【アテネ情報】浜口「気合」の旗手! 感動の開会式
【アテネ支局=14日】アテネ五輪の開会式が13日夜(日本時間14日未明)、当地の五輪スタジアムで開かれた。幻想的な演出の中、日本選手団は白を基調としたユニホーム姿でさわやかに登場。リラックスしながらも改めて闘志をかき立てていた。その一方で、米中枢同時テロやイラク戦争後、初の夏季五輪ということで、厳重な警備態勢が敷かれる“厳戒開会式”でもあった。〔写真右:入場行進で観客の声援に応える旗手の浜口京子=AP。同中:卓球女子の福原愛はうちわを振りながら大はしゃぎ=撮影・奈須稔。同下:ニコラオス・カクラマナキスさんによって点火される聖火台=AP〕
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神話の国、そして108年ぶりに聖火が戻ってきた近代五輪発祥の地を、日本選手団は金メダル量産の夢に向かってしっかりと踏みしめた−。
選手団の入場行進はギリシャ語のアルファベット順で、日本は57番目。旗手を務める女子レスリング72キロ級の浜口京子(26)が、父親(元プロレスラー、アニマル浜口氏)譲りの気合?でガッチリと日の丸を掲げて、先頭で胸を張って入場。右手を大きくスタンドに振って、満面の笑顔をみせる余裕の旗手ぶりだ。
柔道100キロ級、井上康生(26)が主将らしく威風堂々と、行進に参加した約200人の選手を率いた。女子バレーボールの一団はリラックスした表情で、談笑しながら華やかにピンクや緑、黄色のうちわを振った。
選手団最年少の女子卓球、福原愛(15)も、愛ちゃんスマイルが満開。柔道100キロ超級、鈴木桂治(24)はビデオカメラを片手に撮影。他の国の行進が続く間も、選手たちは井上や福原らと記念撮影をしたり携帯電話で何やら話したりと、開会式を心から楽しんでいる様子だった。
開会式を終え、旗手を務めた浜口は「すごく感動した! 観客席に日の丸が多くてうれしかった」と興奮気味。「これだけの大観衆の前で旗手をしたので、試合では落ち着けると思う」と本番への思いを新たに。
3度目の五輪となるシンクロナイズドスイミングの武田美保(27)は「何度出ても素晴らしい雰囲気。最後の五輪と思っているので、この感動を心に焼き付けたい」と感慨深げだった。
開会式の感動を胸に、あとは史上最多513人の日本選手団が、それぞれの頂点を目指して突っ走るだけだ。
◆竹田恒和・日本選手団団長 「開会式は五輪ファミリーが一堂に会する機会。行進が終わって、いよいよという感じが体の中から沸き上がってきた」
◆富山英明監督(レスリング) 「感動、感激。大会ではレスリングがブレークする。日本の人がたくさん旗を振ってくれた。最高の大会だよね」
◆浜口典子(バスケットボール女子) 「アトランタ五輪にも出たけど、ここに来られて本当に良かったとつくづく思った。現役をやめようと思ったときに励ましてくれた多くの人に感謝したい」
◆杉山愛(テニス女子) 「五輪は3回目だけど開会式は初めて。やっぱり感動です。選手村に滞在するのも今回が初めてなので他競技の人といろいろ話してみたい」
◆今村元気(競泳男子) 「まさかこんなにすごいとは思っていなかった。出てみてびっくりした。日の丸が多くてうれしい」
◆吉田沙保里(レスリング女子) 「すごいのひと言。シドニー五輪はテレビ観戦だったので、実際にその場にこれて信じられない気持ち。みんなの一員として金メダルを取りたいと強く思った」
◆山本博(アーチェリー男子) 「日本からの応援が多くてびっくりした。いよいよ世界最高のイベントが始まった」
◆鈴木桂治(柔道男子) 「最高です。感動した。がぜんやる気も出てきた。何回もこれを味わいたい」
