今井雅子、17位も天国の母への雄姿

 3度目の正直は、過去最低の17位。しかし、セーリング女子ミストラル級・今井雅子(37)の目に涙はなかった。96年アトランタ大会で15位、00年シドニー大会は10位。25日まで11戦行った女子ミストラル級…周囲も今井自身にも入賞への期待はあったが、それ以上の“メダル”を手に入れた。

 シドニー五輪を終えて引き際とも考えたが、1年を経ずに母・節子さんが他界。病床の母と最後に交わしたことばの中で「頑張ってね」というひと言が、胸に響いた。体が弱かった母にとって、スポーツに打ち込む今井は自慢の娘。「結婚もしない、定職にも就かない。そんな私を応援してくれた母の気持ちは、ずっと感じてきた」。母が生きていたら、きっと五輪への挑戦を喜んでくれるという思いが、今井を3度目の“祭典”へと導いた。

 “より速く、より強く”の思いはあるが、悔しさの中にすがすがしさが残った。『参加することに意味がある』。いまや死語にもなりつつある五輪精神。だが、参加して、ベストを尽くすことが、こんなにも価値があることだと実感させられる大会はなかった。ただ母のため、自分のために、今井は海風を切った。目標に向かってすべてをかけて打ち込むことの大切さを、五輪精神発祥の地で実践した娘の姿は、天国の母にも届いたはずだ。


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