田村で金、谷で金、そして北京では「ママで金」

谷亮子 お帰りなさい、最強柔道ニッポン! 過去最多の金メダル8個を獲得した柔道五輪チームが23日、成田着の航空機で帰国した。五輪連覇を成し遂げた谷亮子(28)=トヨタ自動車=は満面の笑み。気力、体力の充実ぶりを存分に発揮したYAWARAちゃんの次なる目標は、08年北京五輪で“母”となってのV3だ。〔写真:北京も頑張って! 成田空港のロビーでファンから花束をもらう谷=中央。YAWARAスマイルが弾けた=撮影・小松洋。同下:笑顔でメダルを披露する柔道ニッポンチーム。前列左から谷本、横沢、内柴、谷、野村。後列左から泉、上野、阿武、塚田、鈴木



柔道ニッポンチーム 金メダルの“YAWARAスマイル”が輝いた。成田空港の到着ロビー。手を振って現れた谷に、待ち受けた約400人のファンから「おめでとう!」。祝福の言葉と拍手が包み込んだ。

 「シドニーは自分自身のため、今回は応援し、支えてくれた人のためでした。いい結果が出せてうれしいです」

 五輪直前に左足のすねから足首にかけてのじん帯を断裂する重傷を負いながら、五輪連覇。柔道競技初日の14日の金メダルは、日本柔道メダルラッシュの呼び水となった。また、昨年12月にプロ野球オリックス・谷佳知外野手と結婚し、「谷亮子」としての初の金メダルにも感慨は深い。

 「“谷亮子”としてチャンピオンになれてうれしい」と話す谷。気になるのは、今後の動向だ。「周りのみなさんが期待してくれてるので、もちろん1年1年しっかり目標を見つけて目指しますよ」。32歳で迎える08年北京で、五輪3連覇を目指す意気込みを改めて表明した。

 「次(北京)は母として? へヘヘっ。そうなったら、そうなったで。子づくりはヨシくん(夫)と相談してからですね」と照れ笑い。“子づくり”を解禁して、北京にはママとなって臨む可能性も示唆した。

 お互いの試合には、スタンドから声援を送るなど、アツアツの夫は、まだ野球の日本代表の一員としてアテネの空の下。妻と同じ色のメダルを獲るための戦いが続く。

 「主人の試合が残ってるので。テレビを通じて応援したいです」。選手としてアテネの戦いを終えたYAWARAちゃんが、今度は「野球応援団長」で完全燃焼する。

芳賀宏


YAWARAの金メダルVTR
 五輪本番まで約1カ月に迫った7月12日の合宿初日、ずれた畳のすき間に左足親指を挟み転倒。じん帯2本を断裂する重傷を負った。完治しないまま迎えた14日の五輪本番。2回戦から登場し、合わせ技一本で勝利すると、3回戦では2分17秒に鮮やかな大外刈り、準決勝では合わせ技で一本勝ち。決勝ではフランスのジョシネに背負い投げで有効、大内刈りで技ありを奪い、優勢勝ち。決勝以外すべて一本勝ちで、2大会連続の金メダルを獲得した。


★谷亮子の今後★

 五輪3連覇を目指す北京五輪は08年。直近の目標は今年12月に開催の福岡国際柔道。谷は12連覇を狙う。また来年には、6連覇中の世界選手権がエジプトで開催。同選手権はその2年後の07年にもブラジルで行われる。順調に連勝をのばせば福岡国際は15連覇、世界選手権は8連覇して北京五輪を迎えることになる。

★野村は五輪4連覇挑む可能性アリ

 男子60キロ級で個人としては日本初の五輪3連覇を達成した野村忠宏(29)。出迎えの大歓声に白い歯をのぞかせ、偉業達成に胸を張った。

 4年後の北京への意気込みについては、「イエスかノーかと聞かれれば現時点ではノーですね」とあっさり答えたものの、「ただシドニーの後にも同じことをいっているので」と微妙な言い回しで、現役続行か否かは明言を避けた。

 「世界一を目指す努力を受け入れる気持ちがあるならやるが、中途半端ではできない」。4年後は33歳。五輪の厳しさを知り尽くしているからこその重い言葉だった。

 それでも「次の世代や、子供たちに伝えていけることもあるし、指導だけでなくやれることはいろいろある」と五輪4連覇への意欲は消えていない。今はただ、穏やかな休息で、次の目標への英気を養う。

丸山汎


★内柴デレデレ、パパの顔

 男子66キロ級で金メダルを獲得した内柴正人(旭化成)は「初めてのオリンピックだったけど、父親として金メダルを取れてうれしい」。6月25日に生まれたばかりの長男・輝(ひかる)くんとの再会を心待ちにした様子。60キロ級から66キロ級に階級を上げて頂点に登りつめた苦労人は、「早く子供を抱っこしたい」と父親の顔に戻っていた。

★鈴木は100キロ級で井上としのぎけずる

 男子100キロ超級で88年ソウル五輪以来、4大会ぶりに日本に金メダルをもたらした鈴木桂治(平成管財)は「悔しい思いもある。100キロ級で戦いたい」と、井上康生(総合警備保障)のクラスで再挑戦することを誓った。金確実といわれていた井上がまさかの敗退。「ビックリしたけど、それだけ強い相手もいる。(井上さんは)まだやると思っている」。鈴木、井上の戦いは08年北京五輪まで続く。

★続々と県民栄誉賞★

 茨城県の橋本昌知事は23日、柔道で金メダルを獲得した同県出身の男子100キロ超級の鈴木桂治(24)と、女子78キロ超級の塚田真希(22)に県民栄誉賞を贈る方針を固めた。また徳島県の飯泉嘉門知事も同日、競泳女子自由形800メートルで金メダルを獲得した柴田亜衣(22)に県民栄誉賞を贈ると発表した。福岡県生まれの柴田は小中高時代を徳島で過ごした。

★金メダリスト喜びの声★

 ◆女子63キロ級・谷本歩実(コマツ) 「試合内容は完璧(かんぺき)じゃなかったけど、ここまでの過程が、いい思い出になりました」

 ◆女子70キロ級・上野雅恵(三井住友海上) 「何度思い出してもうれしいです」

 ◆女子78キロ級・阿武教子(警視庁) 「やっと優勝できました。いまはゆっくりしたい」

 ◆女子78キロ超級・塚田真希(総合警備保障) 「全力でやって結果が出たのでうれしい」

★井上康生は閉会式出席

 日本柔道陣のうち、00年シドニー大会に続く男子100キロ級連覇を目指しながらメダルを逃した井上康生(26)=綜合警備保障=は、日本選手団の主将を務めているためアテネに残留。8月29日の閉会後、帰国予定。

 ◆上村春樹チームリーダー 「最後まで一本を取る柔道をしてくれたのがうれしい。しかしもう北京は始まっている」

 ◆斉藤仁・男子監督 「(メダルの数で)1つでも多くシドニーを上回ろうとみんなが挑んで、精いっぱい戦ってくれた」

 ◆吉村和郎・女子監督 「ことしほど強い選手がそろった年はない。よくやった。今後は日本を追ってくる国が多いが、それ以上にやらないと苦しい戦いになる」


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