谷亮子の左くるぶし悪化、連覇の大ピンチ
今月12日の練習中に左足腓骨(ひこつ)筋腱損傷のけがを負ったアテネ五輪柔道女子48キロ級代表の谷亮子(28)=トヨタ自動車=が23日、東京・講道館で行われた柔道選手団の壮行式を欠席した。福岡市内の実家で静養中だが、くるぶし付近の腫れが悪化しており、25日から北海道釧路市で始まる強化合宿も不参加。8月14日の試合はぶっつけ本番となる可能性もあり、五輪連覇は絶体絶命の大ピンチだ。〔写真左:五輪連覇を目指す谷亮子。金メダルロードに霧がかかってしまった。同下:東京商工会議所に場所を移しての柔道代表の激励会にも、谷の姿はなかった=撮影・植村光貴〕
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晴れの席にヒロインがいない。柔道ニッポンの総本山である講道館で行われた五輪壮行式。シドニーに続く五輪連覇を目指す谷の姿はなかった。
12日に大阪での強化合宿中に左足くるぶし付近を負傷。当初の予定では1週間ほどで練習を再開できる見込みのはずが、当初はほとんどなかった内出血が見られるなど、事態はさらに悪化していたのだ。
「大阪より腫れがひどくなっていたので、きょうは休ませた。両くるぶし付近が内出血しており、特に外側のくるぶしが腫れている」。五輪で全日本女子の監督を務める全日本柔道連盟(全柔連)の吉村和郎ヘッドコーチが現状を説明した。
同ヘッドは21日に福岡市内にある谷の実家に出向き、治療を続ける谷と面談。治療を最優先するため、この日の壮行式に加え、24日に都内で開催される日本代表選手団結団式、さらに釧路市での強化合宿も欠席させることを決めた。
主治医の桜庭景植医師(順大病院)からは「腫れが治まれば練習できる」と説明されたという。だが、腫れがいつ引くかは誰にも分からない。8月4日からの国内最終合宿には参加する方向だが、それもあくまで予定。練習復帰のメドすら立っていないのが実情で、ぶっつけ本番も視野に入れなくてはならない。
8月13日開会式のアテネ五輪。谷は競技初日の翌14日に登場する。残された時間は3週間…あまりにも少ない。が、全治3カ月と診断された右ひざじん帯損傷を乗り越えてV5を達成した01年世界選手権など、これまでに何度もけがを克服し奇跡を演じてきた。五輪直前に重傷を負いながら優勝した古賀稔彦や、競技中に負傷しながら金メダルを獲った山下泰裕ら、柔道界には不可能を可能にした先人も多い。
「もう3週間しかないぞと言ったら、まだ3週間あると言っていた。表情は明るく自信をもっていた」と吉村ヘッド。15歳の時から世界の頂点に立ってきた自信。連覇に黄色信号は灯ったが、谷自身は経験という貯金を誰よりも信じている。「けがするたびに発見があるし、力になっている」と話していたYAWARAの真価が問われる。 (臼杵孝志)
★衝撃の瞬間
12日に大阪市内で行われた強化合宿の初日、乱取り中にずれた畳のすき間に左足親指が挟まり、後向きに転倒。左足くるぶし付近の痛みを訴えた。氷で冷やす処置を取ったが、翌日になっても腫れは引かず、病院で精密検査を受け「左足腓骨筋腱損傷」と診断(全治不明)された。15日に福岡に帰り、そのまま実家で過ごしている。
◆羽衣クリニック・冨名腰文人院長(53) 「最初に負傷したときに内側も痛めていたのではないか。骨には異常はないということですし、筋断裂という症状もないのであれば、炎症さえおさまれば、練習は再開できるようになるのでは」
| YAWARAの故障ヒストリー |
| 91年11月 |
アジア選手権初戦で右足首外側じん帯損傷。全治3週間の痛みに耐えて3位 |
| 95年4月 |
練習中に右ひざじん帯を部分断裂も、18日後の全日本選抜体重別で5連覇 |
| 12月 |
福岡国際女子で右ひざ関節ねんざと半月板損傷。復帰まで2カ月を要した |
| 99年12月 |
福岡国際女子で左手小指骨折も10連覇 |
| 00年3月 |
右手薬指じん帯を断裂。8月には左足打撲。9月のシドニー五輪で金メダル |
| 01年7月 |
練習中に右ひざ内側側副じん帯断裂も16日後の世界選手権で5連覇を達成 |
| 02年12月 |
右手薬指のじん帯が伸びきった状態で福岡国際女子優勝 |
| 03年6月 |
左足親指の爪が化膿して緊急切開手術 |
| 04年6月 |
アテネ五輪の北海道合宿で右足首外側じん帯を痛め、フランス合宿とりやめ |
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★同僚は信じてる
谷の故障を他の五輪代表も心配した。高校(福岡工大付高=現福岡工大城東)の後輩でもある57キロ級の日下部基栄(福岡県警)は「けがしてもすぐ起き上がる亮子先輩があの時はうずくまっていた」と振り返り、「壮行式や釧路合宿を休むのも金メダルを獲るために先輩が決めたこと。絶対に大丈夫」とエール。78キロ級の阿武教子(警視庁)は「谷さんはけがに強い人。本番には間に合わせてくるはず」と復活を信じた。
男子100キロ級で連覇を狙う井上康生(綜合警備保障)は「大一番に強い人。精神的にも強い方ですから焦りはないと思う。良くなることを祈っています」と気遣っていた。
谷亮子の過去の
五輪成績 |
| 年 |
大会 |
メダル |
| 92 |
バルセロナ |
銀 |
| 96 |
アトランタ |
銀 |
| 00 |
シドニー |
金 |
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★けが克服で金メダル
柔道では、84年ロサンゼルス五輪の無差別級で山下泰裕が、2回戦で軸足の右ふくらはぎの肉離れに見舞われたが勝ち進み、決勝でラシュワンを横四方固めで破って金メダル。直前の負傷を克服したのは92年バルセロナ五輪の71キロ級古賀稔彦。現地で吉田秀彦との練習中に左ひざ内側側副じん帯を損傷したが、11日後に金メダルを獲得している。
他競技では、レスリング・フリースタイルで64年東京五輪に出場した上武洋次郎が、リーグ初戦で左肩を亜脱臼しながら金メダル。同大会のレスリング・グレコローマン代表の市口政光が直前練習で足首をねんざしたが、金を獲った。
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