室へ消えた。決勝トーナメント1回戦で手中にあった勝利が逃げていった。

 2−3とリードされた第2ピリオド、残りは10秒余りだった。五輪3連覇の懸かるナザリャンを持ち上げ、こん身の力で俵返しにいく。レフェリーは笹本の2点を示したが、ビデオ判定の末に2点をもらったのはナザリャンだった。

 試合巧者は、巧妙に左手を笹本の太ももに当てて防御していた。上半身しか攻められないグレコローマンでは明らかな反則だが、認められない。笹本の失点は、俵返しに失敗し、背中から落ちたことによるものとされた。スコアは4−3のはずが、2−5になっていた。

 「(太ももに)手が当たる感触はあった。でも、審判がそう思わないのならしょうがない」。敗戦から約1時間後、さっぱりした表情で振り返った。負傷した左目の上には、ばんそうこうが張られている。本心を隠したような笑顔がかえって痛々しい。

 3度目の対戦でナザリャンを初めて持ち上げた。「組んでみて強さを感じなかった。向こうの必死さもよく分かった」。差が縮まっていることを実感できたのがせめてもの救いだ。

 金星を逃したショックから、すぐに立ち直るのは難しいかもしれない。「結果がすべてだけど、4年間やったことは実になった。自信にもなった」。必死に前を見据えようとしていた。
(共同)


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