◆松下浩二(卓球男子) 「いままでの中でも一番すごい感動を得た。日の丸をたくさん見ることができ、日本人に生まれて良かったと思った」
◆永田克彦(レスリング男子) 「観衆がすごく多くてびっくりした。迫力のある開会式で感激です」
★神話と歴史織り交ぜ幻想的に
開会式は13日午後7時半(日本時間14日午前1時半)過ぎから始まった。式典はギリシャの神話と歴史を織り交ぜた幻想的で華麗な雰囲気で進み、会場は時に静かに見守り、時に大歓声に包まれた。
スタジアムの中央にはエーゲ海を模した海が広がり、炎が放たれると5つの輪が燃え上がった。ギリシャ国旗を掲げた少年が船に乗って現れ、半人半馬のケンタウロスが登場。古代から悠久の歴史を再現した山車や、未来への希望を象徴する妊婦も現われ、空中に光の帯がDNAのらせん構造を描き出した。
「ギリシャの歴史は今も世界に広がる豊かな思想や価値観を生み出した」と演出担当者。古代と現代を結ぶ五輪を印象づける、五輪発祥の地らしい演出となった。
★イラク登場に観衆総立ち
緑色のジャケットに身を包んだイラク選手団が姿を現すと、アテネの五輪スタジアムは「ウォー」という大歓声に包まれた。観衆は総立ち。欧州諸国や米国の選手団を大きく上回る最大級の歓迎ぶりで、「新生イラク」の五輪参加を祝った。
旗を高々と掲げ、胸を張って先頭を行くのは柔道のハイダル・ラジム選手。時折、観客に見せつけるかのようにスタンドに旗を突き出した。
母国ではいまだに戦闘が続くなど、平和の訪れにはほど遠いのが現状。それでも約20人の選手たちは、開会式の華やかさに身を任せ、晴れやかな表情で観衆に手を振り続けていた。
〔写真:やはり平和の祭典−。開会式では米国選手団とイラク選手団が肩を組み合い、交歓する1コマも=AP〕
★統一旗、2人で握り締め南北合同行進
シドニー五輪に続いて実現した韓国と北朝鮮の合同入場行進。韓国の女性旗手と北朝鮮の男性旗手の2人は、白地に水色で朝鮮半島を描いた統一旗を一緒に握り締めて歩いた。約160人の選手らは、観客席に手を振って祖国統一の思いをアピールした。
84番目に入場した「KOREA(コリア)」の旗手は、韓国女子バレーの具●()正と北朝鮮選手団役員のキム・ソンホさん。長身の2人が規則正しく同じ歩幅でゆっくりと歩を進める。南北の選手とも、朝鮮半島のワッペンをつけた同じブレザー姿。北朝鮮女子柔道で金メダル候補のケー・スンヒ選手が、韓国選手と記念撮影に納まる姿も見られた。
★アフガンの赤石コーチ「複雑で、誇らしい」
2大会ぶりに五輪の舞台に復帰。喜びに包まれて行進するアフガニスタン選手団に、レスリングの赤石光生コーチ(39)がいた。選手団と同じ民族衣装を着て、ちょっと緊張気味に小旗を振った=写真・共同。
84年ロス五輪で銀、92年バルセロナ五輪で銅メダルを獲得するなど、選手、コーチとして5度目の五輪だが、日本以外のユニホームを着ての参加は初めて。「ちょっと複雑な気持ち」と打ち明けた。
今回は55キロ級の選手を指導。「これがアフガンのレスリングの礎になれば」の思いが支えだ。「外国のコーチになることはあまりない。誇らしい」と話した。
★次回開催の中国、NBA姚明余裕の笑み
次回2008年夏季五輪を北京で開催する中国は、赤いジャケット姿で78番目に入場行進。4年後に向け若手中心の選手団だが、旗手にはNBAロケッツの姚明を起用。2メートル超のスター選手は、余裕たっぷりの笑みを浮かべ、堂々と選手団をリードしていた。
★競泳女子代表が選手宣誓
