【第77号】森末慎二−すべて10点のパーフェクト演技

(84年ロサンゼルス・体操・男子種目別・鉄棒)

★発熱でフィニッシュの難度下げ金つかむ

森末慎二 27歳の森末が、文字どおりのパーフェクト演技。団体規定、自由、そしてこの種目別とすべて10点満点。76年モントリオール五輪のナディア・コマネチ(ルーマニア)以来史上2人目の快挙で金メダルを獲得した。

 自他ともに認める鉄棒のスペシャリスト。逆手から順手の連続片手車輪、連続トカチェフ(背面開脚飛び越し懸垂)、マルケロフ(大開脚ひねり飛び越し)と続き、最後は3回宙返り下りと続く構成は他の追随を許さない。ところが、金とパーフェクトへの期待のプレッシャーは、団体終了後、39度の発熱となって襲ってきた。3日間、熱にうかされるなかで、森末はある決断を行う。フィニッシュを後方伸身2回宙返り下りに難度を下げたのだ。前年の世界選手権で着地で手をつきメダルを逃した苦い教訓も生きていた。

 森末の苦渋の決断をよそに、約1万人の観客は熱狂。着地がぴたりと決まると、「テン!テン!」と10点コールがこだました。

 マイクを持てばプロ顔負け。チームでも一番陽気な男が、表彰台の中央で、大粒の涙にくれた。

写真:1984年ロサンゼルス大会、体操男子種目別鉄棒。森末慎二の10点満点の演技(共同)


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