大会期間中の練習場にアテネ市内の体育館を確保

柔道練習会場 これが柔道ニッポンの前線基地だ。メダル量産を目指す柔道が、大会期間中の独自の練習場としてアテネ市内の体育館を確保した。柔道会場、選手村にも車移動で10分とアクセスも抜群。さらに、練習場近くには3LDKのマンションも借り、選手の食事や体のケアも全面的にバックアップする。備えあれば憂いなし。お家芸復活に抜かりはない。〔写真右:ここがメダル獲得の命運を握る柔道の最前基地。確保した練習場で最終調整を進める。同下:食事の管理も万全。五輪連覇に挑む谷(中央)の減量も心配なし

★柔道会場、選手村にも車で10分

 金メダルのためなら投資は惜しまない。柔道ニッポンがメダル量産に向けた準備を整えた。大会組織委から割り当てられる練習場は手狭で、時間の制約も受ける。なにより呉越同舟の練習ではライバルチームに情報が筒抜けになる可能性も。前回のシドニー五輪でも日本は自前の練習場を確保したが、今回も2年前から全日本柔道連盟(全柔連)の斉藤仁・男子ヘッドコーチらが現地に出向いて調査を重ねた。複数の候補から選ばれたのはビロナス地区にある市体育館。柔道会場、選手村にも車で10分とアクセスも抜群だ。

★感触抜群の畳

谷亮子 体育館に敷く畳もすでに現地に。柔道場の畳を張り替えた国士大から約300畳の畳を譲り受け、船便輸送。8月7日に出発する選手の到着を待つだけとなった。五輪後には地元に寄付され、柔道の発展にも一役買う。

★食うぞ!

 海外での最大の悩みとなる食事も万全だ。練習場から徒歩3分のところに3LDKのマンションを確保。ここに93年から女子チームをケアする奈良典子さん(36)=明治製菓ザスパ=ら支援スタッフを常駐させる。昼食は管理栄養士の資格を持つ奈良さんの手づくり。試合当日は“金メダル弁当”も用意される。女子78キロ級の阿武教子は「いつも食べているものがあると安心。奈良さんとは古い付き合い。すべてをわかってくれる存在」。選手各自の体調に合わせた特別メニューで、減量も気にならない。

★メダルでお返し

 アテネでは五輪に便乗した物価高に各チームが悲鳴を上げている。借りたマンションも2週間足らずで300万円と破格の賃貸料となったが、上村春樹強化委員長は「すべてはメダルを獲るため」と準備は万端。お家芸復活へ、悔いは残さない。

臼杵孝志

★ルール

 試合時間は男女とも5分間。技をかけ、速さ、強さの要素を満たして相手の背中を畳につけるか、25秒間抑え込めば「一本勝ち」。時間内に一本を奪えない場合は「技あり」「有効」「効果」の順にポイントが多い方が勝者となり、「技あり」は2つで「合わせて一本」となる。同ポイントの場合はゴールデンスコア方式と呼ばれるサドンデスの5分間の延長を実施。延長でも勝敗が決しない場合は審判(主審、副審2人)の旗判定となる。また「指導」は4回目で反則負けとなる。

★五輪日本史

 正式競技となった64年東京五輪で日本は全4階級の制覇を狙ったが、無差別級で神永昭夫がヘーシンク(オランダ)に一本負け。金メダルは3個に終わった。68年メキシコは実施されず、72年ミュンヘンから復活。前回シドニーまで男子は計21個の金メダルを獲得している。92年バルセロナから正式競技の女子は2個の金メダルを獲得。アテネでは男子60キロ級の野村忠宏が個人では日本の五輪史上初となる同一種目3連覇に挑戦。同100キロ級の井上康生、女子48キロ級の谷亮子が2連覇に挑む。

★世界の勢力

 柔道大国となったフランスを中心とする欧州勢が、男女とも全階級でメダルを狙う日本の最大のライバルとなる。5月の欧州選手権では、昨年9月の大阪・世界選手権組が上位を占めた。若手の台頭がみられなかったことは、大阪を制した男子100キロ級の井上、同100キロ超級の鈴木(世界選手権は無差別級で出場)、女子48キロ級の谷、同70キロ級の上野、同78キロ級の阿武にはプラス材料。本来の力を発揮すれば金メダルは射程圏。世界選手権で不覚をとった男子60キロ級の野村も実力はナンバーワン。順当に行けば、史上初の五輪3連覇が実現する。


著作権、リンク、個人情報について