女性の五輪を象徴するように、選手宣誓はギリシャの競泳女子代表のディモスカキが務めた。右手を挙げ、五輪旗の端に左手を添え「薬物を使用せず、真の意味でのスポーツマンシップにおいて、スポーツの栄光とチームの名誉のために競技することを誓います」と宣言。昨年の世界選手権に出場したホープは、大役を見事に果たした。
★ギリシャが誇る6人のスポーツマンが聖火場内リレー
開会式の終盤、聖火が五輪スタジアムに姿を現した。五輪金メダリスト4人を含む、ギリシャが誇る6人のスポーツマンの手を渡って聖火台に火をともした。
最初にスタジアムに走り込んだのは、バスケットボール男子の元スター、ガリスさん。バルセロナ五輪で同国初の女性金メダリストとなった陸上女子100メートル障害のパトリドさん、今大会で4連覇を狙う重量挙げのカキャシビリスらを経て、点火者の96年アトランタ五輪ヨットの金メダリスト、カクラマナキスに渡った。
★あの少年はだれ?
アテネ五輪開会式の冒頭、スタジアム中央に張られた水面(みなも)を滑る船に乗った少年は9歳のミハリス・パチャンジス君=写真・共同。大会組織委員会によると、少年サッカーの選手で「将来が期待される素質を持っている」という。
開会式の演出関係者は、式典の冒頭を飾るため「われわれのコンセプトに合った少年を幾つかの試験を通して選んだ」と話す。船上から国旗を振る姿は観客をひきつけ、式の盛り上げに貢献した。
★「この笑顔を見て」アンゲロプロス会長成功を自賛
アテネ五輪組織委員会のアンゲロプロス会長は開会式が終了した直後の14日未明に会見し、「この笑顔を見てほしい。とても幸せだ。世界はこれで、ギリシャが歴史や遺産だけではないと理解しただろう」と話し、大きな成功を得た式典を自賛した。
★開会式アラカルト★
◆チケット完売 開会式のチケットは4種類。最も高いA席が950ユーロ(約12万8000円)、最も安いD席でも100ユーロ(約1万3500円)。平均月収が約1140ユーロ(15万6000円)前後の人が多いギリシャ人にとっては高額だが、すべて完売した。
◆外国人ボランティア ギリシャ人以外に14カ国の7歳から70歳までのボランティア2428人が開会式式典に出演、1800個のライトが使われて幻想的なムードを盛り上げた。出演者のほかにも31カ国の約2200人のボランティアが後方支援した。
◆216万リットル スタジアム中央につくられた「エーゲ海」の水面には216万2000リットルの水を使用。選手団の入場行進前に突然、水が消えて驚かせたが、毎秒3000リットルを吸い込む直径50センチの排水溝が10カ所あり、3分間ですべての水を地下にあるドーナツ状の貯水槽に移した。
◆3カ国語 入場行進で選手を先導するプラカードにはギリシャ語、フランス語、英語の3カ国語の文字が記された。2枚の板を直角に張り合わせて4面を作る珍しい形で、プラカードを持つ女性は、ゆっくりと回しながら行進した。
◆世界的DJ 入場行進の音楽は世界的に著名なディスクジョッキー(DJ)で、オランダ人のティエストさんが担当。入場行進では初のDJ起用で、聖火台の下のブースで立ちっぱなしで機器を操り、テンポのいい曲で盛り上げた。
◆ビョーク 入場を終えた選手団を、映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主演でも人気を集めたアイスランド出身のアーティスト、ビョークの歌が迎えた。
◆観客リーダー ボランティアの中から20代を中心とした200人がオーディションで選ばれた。白いユニホーム姿で、鈴やライトを使ってスタンドの観客を元気いっぱいにリードした
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