【第24号】小野喬−2つのウルトラCで連覇果たす

(60年ローマ・体操・男子種目別・鉄棒)

小野喬 体操種目別の最終種目として行われた鉄棒。38度6分の発熱に悩まされていても、小野は強かった。

 前回メルボルンで「ひねり飛び越し」を発表したのに続き、このローマでは、「背面車輪・方向転換腕立て支持」「開脚回転倒立・瞬間逆手持ちかえ」という新たな2つのウルトラCを披露。五輪連覇で、団体総合、種目別・跳馬に続くこの日3度目となる表彰台の中央に登った。

 1メートル60、56キロの体は小柄の部類だが、ひとたび鉄棒を握ると、自然と大きく見えた。観衆は次々と繰り出される大技にうっとりと見入った。

 東京教育大(現筑波大)1年時に父親を亡くし、辛酸をなめたが、小野をさらに逆境に強くしたのが、海外遠征での苦労だった。初出場したヘルシンキ五輪後の54年に行ったブラジル遠征は、片道切符での旅。大会後、サーカスまがいの演技を各地で披露して、帰路の旅費を稼いだという、今では考えられないような話が残っている。


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