【第53号】田口信教−ごぼう抜き、世界新で快挙
(72年ミュンヘン・競泳・男子100メートル平泳ぎ)
★泳法違反乗り越えた
かつての水泳王国ニッポンにとって実に16年ぶりの金メダル。田口の快挙は、体の大きな外国選手との差をうめる努力と、「泳法違反」との戦いだった。
広島・三原三中から尾道高2年で迎えたメキシコ五輪。田口は準決勝で1分7秒1の全体で1位となる好タイムをマークした。ところが、水の抵抗を減らすため工夫したキックが、バタフライのドルフィンキックであると判定され、失格。この時の金メダルタイムは1分7秒7。17歳の少年は「絶対に見返してやる」との思いを秘め、練習を繰り返した。
キックは足首を水面ぎりぎりまで沈め、音が出ないようにする「新・田口キック」に改良。さらに手首を鍛え、体が倒れそうになるくらい前傾して飛び出す、フライングぎりぎりのロケットスタートを編み出した。
そして21歳で迎えた五輪本番。準決勝でいきなり1分5秒1の世界新をマークすると、迎えた決勝は、好スタートから抑え、100メートルを7位で折り返してから猛スパート。まさにごぼう抜きで金メダル。夢の5秒の壁をつき破る1分4秒9の世界新に、日本中は沸きに沸いた。
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