【第39号】山下治廣−切れ味鋭い「ヤマシタとび」

(64年東京・体操・種目別男子・跳馬)

山下治広★体操史に輝く跳馬のスペシャリスト

 体操を志す人なら、必ず学ぶ「ヤマシタとび」(手前着手の屈伸倒立転回とび)。62年のチェコ・プラハ世界選手権で初披露以来、跳馬のスペシャリストとして世界的名声を博した23歳の山下にとって、母国での五輪は、人生最高の晴れ舞台だった。

 団体総合連覇の原動力となった山下は種目別2日目の10月23日、満を持して登場。1回目のヤマシタとびはジャックナイフの別名通り、切れ味鋭く着地も決まって今大会最高の9・90。3回目にはさらに1回ひねりを加えた新ヤマシタとびを披露し、9・80。他選手を大きく引き離し、金メダルに輝いた。

 体操を始めたのが16歳になってからという遅咲き。より高く、より遠くへ飛ぶために開発したのがヤマシタとびだった。

 大会直前に日体大体操部の2年後輩、公子さんと婚約。その婚約者が審判補助員として見守る中での金メダル。競技人生は短く、五輪出場はこの大会のみだったが、ヤマシタの名は偉大な技とともに、体操史にさん然と輝いている。

写真:1964年東京大会、体操男子種目別の跳馬で優勝した山下治広


著作権、リンク、個人情報について