“元祖鉄人競技”補欠選手にチャンスが浮上
近代五輪の父クーベルタン男爵が「スポーツの華」と評した“元祖鉄人競技”の近代五種。日本では、統括団体の日本近代五種・バイアスロン連合が年会費を値上げしなければ解散ピンチ、と財政難ばかりが話題になった。アテネ出場も逃し、いいことなしのはずの日本近代五種界だったが、ここに来て補欠選手にチャンスが浮上。でも、五輪に出るには、解決すべき大きな問題が−。
★財政難の“母体”費用どうする
古代五輪の五種競技から続く由緒正しき競技。だが、射撃用銃を持ちづらい環境などから、日本では盛んでなく、アテネ予選は敗退し、3大会連続で出場権を逃した。
最近の話題は、統括団体、日本近代五種・バイアスロン連合の財政難。存続危機を脱するため、年会費を1万円アップする案が理事会などで真剣に討議された。そんなお寒い状況下、アテネの五輪組織委から、先日、明るい知らせが届いた。
4月のアジア選手権3位の齊藤英之(30)=警視庁=が、補欠の優先順位1位だというのだ。出場権を持つ外国人選手が1人、けがなどで欠場決定なら五輪キップが回ってくる。同連合の菊地孝之事務局長(67)は「他人の不幸を待つわけじゃないが、激しい競技なので故障はある」と、チャンスありに、意を強くするが…。ここでも、「お金」の問題が出てきた。
直前まで出場が確定しなければ、アテネで練習しながら、朗報に備え待機するしかない。だが、現時点で代表外のため、経費は当然、自己負担となる。必要最低人数の滞在費などは試算で約300万円。財政難の同連合には厳しい数字だ。
募金などで集める案を現在検討中。「今の日本の目標は入賞ではなく、出場すること。何とか出してあげたいが…」と菊地事務局長。経費問題とも戦う日本近代五種。道は開けるか−。(結城正)
★五輪日本史
日本は60年ローマ大会から参加。92年バルセロナまでモスクワ大会を除き連続出場してきたが、96年アトランタ以降、今大会を含め3大会連続で出場を逃した。女子は未出場。過去の最高成績は、個人では64年東京の内野重昭、68年メキシコの槇平勇荘の15位、団体は東京、メキシコの8位。現在の男子世界ランキングでは、黒臼昭二(警視庁)の55位が最高と苦戦している。
★ルール
1人の選手が1日間に射撃=エアピストル20発、フェンシング=エペ、水泳200メートル自由形、馬術=障害飛越、陸上=3000メートル走の順で5種目行う。4種目までのポイントを時間差にして、上位から3000メートル走をスタート、最初にゴールした選手が優勝する。00年シドニー五輪から女子も採用された
★世界の勢力
欧州勢が伝統的に強く、最新の世界ランキングでは男女とも、ハンガリー、ロシア、イタリア、などの国が上位に入っている。米国からは、第2次大戦で軍の戦車部隊を率いたパットン将軍が、12年ストックホルム大会に参加し5位入賞。また、映画「ロッキー4」の敵ドラゴ役で知られる俳優ドルフ・ラングレンも96年アトランタ五輪同国代表のチームリーダーだった。国際競技連合には、ロマノフ家やハプスブルグ家など貴族の流れをくむ幹部もいる。
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