宇津木監督、「心」こもった“魔法の手紙”

ソフトボール日本代表 アテネ五輪は日本の五輪史上初めて女子選手の数が男子選手を上回ることが確実となった。“女性の時代”を象徴するのが、悲願の金メダルを目指すソフトボールだ。宇津木妙子監督(51)が率いるタフネス軍団。その強さを支えているのが、カリスマ指揮官の直筆の手紙だった。女性ならではの気配りと優しさが鉄の結束を生み、選手に力と勇気を与えている。〔写真右:宇津木監督=中央=を中心にひとつにまとまるソフトボール日本代表。同下:宇津木監督の手紙が選手たちに力を与える

 昔ながらの伝達方法かもしれない。しかし、ときに心を揺さぶられ、体を突き動かす原動力ともなる。五輪では3度目の正直で金メダルを狙うソフトボール日本代表。選手にとって、宇津木監督からの手紙がパワーの源となっている。

 「言葉だけでは足りない。メールもダメ。冷たいから。直筆じゃないと感情が相手に伝わらない」。5月13日の五輪代表メンバー発表直後、指揮官は日の丸を背負う選手たちに手紙を書いた。

宇津木監督 「『責任をもって、しっかりやりなさい』『自分の持ち味を出せ』という内容だった。監督の字には心がこもっているんです。五輪では自分の力を出し切りたい」というのは、世界一の遊撃手・安藤からポジションを奪い初の五輪代表となった三科真澄内野手だ。

 「1対1で全員と話す時間もない。それに、自分が選手なら監督に手紙をもらったらうれしいもの」と宇津木監督。日本リーグの日立高崎(現日立&ルネサス高崎)の監督時代から年賀状はじめ、1年間の頑張りをねぎらう年末の手紙など日本代表メンバーへの直筆メッセージを送り続けている。母親のような厳しさと優しさがあるからこそ、チームの気持ちはひとつになれる。

 「監督は常に頑張っている。その方からいただく手紙だからこそ力になる。女性監督ならではの心遣いだとも思う」。3大会連続出場の山路典子捕手は昨年12月に「来年は勝負の年だから頼む」との手紙をもらった。33歳のベテランも心を熱くする魔法の手紙。宇津木ジャパンの合言葉は「監督を胴上げしたい」だ。

臼杵 孝志

ソフトボール・アテネ五輪代表
背番 選手 所属 (齢) 身長 体重


17 上野由岐子 日立&ルネサス高崎 (21) 173 71
21 坂井寛子 戸田中央総合病院 (25) 175 73
34 坂本直子 日立&ルネサス高崎 (19) 161 65
18 高山樹里 豊田自動織機 (27) 162 84

23 乾絵美 日立&ルネサス高崎 (20) 169 75
25 山路典子 太陽誘電 (33) 171 73


19 伊藤良恵 日立&ルネサス高崎 (26) 165 62
28 宇津木麗華 日立&ルネサス高崎 (40) 170 69
佐藤理恵 レオパレス21 (23) 168 55
内藤恵美 豊田自動織機 (24) 162 63
三科真澄 日立&ルネサス高崎 (22) 163 66


岩渕有美 日立&ルネサス高崎 (24) 165 60
26 斎藤春香 日立ソフトウェア (34) 173 70
15 佐藤由希 レオパレス21 (23) 165 61
11 山田恵里 日立ソフトウェア (20) 165 55
【注】アはアトランタ五輪、シはシドニー五輪の代表

★ルール★

 02年に国際ルールが改正。女子は本塁から外野フェンスまでの距離が200フィート(60メートル96)から220フィート(67メートル06)に、投手板から本塁までは40フィート(約12・19メートル)から43フィート(13メートル11)にそれぞれ延びた。打者有利の改正といわれ、各国の戦術にも影響を与えている。無死二塁から攻撃を開始するタイブレーカーは従来は延長十回からだったが、延長八回から適用され、ボールも白から黄色に変わった。

★五輪日本史★

 正式種目に採用された96年アトランタ五輪は4位。五輪予選を兼ねた94年世界選手権(上位4チームが五輪出場)は7位と惨敗したが、アジア・オセアニア地区最終予選を制して五輪切符を手にした。98年世界選手権3位で出場した00年シドニー五輪は予選リーグを7戦全勝で1位通過。準決勝は豪州を1−0で下し、決勝では米国に延長八回、1−2で敗れた。アテネ五輪は02年世界選手権2位で出場権を獲得。

★世界の勢力★

 3大会連続金メダルを目指す米国、シドニー五輪銀の日本、同3位の豪州が3強。総合力で一歩リードする米国の大エース、リサ・フェルナンデスは33歳となったが、剛と柔を兼ね備えた投球術は健在。一方、米国に6試合連続で1点差負けしている日本は21歳の上野由岐子が新エースに成長。MAX117キロの世界最速右腕に悲願の金メダルを託す。


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