日本100個目の「金」、最有力はこの男

柔道男子60キロ級の野村忠宏=右 いよいよ、アテネ五輪が13日に開幕する。前回シドニー大会までの日本の夏季五輪の通算金メダル獲得数は98個、今大会で100個に到達するのは確実だ。メモリアルメダル獲得に最も近いのは、14日の柔道男子60kg級に出場する野村忠宏(29)=ミキハウス。自身にとっても1996年アトランタ大会から、前人未到の3連覇がかかる大一番だ。〔写真:日本通算100個目の「金」の“本命”、柔道男子60キロ級の野村忠宏=右。14日の本番へ向け、仕上げに余念がない=撮影・奈須稔

 五輪発祥の地・アテネへ、108年ぶりに聖火が戻ってきた。日本もまた、節目の瞬間を迎える。夏季五輪通算100個目の金メダル獲得だ。

 1928年アムステルダム大会の三段跳び・織田幹雄から、2000年シドニー大会のマラソン女子・高橋尚子まで98個の金メダルを積み重ねた。今大会は開会式翌日の14日から各競技が本格的にスタート。その日の午後(日本時間同日夜)に柔道女子48kg級、同男子60kg級の決勝が組まれている。順当にいけば、ヤワラちゃんこと谷(旧姓・田村)亮子が優勝を飾り、続いて畳に上がるのは野村だ。

 身長1メートル63と小柄ながら、スピードとキレが持ち味。初出場の96年アトランタ大会を制すと、00年シドニー決勝では開始わずか14秒でV。しかし、2回とも同日に谷が話題を“独占”し、2大会連続金の偉業にも、野村の存在は“2番手”扱いだった。名実ともにトップをつかむには、前人未到の五輪3連覇、そしてメモリアルメダルを果たすしかない。

 「理想では記念の100個目を獲りたいですけど、そんなぜいたくは言ってられない。100個目だったら、ラッキーくらいですね」

 野村はあくまで、自然体を強調した。野村だけでなく、他競技の日本代表も金メダルを最大の目標に戦っているだけに、確かに“運”がすべてを左右する争いだ。誰が“強運”の持ち主か−。その答えは、もう間もなく出るはずだ。

佐久間賢治


日本人歴代金メダリストへ

仕上げきっちり、野村は「完ぺき」

 練習嫌いを公言する野村が黙々と動きをチェックした。「体の状態はいいですね。五輪の雰囲気? 別にどうってことないですね」と9日の公開練習時に話していた通り、近づく本番にきっちりコンディションを合わせてきた。84年ロサンゼルス、88年ソウル大会で金メダルを獲得した日本男子・斉藤仁監督は「完ぺきでしょう。何も心配していない」と五輪3連覇を確信した。

 「3連覇は意識していない。ただ、自分が一番という自負はある」という野村。日本選手初の個人種目3連覇へ、死角なしだ。

米誌予想、ニッポン柔道は今大会金5個

 米国の柔道専門誌「リアル柔道」の最新号はアテネ五輪で上位に入賞する選手の予想を掲載、日本は男女で計5個の金メダルを獲得すると報じている。内訳は谷、野村に加え、井上康生(綜合警備保障)、阿武教子(警視庁)、上野雅恵(三井住友海上)の5人。これも、野村が「100個目」本命視の裏付けになる?

日本の五輪大会別メダル数
 回 大会名
(5) ストックホルム
(7) アントワープ
(8) パリ
(9) アムステルダム
(10) ロサンゼルス 18
(11) ベルリン 10 20
(15) ヘルシンキ
(16) メルボルン 10 19
(17) ローマ 18
(18) 東京 16 29
(19) メキシコ市 11 25
(20) ミュンヘン 13 29
(21) モントリオール 10 25
(23) ロサンゼルス 10 14 32
(24) ソウル 14
(25) バルセロナ 11 22
(26) アトランタ 14
(27) シドニー 18
合計 98 97 105 300
日本の競技別金メダル数
競技
(1) 体操 27
(2) 柔道 23
(3) レスリング 20
(4) 競泳 15
(5) 陸上
(6) 重量挙げ
バレーボール女子
(8) 馬術
ボクシング
バレーボール男子
ライフル射撃


「金第1号」狙う射撃の三崎宏美

 アテネ五輪で金メダル第1号が誕生する種目は、14日午前11時40分(日本時間同日午後5時40分)までに決勝が終了する予定のエアライフル女子10メートル。その偉業に挑戦するのが、13日に28回目のバースデーを迎える日本のエース、三崎宏美(日立情報システムズ)だ。

 同種目では、メダルが期待された前回シドニー五輪では15位に終わったが、W杯では昨年の昌原(韓国)、今年のシドニー両大会で優勝。今回も「表彰台のいいところに上りたい」と意欲を見せている。三崎が偉業を達成した場合、日本勢通算100個目の金メダル獲得の可能性は、野村より谷が大きくなる。

 また、三崎、谷、野村で100個に到達しなくても、15日夜には柔道陣のほか、競泳男子の100メートル平泳ぎ決勝(日本時間16日午前2時2分)に北島康介(21)=日体大=が控えている。いずれにせよ、序盤戦が“Xデー”の鍵を握る。

銀も100まであと3個

 日本勢の金メダル通算100個目の行方に注目が集まる中、実は銀メダルも大台まであと「3」と迫っている。1920年の第7回アントワープ大会でテニス勢が2個を獲得して以来、通算で97個としているのだ。

 前回の2000年シドニー五輪では、シンクロチームやソフトボールなどが計8個を獲得。その中には、柔道男子100kg超級決勝で篠原信一が「世紀の誤審」により涙をのんだケースもあり、メダルをめぐるドラマはさまざまだ。

 ちなみに、銅メダルは通算105個。

主将・井上、旗手・浜口は再び“二人三脚”?

 日本選手団の主将で柔道男子代表の井上康生(綜合警備保障)と、開会式で旗手を務めるレスリング女子の浜口京子(ジャパンビバレッジ)が12日、選手村に到着。“二人三脚”の助け合いで、大任を果たすことを誓った。

 シドニー五輪で旗手を務めた康生に、京子が心得をたずねると、「堂々と歩けばいいんです」と男らしい答え。一方、選手団壮行会の宣誓で言葉に詰まったところを京子にアシストしてもらった康生は「またヘマしたら、助けてくれると思う」と、笑いを誘った。23日に決勝を控える京子は「わたしも康生さんのように、旗手をして金メダルを獲れたらいい」。


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