【体操】米田ら五輪代表決定!メダル獲得へ“最強布陣”

米田功 米田功
 体操・NHK杯兼アテネ五輪代表決定競技会 最終日(3日、国立代々木第1体育館)男子は米田功(26)=徳洲会=が総合170・900点で1位、初の五輪キップを手にした。昨年はNHK杯の失敗で世界選手権出場を逃したが、安定した演技で「エース」をアピールだ。昨年の世界選手権個人3位の冨田洋之(23)=セントラルスポーツ、同じ世界選手権のあん馬&鉄棒金メダリスト・鹿島丈博(23)=同=など6人がアテネ五輪代表に選ばれ、メダル獲得へ“最強布陣”を敷く。女子は石坂真奈美(18)=朝日生命体操クラブ=が総合109・200点で優勝、同僚の大島杏子(17)とともに五輪出場を決めた。〔写真左:優勝した米田の跳馬。遅咲きの実力者にエースの期待がかかる。同右:遅咲きの実力者が、優勝して五輪キップを手に。エースとして期待が高まる(ともに撮影・鈴木健児)

 胸につかえていた1年間のモヤモヤがようやく、晴れた。平行棒の着地を決め、米田の口元が少しだけ緩む。最終種目の鉄棒を終えて、NHK杯制覇、そして五輪出場に満面の笑みだ。

 「ホッとしてます。1位だったけど、鉄棒が終わるまで不安でした」

 昨年は同じ代々木で、屈辱を味わった。6枠の世界選手権代表をかけ、米田はNHK杯に出場。5位をキープしながら、最終種目の平行棒のミスで7位に転落した。世界選手権には補欠選手で帯同し、開催地のアナハイムで「幼なじみ」の活躍を目の当たりにした。鹿島があん馬&鉄棒で金、冨田が個人銅メダルを獲得。小学時代から一緒に練習を行ってきた仲間の晴れ姿に、「自分も金メダルが獲れるんじゃないかと、刺激になった」と振り返る。

 順大時代は練習が終わると連日、パチンコ屋に駆け込んだ。「アジア大会でメダルを獲っても報奨金は5万円、そのくらいはパチンコで稼ぎました」。そんな“パチプロ生活”がウソのように、今は軍艦マーチの誘惑にも負けない。立花泰則コーチは「物事を納得するまで考えるようになった」。1日6時間、ひたすら汗を流す。かつて3種目で切り上げる日もあったが、全6種目の演技を義務付けた。

 遅咲きの五輪キップ。米田は「練習でしっかりできれば、試合で同じように演技ができるという自信がつきました」と、分厚い胸板を張る。もちろん、目指すは3大会ぶりのメダル獲得。五輪発祥の地アテネで、“体操ニッポン”復活の礎を築く。

佐久間賢治

★先輩に続け

 米田は7歳から大阪のマック体操クラブに通い、清風高に進学。同じ経歴を歩み、五輪でメダルを獲得したのはソウル、バルセロナ代表の池谷幸雄氏、西川大輔氏。五輪での活躍は、今でも目に焼き付いている。練習先のJISでときおり池谷氏と顔を合わせ、「『頑張れ、お前なら大丈夫だ』と声を掛けられました」とニッコリ。

★水鳥、3位で五輪キップ!

 実力者の塚原、鹿島を上回る3位で初の五輪キップを手にしたのは水鳥。99年の右大腿骨骨折、02年には左ひざ前十字じん帯断裂という2度の大ケガを乗り越えて復活したオールラウンダーだ。「父が五輪の夢をボクに託しているので、実現できてよかった」。元体操選手の父・一夫さん(55)が本業の大工職傍ら82年に開いた水鳥体操館(静岡市)が原点。体操選手の弟2人の応援も受け、アテネに向かう。

