【バレーボール】日本、タイをストレートで下して2連勝
アテネ五輪女子世界最終予選第2日(9日、東京体育館)で、アテネ五輪を目指す日本は、タイをストレートで下して2連勝。シドニー五輪翌年のアジア選手権で敗れた相手を寄せつけない、66分間の圧勝劇だ。昨年のW杯ではメンバーから外れたセンター大友愛(22)=NEC=が20得点の大活躍で全日本女子のレベルアップを証明。五輪メダルをゲットするために、全勝1位通過へと突っ走る。〔写真右:快勝の原動力・大友(中央)がコートで躍動し、相手を66分殺だ。同下:柳本監督からねぎらわれる大友(右)。柳本ジャパンは万全だ=撮影・尾崎修二〕
★イタリアを下した勢い
強い。大友の攻撃がおもしろいように決まる。負けじと栗原のバックアタック、高橋のサービスエースも飛び出した。一昨年の世界選手権女王イタリアを下した勢いそのままに、2連勝を飾った。「最後まで自分の持ち場をやってくれた」。柳本晶一監督は、12人を誇らしげに見やった。
日本の世界7位に対しタイは16位だが、侮れない。シドニー五輪の翌01年9月のアジア選手権・3位決定戦で敗れた。協会関係者がスコアを疑ったほど。史上初めて五輪の出場権を逸した衝撃から立ち直れない時期を象徴する、まさかの事件だった。柳本監督も「韓国の次に要注意」と警戒していた。ところがどうして、危なげない66分の快勝リベンジ劇だった。
★移動攻撃、速攻で20得点
「タイは負けた印象が強くて。忘れるために燃えるものがあった」。殊勲の大友が胸を張る。ライオンのように髪を振り立て、移動攻撃、速攻で20得点と決めまくった。19歳で全日本入りし、“タイ事件”も経験した。将来を期待されたが、日本が躍進した昨年11月のW杯は、直前に全日本を辞退していた。
海外遠征で力が出せない自分に悩んだ末のこと。母・直美さんが9月に、47歳の若さで亡くなったことも重なった。迎えた五輪イヤー。迷いから立ち直るきっかけも家族の死だった。いつも「全日本でがんばって」と手紙で励ましてくれた祖父・勇二さんが2月、死去。晴れ姿を天国に届けるため、もう一度、挑戦する決意をした。
セッター竹下とコンビを合わせるため、合宿中は毎朝6時から練習した。レギュラーを取り戻し、イタリア戦に続く活躍。この日は母の日。「毎日が母の日ぐらいの気持ちです」。墓前に勝利を捧げることができた。
自分もやりたいと思わせる求心力、復帰組を取り込んでさらに力を上げられる勢いが今の全日本にはある。「確実に星を重ねる方が緊張する」。監督は気を引き締め直した。「全勝1位通過」はメダルを見据えて監督が掲げる大目標。確かに見えてきた。 (結城 正)
★大友 愛(おおとも・あい)
1982(昭和57)年3月24日、仙台市生まれ、22歳。中1でバレーを始め、仙台育英高から01年NEC入り。同年秋全日本デビュー、02年世界選手権出場。柳本ジャパンでは03年6月のスイス、ロシア遠征以来約1年ぶりの全日本復帰。所属のNECでは杉山祥子とセンター線を組む。身長1メートル83、最高到達点3メートル12。
日本(7位)
2勝 |
3 |
25−10 |
0 |
タイ(16位)
2敗 |
| 25−14 |
| 25−20 |
| ※順位はFIVBランク |
|
▼アテネへの道
出場は12カ国。既に8カ国(中国、ブラジル、米国、ドイツ、キューバ、ドミニカ共和国、ケニア、ギリシャ)が出場を決定。今回の世界最終予選では、出場8カ国のうち、最上位国、アジア最上位国、それ以外の上位2カ国が出場権を得る。日本は4位以内に入るか、アジア4チームで最上位になれば五輪切符を獲得。連勝を続ければ、他国の結果によっては最短で14日にアテネ出場が決まる
■バレー・アテネ五輪女子最終予選順位表■
(9日現在) |
| 順 |
チーム |
勝点 |
勝 |
敗 |
得 |
失 |
| (1) |
ロシア |
4 |
2 |
0 |
6 |
0 |
| (2) |
韓国 |
4 |
2 |
0 |
6 |
1 |
| (3) |
日本 |
4 |
2 |
0 |
6 |
2 |
| (4) |
イタリア |
3 |
1 |
1 |
5 |
3 |
| (5) |
プエルトリコ |
3 |
1 |
1 |
3 |
4 |
| (6) |
台湾 |
2 |
0 |
2 |
1 |
6 |
| (7) |
タイ |
2 |
0 |
2 |
1 |
6 |
| (8) |
ナイジェリア |
2 |
0 |
2 |
0 |
6 |
| 【注】勝ち点は勝ちが2、負けが1。得は得セット、失は失セット。順位は(1)勝ち点(2)セット率(得セット÷失セット)(3)得点率(総得点÷総失点)で決定 |
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■世界最終予選・
全日本女子日程と結果■ |
| 月・日 |
対戦相手・結果 |
| 5・8 |
イタリア(4)
○3−2 |
| 9 |
タ イ(16)
○3−0 |
| 11 |
ナイジェリア(38) |
| 12 |
プエルトリコ(17) |
| 14 |
韓 国(8) |
| 15 |
台 湾(25) |
| 16 |
ロシア(5) |
【注】カッコ数字は最新
FIVBランク。日本は7位 |
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◆タイ・シーサムットナーク監督 「1、2セットともに日本のサーブが強く、レシーブが乱れて自分たちの攻撃に結び付けられなかった。日本は(前日対戦した)韓国よりも、攻撃力と総合力で上だと思う」
★ママ辻が初出場
ママさん選手として日本バレー史上初めて、昨年11月のW杯に続き全日本入りしたセッター辻知恵(34)が、第2セット途中で今大会初出場。「ミスもあったが、自分なりに練習してきたことは出せた」。スタンドでは所属チーム・茂原の監督で夫の智之さん(37)と長男・真一郎くん(2)が応援。母の日のこの日、「プレゼントはまだもらってないけれど、会えただけで十分です」と、母の顔に戻っていた。
★次戦の相手はナイジェリア
日本の次の対戦相手ナイジェリアは、強豪イタリア相手に第1セットでリードを奪う善戦。エグイマイ監督は「選手のコンデションはいい」と手応えアリの表情だ。
アルゼンチンの辞退により急きょ、今大会の出場が決まった。国内のバレーボール事情は用具不足が深刻で、国際バレーボール連盟(FIVB)からの指導や援助を受けている状況。同監督は「日本戦は若いチームにとっていい勉強になる。我々は死にもの狂いで日本に立ち向かう。これだけは誓う」と語った。
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