【バレーボール】日本、開幕6連勝で1位通過を決める

大山加奈 バレーボール・アテネ五輪世界最終予選第6日(15日、東京体育館)、アテネ五輪出場を決めた日本は、台湾を3−1で下し、開幕6連勝で1位通過を決めた。五輪本番でメダルを狙う日本だが、全敗中の相手に第1セットを先取される苦戦で課題を露呈。しかし、途中出場の大砲・大山加奈(19)=東レ=が持ち前のパワーで難局を打開し、勝利をもぎ取った。この日の結果で五輪出場12チームが出揃い、いよいよ五輪モード。“世界規格”の和製大砲が、ニッポン浮上の鍵を握る。〔写真右:途中出場で豪快なスパイクを決める大山。劣勢を挽回するには、大砲さく裂しかない=撮影・鈴木健児。同下:劣勢を気迫で食い止めた大山。1メートル87の体格で、世界と勝負する=撮影・鈴木健児

★前日までの笑顔は消える

 奉祝ムードがフッ飛んだ。柳本晶一監督のタイムを求める声が、慌ただしく響く。第1セット。粘られ、拾われ、気が付けば25−27。全敗中の台湾に、最強日本がセットを献上してしまった。

大山加奈 「全然ダメ。反省というのが考えられないほどダメ。部屋でゆっくり反省します」。指令塔のセッター竹下佳江は、ぶぜんとした顔で、自分とチームにダメ出しだ。逆転勝利で1位通過は決まったが…。「10年前の日本バレー(のようなチーム)に苦戦した。どこかに気の緩みがあった」と柳本監督。前日までの笑顔は消えていた。

★五輪参加国が出揃う

 この日までの結果で、日本に加えて韓国、イタリア、ロシアも出場権を得て、五輪参加国が出揃った。世界ランク1位の中国から、25位の台湾とほぼ同じ23位のケニアまで。全12チームを半分に割っての1次リーグをコンスタントに乗り切るには、格下の粘りに屈してはならない。本番への課題が浮上してきた。

 だが、この課題、力任せに打破してくれる選手がいた。途中出場して14得点した大山だ。モントリオール五輪で金メダルを獲得した時の主砲・白井貴子やイタリア・セリエAでも活躍した大林素子にも比肩できる和製大砲。身長1メートル80の白井、1メートル82の大林を上回る1メートル87の体躯は、外国勢にパワーで対抗できる。「チームの流れがよくないところで入ったので、盛り上げようと思った」と、敵の2枚ブロックを何度も強打で破壊した。

 大砲ゆえに調子に波があるのが難点。前日の韓国戦は出番なし。「五輪が決まったのはうれしいけど…」と、予選前にメンバー落ちした同級生の荒木絵里香と抱き合って、悔し涙まじりに泣いた。悔しさもぶつけて、豪打で台湾の粘りを断ち切った。前夜の韓国戦ビデオを見直し、早くも本番で当たるかもしれない相手の研究も始めた。「練習するしかない」。本番のレギュラー獲りへ、大アピールとなった。

★“世界規格”の大砲

 柳本監督は「我々が求めるのはアジアじゃないところを大山が見せてくれた」と“世界規格”の大砲だけには、及第点を与えた。本番でも、苦戦する場面はきっと来る。そんな時、頼れる存在はいる。きょうの最終戦でロシアに勝って全勝でアテネへ乗り込み、メダル奪取。『東洋の魔女』伝説の再現を目指す全日本には、世界の大山がいる。

◆和製大砲比較表◆
氏 名 大山 加奈 白井 貴子 大林 素子
出身地 東京都 岡山県 東京都
生年月日 1984・6・19 1952・7・18 1967・6・15
年 齢 19 51 36
サイズ 1メートル87、82キロ 1メートル80、72キロ 1メートル82、67キロ
所 属 東 レ 日 立 日立、東洋紡
出身校 成徳学園 片山女 八王子実践
五 輪
成 績
72年ミュンヘン銀
76年モントリオール金
88年ソウル4位
92年バルセロナ5位
96年アトランタ9位

★主将の吉原も反省しきり

 思わぬ苦戦。主将の吉原も反省しきりだった。「気の緩みではないですが、ひとつ先のロシア戦のことを見てたような感じがあった。苦しんだけど、勝ててよかった」。戦況を立て直すべく、コートではさかんに声を出し、チームを鼓舞。自身も第3セット終盤以外はほぼフル出場で13得点を挙げた。目の色を変えた闘将は「気を引き締めてロシアに向かっていきたい」と、全勝でのアテネ行きを誓った。

★ロシア、逆転負け

 16日の最終戦で日本と対戦するロシアは、イタリアと激しい消耗戦を繰り広げた。セットを先取したが、続く2セットは逆に奪われ、最終セットもジュースの末に落とし逆転負けとなった。カルポリ監督は「この予選で一番大事なのは、五輪での席を確保することなんだ」と言いながら、渋い表情だった。

 主砲のアルタモノワをリハビリに専念させている今予選。それでも、高さはあるチームだけに、日本は緻密なプレーが要求されそうだ。五輪への抱負を聞かれた同監督は、「金メダルを狙うよ」と言い切った。


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