 ◆塚原直也「前回のシドニーでも納得のいく演技ができなかった。3度目の五輪の今回は、自分の思うような演技をしたい」

 ◆鹿島丈博 「初日からすごいプレッシャーがあった。こんなに緊張したのは初めてです」

 ◆中野大輔 「絶対に五輪に行きたいという気持ちを24時間忘れないようにしてました。種目別で完ぺきにやって、メダルを獲りたい」

 【男子
▼個人総合
(1)米田功(徳洲会)170・900点(持ち点56・775、1回目56・950、2回目57・175=床運動9・725、あん馬9・450、つり輪9・225、跳馬9・600、平行棒9・525、鉄棒9・650)
(2)冨田(セントラルスポーツ)170・225点
(3)水鳥(徳洲会)168・775点
(4)塚原(朝日生命)168・412点
(5)鹿島(セントラルスポーツ)168・275点
(7)中野(九州共立大)166・675点

 女子
▼個人総合
(1)石坂真奈美(朝日生命ク)109・200点(持ち点36・550、1回目36・575、2回目36・075=跳馬9・300、段違い平行棒9・150、平均台8・275、床運動9・350)
(2)大島(朝日生命ク)108・337点(3)上村(立教女学院短大)106・037点
(4)佐原(青森大)105・825点
(5)小野(栗東ジュニアク)105・400点
(6)溝口(日体大)105・300点

米田 功(よねだ・いさお) 
米田 功 1977(昭和52)年8月20日、ドイツ・ハンブルク生まれ、26歳。大阪で育ち、徳洲会所属。清風高から順大。7歳から体操を始め、98年NHK杯、99年全日本学生選手権、03年全日本選手権で優勝。1メートル72、64キロ。
冨田 洋之(とみた・ひろゆき)
冨田 洋之 1980(昭和55)年11月21日、大阪府生まれ、23歳。セントラルスポーツ所属。京都・洛南高から順大をへて、現在は順大大学院。8歳から体操を始め、2001、02年の全日本選手権個人を連覇。02年NHK杯で優勝。昨年の世界選手権・アトランタ大会個人で銅メダル。1メートル66、62キロ。
水鳥 寿思(みずとり・ひさし)
水鳥 寿思 1980(昭和55)年7月22日、静岡県生まれ、23歳。徳洲会所属。岡山・関西高から日体大。8歳から体操を始め、98年の高校選抜個人で2位。01年ユニバーシアード大会で団体2位、鉄棒8位。02年全日本学生選手権で個人2位。1メートル72、62キロ。
塚原 直也(つかはら・なおや)
塚原 直也 1977(昭和52)年6月25日、東京・世田谷区生まれ、26歳。父・光男さんは68、72、76年五輪で金3銀1銅1。母・千恵子さんも68年五輪代表。11歳で体操を始め、明大から朝日生命。世界選手権は97年個人総合銅メダル、99年同銀メダル。五輪は96年アトランタ団体10位、個人12位、00年シドニー団体4位、個人18位、鉄棒8位。1メートル66、64キロ。
鹿島 丈博(かしま・たけひろ)
鹿島 丈博 1980(昭和55)年7月16日、大阪府生まれ、23歳。セントラルスポーツ所属。清風高から順大。3歳から体操を始め、大阪・昭和中3年の95年、全日本選手権の種目別あん馬で男子史上最年少優勝を果たす。02年の世界選手権・デブレツッェン大会であん馬3位。03年世界選手権・アナハイム大会では、あん馬と鉄棒で金メダル獲得。1メートル69、61キロ。
中野 大輔(なかの・だいすけ) 
中野 大輔 1982(昭和57)年10月10日、新潟県生まれ、21歳。京都・洛南高から九州共立大4年。6歳から体操を始め、02年全日本選手権でゆか1位。03年ユニバーシアード大会で団体銅メダル、全日本個人2位。今年のアテネ国際(プレ五輪)では平行棒2位。1メートル63、59キロ。
石坂 真奈美(いしざか・まなみ)
石坂 真奈美 1986(昭和61)年4月22日、東京都生まれ、18歳。朝日生命体操クラブ所属。藤村女高3年。3歳から体操を始め、01年国際ジュニア大会でゆか1位、平均台2位。02、03年の全日本選手権・個人を連覇。03年NHK杯でも個人1位、同年世界選手権アナハイム大会に出場。1メートル49・5、38・8キロ。
大島 杏子(おおしま・きょうこ)
大島 杏子 1986(昭和61)年8月5日、東京都生まれ、17歳。朝日生命体操クラブ所属。藤村女子高3年。6歳から体操を始め、00、01年に全国中学の個人を連覇。01年国際ジュニアでは個人2位、平均台1位。03年NHK杯の個人2位、インターハイ個人1位、世界選手権アナハイム大会にも出場。1メートル46、36・5キロ。

