【第20号】古川勝−“人間潜水艦”水泳界に戦後初の栄冠

(56年メルボルン・水泳・男子200メートル平泳ぎ)

古川勝

 異名は“人間潜水艦”。戦後初の水泳の金メダルをもたらしたのは、古川勝の潜水泳法だった。

 のちの鈴木大地(ソウル五輪100背金)のバサロ泳法にみるまでもなく、水中を泳いだ方が水の抵抗が少なく速くすすめる。6000cc近いといわれる肺活量を誇った20歳の古川は、スタート直後から45メートル潜り続け、ターンするとまた潜る。五輪前に、驚異の世界新を連発した古川に刺激され、決勝では潜水泳法で挑むライバルも出現したが、見事2分34秒7のタイムで圧勝した。

 ベルリン五輪女子200メートル平泳ぎで、前畑秀子が女子初の金メダリストとなった36年、和歌山県橋本市にある前畑家の近所で誕生。前畑さん同様紀ノ川で鍛えた体には平泳ぎの天才の血が受け継がれていた。潜水泳法は、五輪開催年の3月から始め、わずか9か月(南半球のため12月開催)で身につけた。息継ぎなしで75メートルはもぐれたという。

 五輪後、国際水連は、潜水泳法を禁止に。古川のあまりの強さが、禁止を早めた。93年、57歳の若さで死去。


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