【柔道】世界女王投げた横沢、悔しいけど堂々の銀メダル

横沢由貴 柔道女子52キロ級の横沢由貴(23)=三井住友海上=は決勝で●(にすいに先)東妹(中国)に敗れたものの、銀メダルを獲得。これで2日間で金3個、銀1個と全階級でメダル奪取。日本柔道陣の勢いは、もう止まらない。〔写真右:悔しいけど、堂々の銀メダル。表彰式で笑顔でこたえる横沢=撮影・塩浦孝明。同下:準決勝では、終了直前、サボンを逆転の一本勝ちでくだした横沢=上=だったが、決勝で敗れた=撮影・塩浦孝明



 必死の抵抗もむなしく、終了のブザー。五輪初出場の横沢が決勝で敗れ去った。「金メダルじゃないと、意味がない…」。痛恨の黒星に、涙を浮かべてつぶやいた。

 ●(にすいに先)東妹との決勝戦。開始早々に抑え込まれ、横四方固めで1分4秒での一本負け。日本勢がかつてこの階級で手にしたことのない金メダルは、遠かった。

サボンを逆転の一本勝ちでくだした横沢=上
 準決勝までは、持ち味を存分に発揮した。初戦のリ・サンシム(北朝鮮)を肩固めで破るなど、すべて寝技で勝ち進んだ準決勝。相手はかつて、48キロ級で谷(当時田村)亮子のライバル、サボン(キューバ)。00年シドニー大会から階級をあげたサボンを終了1秒前に袖釣り込み腰で逆転一本勝ち。ドラマを起こしてみせた。

 得意技は大内刈りだが、立ち技ではなかなか世界の壁を破れない。そこで活路を見いだしたのが寝技だった。徹底的に反復練習。「人より優れているところがあるとすれば、できないまま終わらせないこと」。外国人選手に力負けしないようパワーアップにも努めた。昨年着ていたTシャツは肩と腕の部分がパンパンに。決勝ではその寝技で敗れはしたが、世界にその実力は示してみせた。

 全日本女子の吉村和郎監督は横沢を評して「まじめ一筋の子。もっと遊び心を持てばおもしろくなる。石頭なんだよ」と笑う。自分のスタイルを貫き通して上りつめたアテネ五輪だった。

 「(結果について)何も考えられない。あとでいろいろ考えたい」

 悔しさに、言葉は少ない。しかし、価値ある銀メダル。横沢が大きな一歩をアテネに記した。

横沢 由貴(よこさわ・ゆき)
1980(昭和55)年10月29日、群馬県生まれ。23歳。前橋東高から三井住友海上。昨年の世界選手権3位。粘り強い柔道が持ち味。得意は大内刈り。1メートル53。


★そのとき★

 横沢が所属する三井住友海上の応援団約80人とともにスタンドに陣取った父・求さん(54)は、初の五輪で表彰台に上がった娘に、「よくやった。ご苦労さん」と健闘をたたえた。母・千恵子さん(50)は「私は横沢由貴の大ファン。今はそういう気持ちで応援しています」と涙。横沢の原点は、求さんが指導する地元・群馬の「大胡柔道スポーツ少年団」。兄と姉もそこで学んだ。柔道一家の末っ子が成し遂げた大仕事。最初の師匠でもある父は「小さい時から負けず嫌いだったから」と声を上ずらせた。


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