 ◆石坂真奈美 「うれしいというより、ホッとした。五輪では予選落ちしないようにしたい」

 ◆大島杏子 「外国人選手と対等に戦えるよう、明るく元気よく頑張りたい」

体操ニッポン
 1960年ローマ五輪から78年ストラスブール世界選手権まで、五輪、世界選手権の男子団体総合で10連覇。日本男子が世界をリードし、黄金時代を築いた。日本の五輪金メダルは男子だけで27個。56年メルボルン大会の小野喬から、84年ロサンゼルス大会の具志堅幸司、森末慎二まで夏季五輪で日本が獲得した98個の金メダルのうち、体操の27個はトップ。

★加納実の展望

日本の競技別
金メダル獲得数
競技
(1) 体操 27
(2) 柔道 23
(3) レスリング 20
(4) 水泳 15
(5) 陸上
【注】夏季五輪に限る
 現時点での最強メンバーがそろった。団体、個人総合、種目別のあん馬、平行棒、鉄棒で5つのメダルを狙いたい。

 団体は米田、冨田、塚原が軸となるが、出番が多い選手でも4種目で済むだろうし、出場機会のない選手もいないだろう。平行棒と鉄棒は3人を選ぶのが大変なくらい。弱点の2種目のうち、ゆかは米田、中野が出てきたし、つり輪では2位争いもできる。

 個人総合は外国勢選手が減っており、狙い目といえる。日本では体操は6種目すべて行うのが大前提。相手は楊威(中国)とハム(米国)しかいない。米田は押しも押されもせぬ日本のトップ。着地の能力はかなり優れている。種目別は鹿島のあん馬、平行棒、鉄棒が楽しみ。ゆかは米田、平行棒は塚原と冨田、鉄棒は米田と冨田にもチャンスがある。厳しい選考を勝ち抜いた精神的にも強い選手たち。とても楽しみだ。(日本体操協会アテネ五輪強化委員会男子体操競技強化本部長、順大教授)

★ライバルはどこ、だれ?

 ▼団体総合   李小鵬、楊威らを擁する中国が断トツの実力。シドニー五輪金メダルのほか、世界選手権でも二軍を派遣した01年大会(5位)以外は最近6大会で5度優勝。2位グループには米国、ルーマニア
 個人総合  昨年世界選手権金のポール・ハム(米国)、銀の楊威(中国)が実力上位。各種目の技の難度が上がっている現在、世界のトップクラスはスペシャリスト化し、6種目をこなす選手は減少の一途。現役の日本選手では塚原直也と冨田洋之が世界選手権でメダル獲得
 種目別  シドニー五輪は6種目すべて違う国の代表が金メダリストになる激戦。昨年の世界選手権では鹿島丈博(あん馬、鉄棒)と李小鵬(平行棒、跳馬)が2冠

体操ニッポン
 1960年ローマ五輪から78年ストラスブール世界選手権まで、五輪、世界選手権の男子団体総合で10連覇。日本男子が世界をリードし、黄金時代を築いた。日本の五輪金メダルは男子だけで27個。56年メルボルン大会の小野喬から、84年ロサンゼルス大会の具志堅幸司、森末慎二まで夏季五輪で日本が獲得した98個の金メダルのうち、体操の27個はトップ。

男子体操・アテネ五輪代表
氏名 所属
米田功 徳洲会 26
冨田洋之 セントラル 23
水鳥寿思 徳洲会 23
塚原直也 朝日生命 26
鹿島丈博 セントラル 23
中野大輔 九州共立大 21
【注】五輪は五輪出場回数


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