またも本番前に…谷亮子左足負傷で連覇は?

谷亮子 アテネ五輪柔道女子48キロ級代表の谷亮子(28)=トヨタ自動車=が大阪市内で行われている強化合宿で左足を負傷していたことが13日、明らかになった。アテネ五輪の本番までわずか1カ月。6月上旬には右足首に痛みを訴え、パリでの合宿は不参加だった。両足に“爆弾”を抱え、五輪2連覇へ黄信号が点灯だ。〔写真:左足に負傷発覚! 五輪まで、ちょうど1カ月。ミセスYAWARAが“爆弾”を抱えた

 谷がいない。前日から始まった大阪柔道整復師会館での全日本合宿から日本女子のエースが姿を消していた。合宿初日の練習中、道場の畳の間に左足親指を挟み、後ろ向きに転倒、かかとの外側を痛めた。この日、病院で検査を受けた結果、「左足腓骨筋けん損傷」と診断された。

 「(患部に)腫れがあるうちは無理をさせられない。軸足だけに心配だ」

 吉村和郎・日本女子監督(52)によると、くるぶし後ろ付近が内出血し、腫れと痛みが激しく歩行にも支障があるという。担当の出口達也コーチによれば、柔道着を着て練習するまで10日間は必要とみており、調整の遅れは必至の状況。合宿は17日まで行われるが、このまま離脱。福岡の実家で静養する予定で、24日の日本選手団結団式、25日からの北海道合宿には参加するというが…。

 これまでも大会直前の負傷に悩まされてきた谷も、昨年9月の大阪世界選手権後は、結婚も経て順風満帆で最終調整に入ったかにみえた。だが、6月上旬に右足首の軟骨に痛みを訴え、フランス・パリでの合宿を不参加。同月末の岩手・釜石合宿ではしっかり練習を消化し、復調ぶりを印象づけていたが、再びアクシデントに見舞われた。

 救いは、逆境になればなるほど驚異的な精神力と集中力を発揮することだ。01年7月のミュンヘン世界選手権では、大会2週間前に右ひざ内側側副じん帯断裂と半月板損傷の重傷を負い、歩行すら困難に。それでも、豊富な練習量の蓄積と集中力を切ることなく、優勝を果たしている。

 アテネ五輪の柔道女子48キロ級は、開会式翌日の8月14日。ちょうど1カ月しかない。「田村でも金、谷でも金」をキャッチフレーズに、野球代表の夫・谷佳知と夫婦同時金メダルを目指すミセスYAWARA。V2プランに漂う暗雲を、奇跡の風で吹き飛ばしてみせる。

谷 亮子(たに・りょうこ) 1975(昭和50)年9月6日、福岡市東区生まれ。28歳。小2で始める。旧姓田村。城香中−福岡工大付高−帝京大−日体大大学院−トヨタ自動車。15歳の90年12月福岡国際で国際大会初優勝。世界選手権は93年から6連覇中。五輪は92年から銀、銀、金。福岡国際は11連覇を含み12回優勝。全日本選抜体重別は11連覇を含み13回優勝。昨年12月にプロ野球オリックス谷佳知外野手と結婚。得意技は背負い投げ、内また。1メートル46、48キロ。

 ◆夫のオリックス・谷佳知 「試合までの1カ月間で、あせらず治して、万全の状態にしてほしいと思います」

★腓骨筋けん損傷★
 腓骨は、ひざ下のすねの部分にある2本の長い骨のうち、細くて足の外側についている骨。その周りについている筋肉に直接外力が加わることで、筋自体の炎症による組織の変性などによって筋肉が腫れ、腓骨筋けん損傷となる。

★谷亮子のアテネ五輪までの予定★
7月24日 日本選手団結団式
7月25〜30日 北海道・釧路合宿
8月4〜6日 東京・講道館合宿
8月7日 アテネへ出発
8月13日 アテネ五輪開会式
8月14日 女子48キロ級・男子60キロ級試合日

★YAWARA負傷史★
◆91年11月 アジア選手権初戦で右足関節外側じん帯損傷。全治3週間の痛みに耐えて3位
◆95年4月 練習中に右ひざじん帯を部分断裂。18日後の全日本選抜女子体重別で優勝
◆同年12月 福岡国際女子で右ひざ関節ねん挫・半月板損傷を負い、復帰まで2カ月
◆99年7月 腰痛を発症。9月には右太ももを痛めながら、10月のバーミンガム世界選手権で4連覇
◆同年12月 福岡国際女子で左手小指を骨折と腱断裂
◆00年3月 右手薬指じん帯を断裂。8月には左足ふくらはぎ打撲も、9月のシドニー五輪で優勝
◆01年7月 練習中に右ひざ内側側副じん帯断裂の重傷を負ったが、16日後のミュンヘン世界選手権で5連覇
◆03年7月 左足親指が化膿。切開して膿を抜き、9月の大阪世界選手権では6連覇

★世界の勢力★
 昨年の世界選手権決勝で、谷が辛勝したジョシネ(フランス)がライバル一番手か。リ・キョンオクら北朝鮮らも世界大会での上位常連だ。だが、谷は97年以降出場した国際大会はすべて優勝。谷が出ない国際大会も北田佳代ら“代役”がほぼ優勝しており、万全なら優勢は動かないが…。かつて死闘を繰り広げたサボン(キューバ)は現在52キロ級。

★日下部は絶好調宣言

 リタイアした谷とは対照的に57キロ級代表の日下部(福岡県警)が絶好調宣言。「毎日が充実している。今までの弱気は消えました」。高校の先輩でもある谷の離脱には「心配です」としながら、自身が抱える古傷の左ひざの状態が上向くにつれ、調子も右肩上がり。「自信を取り戻した」。シドニー五輪銅メダリストにエンジンがかかってきた。

★阿武は念願の金メダルに燃える

 78キロ級世界王者・阿武(警視庁)が元気だ。3度目の五輪出場に、「今大会は過去の2大会と違う」と、念願の金メダル獲得に燃える。過去の2大会は1勝もできずに惨敗。大会が近づくにつれ、体重が大幅に減るなどコンディションを崩していた。「前回まではもう1カ月だったが、あと1カ月もある、と感じる」と、精神的な余裕もみせた。


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