【柔道】準決で棟田、決勝で康生破り、鈴木桂治初V初五輪
柔道・全日本選手権(29日、日本武道館)世界選手権無差別級王者の鈴木桂治(23)=平成管財=が初優勝し、アテネ五輪100キロ超級の代表に選出された。鈴木は決勝でシドニー五輪100キロ級金メダリストの井上康生(25)=綜合警備保障=を、準決勝では五輪切符を争った100キロ超級世界王者の棟田康幸(23)=警視庁=にいずれも優勢勝ちした。100キロ級代表には井上が選ばれ、近代五輪発祥の地でメダル量産を目指す柔道ニッポンの代表が出揃った。〔写真:終始先手で技を仕掛けた鈴木。井上(右)を防戦一方に追い込み、五輪切符をもぎ取った(撮影・奈須稔)〕
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熱い気持ちが体を動かし、輝く頂点に導いた。技術や体力ではない。「どれだけ勝ちたいか」−。心に刻んだ言葉を大一番で実践した鈴木が、ラストチャンスでアテネ切符を手にした。
「僕の強いところをまた見てもらえたと思います。きょうは自分自身のために闘った。少しは自信を取り戻しました」
4連覇を狙った井上を決勝で破り、3度目の出場で初の日本一。「康生さんの右を殺すことだけを考えた」。その左釣り手を生命線に、6分間の試合を支配した。
4分9秒に出足払い、その直後には小内刈りと得意の足技で井上をぐらつかせた。4分51秒には井上が注意を受け、待望のポイントをゲット。勝利を告げるブザーが鳴ると、超満員の1万3500観衆に向かってガッツポーズを繰り返した。
悪夢がこの男を強くした。4日の全日本選抜体重別100キロ級は準決勝で井上の兄・智知(警視庁)に一本負け。大会直前に左手薬指を痛め、井上が待つ決勝の舞台にも立てなかった。
「あの負けを素直に受け止めて、次にどうするかを考えた。不安はあったけど、それから逃げなかったことが一番の勝因だと思います」。準決勝では中学時代からのライバル棟田に優勢勝ち。事実上の100キロ超級の代表決定戦を制し、五輪切符をもぎ取った。
家族の支えも力となった。11日に父・英男さん(54)が茨城の実家から東京・三鷹市の自宅を訪ねてきた。お土産は母・文子さん(54)が作ったけんちん汁と父が自ら打った特製そば。「親として何かしてあげたかった。桂治の大好物なんです」(英男さん)という愛情料理で心を癒し、闘う準備を整えた。
「五輪は想像できない。でも、選ばれたからには金メダルを獲りにいきたい」。100キロ超級での実績がないためアジア選手権の出場が義務づけられるが、それも望むところ。土壇場からの鮮やかな勝ち名乗り。これで井上との対戦成績も3勝3敗1分けの五分。この4年間、世界の強豪が誰一人勝てない井上を倒した男が、夏のアテネで主役を務める。
(臼杵孝志)
★鈴木 桂治(すずき・けいじ)★ 1980(昭和55)年6月3日、茨城県出身、23歳。03年世界選手権大阪大会無差別級金メダル。得意は大外刈り、小外刈り、内また。国士大出。平成管財。1メートル84。
◆上村春樹・全柔連強化委員長 「(2人の代表は)異論なく決まった。これから、男女とも全員が優勝候補になるようなチームづくりをしていきたい。五輪本番までの調整が大切だ」
◆シドニー五輪100キロ超級銀メダリスト・篠原信一(天理大監督) 「きょうの鈴木は気持ちで勝っていた。五輪はパワーのある外国人選手が相手だが、組み手のうまさと足技を中心とした今のスタイルを強化していけば、メダルは十分に獲れると思う」
★そのとき★ 母・文子さん(54)は茨城・石下町の自宅で“時間差”のビデオ観戦。「高校時代までは会場で見ていたんですが、怖くてテレビも生中継は見られないんです。心臓がバクバクするんです」。次々とかかってくるお祝い電話に応対しながら、息子の戦いぶりを安心して見ていた。
★五輪のライバル★ 昨年の欧州王者のトメノフ(ロシア)、昨年の世界選手権2位のファンデルヒースト(オランダ)、今年2月のフランス国際を制したミランファシャンディ(イラン)ら各国のエースがそろう。昨年の世界選手権で金メダルの大本命だったトメノフは3回戦で棟田に優勢負け、ファンデルヒーストも今年2月のドイツ国際で棟田に敗れており、鈴木が金メダルを獲得するチャンスは十分にある。
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★鈴木桂治という男★ |
| 得意技 | 内また、大外刈り、足技。組み手は左組み。これで、98年世界ジュニア選手権、03年世界選手権(無差別級)、02、03年全日本選抜体重別100キロ級などを制した |
| 二足のわらじ | 小学時代はサッカーにも熱中し、快足が自慢の大型FWとして活躍。中学進学時はサッカーに専念することも真剣に考えた |
| モヒカン | 国士大1年時の髪形は中央部を残し、両サイドを剃りあげるモヒカン。だが、斉藤仁監督に「そんな髪で試合に出るんじゃない」と一喝されて以来、丸刈りにしている |
