【第60号】塚原光男−世界をとりこにした「月面宙返り」

(72年ミュンヘン・体操・男子種目別・鉄棒)

★またも日の丸表彰台独占

塚原光男 史上最強といわれた体操ニッポンで、最も象徴的な存在となったのが、24歳、2度目の五輪出場となった塚原だ。ムーンサルト(月面宙返り、後方抱え込み宙返り2分の1ひねり・前方抱え込み宙返り2分の1ひねり)とともに、その名は世界の体操史にさん然と刻まれている。

 初披露は、団体の自由演技。まるで宇宙遊泳のような優美なフィニッシュに、文字どおり世界がとりこになった。以後、塚原が姿を見せるたびにスタンディングオベーションの嵐で、仕上げがこの種目別。出場6選手がすべて9・50以上を出すというハイレベルの争いの中、9・90の最高得点。2位・加藤沢男、3位・笠松茂で、日本はこの大会3度目の表彰台独占。

 もともとはハーフ・イン・ハーフの名でトランポリンでは知られた技。ばねの反動のない体操でやるには確かな技術と、何より恐怖を乗り越える決断力が必要だった。もともと空中でのひねりが苦手だった塚原は、五輪前年のオフから取り組み習得。本番は、練習のし過ぎで腰に腫れを抱えるなか、見事な演技で金を獲得した。

写真:1972年ミュンヘン大会、男子体操・鉄棒でムーンサルトを成功させて優勝した塚原光男


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