【第76号】具志堅幸司−奇跡の大逆転で世界一
(84年ロサンゼルス・体操・男子個人総合)
★電光掲示板が“神風”に
27歳の具志堅が、奇跡の大逆転で、ミュンヘン五輪の加藤沢男以来12年ぶりに世界一の座をつかんだ。強豪ソ連らが不参加のなか、日本の前に立ちふさがったのは米国。熱狂的な観衆を意識するあまり、10点満点が続出し、採点基準が物議をかもした大会で、5位で折り返した具志堅と、首位のビドマー(米国)との差は、0・175にものぼっていた。
だが、団体のミスで、具志堅は高得点の出し方をつかんでいた。難しい演技を行って危険を冒すより、フィニッシュを決めたほうが、観客がわき得点は高くなる−。あん馬で9・90、つり輪で9・95、そして跳馬で10点満点。首位と0・025差の3位に上がったところで、具志堅に“神風”が吹いた。
なんと会場の電光掲示板が故障。最新の順位が出なくなったのだ。これで審判がホームタウンデシジョンに惑わされることもなくなった。具志堅は、平行棒で9・90、鉄棒で9・95を出し、ついに首位に。最後の床は後方抱え込み2回宙返りを決めて9・90。2位、ビドマーとの差はわずか0・025だった。
アキレス腱切断など2度の故障、そして絶好調だったモスクワの不参加と不運に泣いてきた男に、ついに幸運の女神がほほえんだ。
〔写真:1984年ロサンゼルス大会、体操男子個人総合優勝した具志堅幸司(共同)〕
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