【第88号】岩崎恭子−「今まで生きてきたなかで一番幸せ」

(92年バルセロナ・競泳・女子200メートル平泳ぎ)

★日本選手史上最年少優勝

岩崎恭子 「今まで生きてきたなかで一番幸せです」

 7月27日深夜。夜遅くまでテレビにかじりついていた日本列島が、興奮に包まれた。中学2年生の岩崎が、世界記録保持者、アニタ・ノール(米国)を見事に差しきって金メダル。14歳と6日の快挙は、戦前の32年ロサンゼルス五輪、北村久寿雄の14歳309日を破る日本選手史上最年少記録。あどけない笑顔、そして大粒の涙に日本中がとりこになった。

 岩崎は、五輪前年の全中で、2分31秒08の日本歴代2位の記録をマークし脚光を浴びたが、ノールの世界記録(2分25秒35)との差は実に6秒近くあった。合宿では「試合が終わったらフラメンコを見たい」と話すほど無欲で臨んでいた。

 ところが、午前中の予選でいきなり2分27秒78の日本新をマーク。決勝では2分26秒65とさらに伸ばし、一日で自己ベストを5秒近く縮めた。1メートル57、45キロの小さな体が、水にのって一回り大きく見える一世一代の快泳だった。

 試練が訪れたのは大会後。金メダリストの重圧に、成長期の体の変化で記録は伸びなくなった。逃げ出したい思いを乗り越えて、アトランタ五輪切符を獲得。タイムはバルセロナより2秒以上遅い10位だったが、達成感は金より上だった。

写真:1992年バルセロナ大会、水泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子(共同)


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