【第59号】加藤沢男−大けが乗り越え勝負強さ発揮
(72年ミュンヘン・体操・男子種目別・平行棒)
★つつましい生活に外国人記者も同情
劇的な大逆転で個人総合V2を果たした加藤沢男が、平行棒で通算6個目の金メダル。持ち点首位の加藤は、この日も完ぺきな内容で、9・80。2位は笠松茂、3位も監物永三で、個人総合に続く表彰台独占となった。
21歳で迎えたメキシコ五輪で、すい星のように出現し、個人総合優勝を果たした加藤だが、この4年間は腰つい分離症、アキレス腱切断、右肩痛など大けがの治療に追われる日々。大学院(東京教育大)に進んだため、大学時代もらっていた奨学金がなくなり、週2回、幼稚園で体操を教えるアルバイトと、郷里・新潟の親・兄からの仕送りで、治療と生活にあてていた。
メダル候補への資金援助の必要性が完全に認知され、プロアスリートも続出する今日からは、考えられないような五輪チャンピオンの姿。実際、五輪前取材で来日したドイツ人記者は、東京・幡ヶ谷の下宿に加藤を訪ね、あまりのつつましい生活にいたく同情したという。
入院中にも、治療した足を固めたギプスの重さを利用して、病院の廊下を逆立ちで歩き回って腕を鍛えた加藤。厳しい環境がはぐくんだ勝負強さが光り輝いた。
〔写真:1972年ミュンヘン大会、男子体操・平行棒で金メダルを獲得した加藤沢男〕
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