シドニー銅の岡本、アテネの1勝は遠かった…

岡本=左 テコンドー女子67キロ超級の岡本依子(32)=ルネスかなざわ=は1回戦でシドニー五輪同級金ダリストの陳中(中国)に5−7の惜敗。敗者復活戦に回ったが、同1回戦でカルモナ(ベネズエラ)に敗れ、67キロ級で銅メダルを獲得したシドニー大会に続くメダルには届かなかった。〔写真:敗者復活戦でカルモナを必死に攻撃する岡本=左。アテネの1勝は遠かった…=撮影・塩浦孝明



 勝ちたかった。10万人分の思いを背負っていた。「自分の夢はみんなの夢」。岡本の思いは砕け散った。

 「終わったなという感じ。(実力は)出せたような、出せなかったような…」。この階級で五輪連覇を狙う陳中との1回戦。1メートル69、67キロの岡本に対し、陳は1メートル80、70キロ。高さとパワーに屈した。3Rには左にスイッチしてのキックで追い上げたが、相手の長い足がスッと伸びてくる。5−7の惜敗。敗者復活戦も初戦で2−5で敗れ、1勝もできず、シドニーの67キロ級で手にした銅メダルにも届かなかった。

 「アテネで金メダルを獲ることが応援してくれた方への恩返しやと思っていたんですが…」。分裂、対立を続ける国内団体の内紛から、五輪出場権を持ちながら、アテネ行きを断念せざるをえないところまで追い込まれた。そんなピンチに両親、近所の人たち、所属先が立ち上がってくれた。集まった五輪派遣への嘆願署名は約10万人。大きな波が起きた。4月には日本オリンピック委員会が日本初の個人資格での特別派遣を決定。多くの支えで手にした五輪切符だからこそ、メダルで恩返しがしたかった。

 67キロ級から67超級への階級アップも実らなかった。2月のアジア地区予選で、圧倒的な強さを誇る本家の韓国勢が出場しない67キロ超級が金への近道との判断した。「ずっと水を飲み続け、何度も吐きそうになった」。10キロの増量には成功したが、パワーに対抗できる肉体改造ではなかった。

 来月6日で33歳。年齢的に、五輪は今回が最後となることが濃厚だ。だが、ここが終着点ではない。「将来は道場を開きたい。もっと多くの人にテコンドーのことを知ってもらいたいんです」。岡本にとって、アテネが新たな挑戦のスタート地点となる。

臼杵孝志


★そのとき★

 スタンドで応援した岡本の母・浩子さん(60)は「出られる、出られないという騒ぎで満足に練習できないこともあった。今までの道のりを考えたら、負けても『金』だと思います」という目は真っ赤。父・浩さん(62)も「晴れの舞台に送り出してくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱい。結果は残念だったけど…プロセスを評価したい」と声をつまらせた。



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