| 好きなタレント | 山口智子。ただ、芸能人の夢をよく見るという最近の登場人物は加藤あい、観月ありさ |
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★鈴木、アジア選手権に出場決定
鈴木がアジア選手権(5月15−16日・カザフスタン)に出場することが決まった。五輪代表選手は過去2年間の世界選手権、アジア選手権などの国際大会で、最低1度は五輪に出場する階級に出る必要があるため。本来100キロ級の鈴木はこの条件をクリアしておらず、金メダルを獲得した世界選手権も無差別級での出場だった。
★90キロ級の五輪代表・泉は準々決勝で敗退
90キロ級の五輪代表に決まっていた泉浩(明大)は、準々決勝で敗退。自分より体重が上回る相手に健闘も、優勝した鈴木に払い腰で一本負け。試合中には右太ももの肉離れを起こし、アイシング治療を受けた。「痛みはありますが、大して気にはなりません。きょうは課題がいろいろと見つかったと思います」と軽症をアピールした。
★棟田は準決勝で散る…
“3強”の一角を担う棟田=写真=は、準決勝で親友の鈴木桂に優勢負け。初戦からオール一本勝ちで、昨年の世界柔道100キロ超級王者の意地は見せた。だが、五輪代表をかけた一戦は防戦一方。残り2分55秒で注意を受け、黒星につながった。「(鈴木は)本当に強かったと思います。大事な存在であり、ライバル。アイツがいたから、ここまでこれました」と称えていた。
| ▼準々決勝 |
棟 田(4) (推薦・警視庁) | 優 勢 | 小 野(3) (東京・綜合警備保障) |
鈴 木(5) (推薦・平成管財) | 払い腰 1分42秒 | 泉 (3) (東京・明大) |
井 上(5) (推薦・綜合警備保障) | 大内刈り 1分51秒 | 高 山(5) (東京・警視庁) |
森 (4) (北海道・北海道警) | 内また 51秒 | 増 地(5) (関東・桐蔭横浜大教) |
| ▼準決勝 |
| 鈴 木(5) | 優 勢 | 棟 田(4) |
| 井 上(5) | 横四方固め 5分42秒 | 森 (4) |
| ▼決勝 |
| 鈴 木(5) | 優 勢 | 井 上(5) |
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※鈴木は初優勝
【注】丸数字は段位
| 鈴木桂治成績 |
| 回戦 | 対戦相手 | 内容 |
| 2 | ○生田秀和(4) | 腕ひしぎ十字固め 4分6秒 |
| 3 | ○飛塚雅俊(4) | 内また 3分57秒 |
| 準々決勝 | ○泉 浩(3) | 払い腰 1分42秒 |
| 準決勝 | ○棟田康幸(4) | 優 勢 |
| 決勝 | ○井上康生(5) | 優 勢 |
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【注】(数字)は段位
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| 棟田康幸成績 |
| 回戦 | 対戦相手 | 内容 |
| 2 | ○筒井宏樹(4) | 支え釣り込み足 48秒 |
| 3 | ○松本勇治(5) | 一本背おい投げ 1分51秒 |
| 準々決勝 | ○小野俊教(3) | 優 勢 |
| 準決勝 | ●鈴木桂治(5) | 優 勢 |
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【注】(数字)は段位
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| 全日本選手権連覇 |
| 数 | 氏名 | 年 |
| 9 | 山下泰裕 | 77〜85 |
| 5 | 小川直也 | 89〜93 |
| 3 | 篠原信一 | 98〜00 |
| 井上康生 | 01〜03 |
| 2 | 石川隆彦 | 49〜50 |
| 吉松義彦 | 52〜53 |
| 神永昭夫 | 60〜61 |
| 正木嘉美 | 86〜87 |
| 小川直也 | 95〜96 |
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| 男子柔道・アテネ五輪代表 |
| 階級 | 氏名 | 所属 | 年齢 |
| 100キロ超 | 鈴木桂治 | 平成管財 | 23 |
| 100キロ | 井上康生 | 綜合警備保障 | 25 |
| 90キロ | 泉 浩 | 明 大 | 21 |
| 81キロ | 塘内将彦 | 旭化成 | 26 |
| 73キロ | 高松正裕 | 旭化成 | 22 |
| 66キロ | 内柴正人※ | 旭化成 | 25 |
| 60キロ | 野村忠宏 | ミキハウス | 29 |
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【注】※は代表候補
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