ウルトラBoo! 男子鉄棒採点不満でスタンド大騒ぎ
男子体操の種目別決勝が行われた23日、アレクセイ・ネモフ(28)=ロシア=の鉄棒の演技への“辛口”採点に場内から大ブーイングが起き、得点が上方修正される事件が起きた。採点競技では判定に「?」のケースはまれにあるが、「客が騒げば得点が変わる」という悪い前例になった。〔写真右:離れ技連発で観客を魅了したネモフの演技=撮影・川村寧。同下:しかし、意外に低い採点に一斉大ブーイング=撮影・川村寧〕
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体操最終日の最終種目。96年アトランタと00年シドニー五輪で6個ずつ、4つの金を含む計12個のメダルを獲得したネモフが登場した。着地は乱れたが、4連続を含む6度の離れ技。シドニーの鉄棒も制した、「魔術師」の異名をとるネモフの演技に観客は酔った。
ところが得点は「9・725」。演技を終えていた3人中で最低の評価に、ブーイングの嵐が起こった。次が出番のポール・ハム(米国)も演技に入れないままだ。
審判団は何やら話し合った後、得点が「9・762」に修正されてしまった。それで、騒ぎが収まるどころか、もっと騒げばさらに得点が上がるとでも思ったのか、観客の騒ぎは続いた。
日本の塚原光男チームリーダーが「チームからの抗議で点数が変わることはあるが、ブーイングで点数が上がったことは記憶にない」と驚く異常事態。最後はネモフが演技台に戻り、観客に謝意を示し、約10分間の騒動が収束した。ネモフは結局、5位に終わった。
今大会、体操では男子個人総合の採点ミスで韓国選手が3位になり、韓国チームが抗議。国際体操連盟はミスを認めたが、順位変更などは認めない騒動があり、タイミングは最悪だった。
AP通信は「美と華麗さを身上とする競技が醜い一面を露呈」とバッサリ。ネモフも「演技前から得点が決まっていたかのよう。得点は尊重するが、観客を欺けないことも審判員は理解すべきだ」と不満を表明した。
02年ソルトレーク冬季五輪では、フィギュアスケートの審判による「得点買収事件」が起きた。あれから約2年半、採点競技のあり方がまた問われることになった。
★体操の採点ミス★ 男子個人総合でもトラブルがあった。男子個人総合で銅メダルを獲得した梁泰栄(韓国)の平行棒の演技価値点にミスがあったもので、平行棒は10点満点の演技価値点だったが、9・9点で採点したという。優勝したP・ハム(米国)との差は0・049点だった。国際体操連盟は21日に採点ミスを認め、担当審判員3人を資格停止処分とした。だが、成績、順位に変更はなかったことで、これを不服とした韓国チームがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴している。 |
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★あおり食ったP・ハム、それでもお見事銀
観衆の大ブーイングで、その後の競技者がなかなか鉄棒の演技を再開できなかった。4位になったモーガン・ハムは、長時間待たされても2位になった双子の弟で男子個人総合金メダルのポールについて、「あんな時、誰が集中して演技できるんだ。ポールはひるまずに、いい仕事をした」とたたえていた。
◆ソウル、バルセロナ両五輪でメダルを獲得した池谷幸雄氏 「ネモフ選手の演技は派手な離れ技が多く、一般受けする演技でした。ただ、それぞれの価値点は低く、採点のミスはなかったと思います。あれだけ長時間に渡ってブーイングが出るというのいうのは珍しいし、審判団がウロウロする光景というのも見たことはないですね。男子個人総合で採点ミスを犯し、ビビっていたのではないでしょうか」
★ロシアが抗議文提出へ
ロシア選手団の広報担当者は24日、今大会の体操の演技採点について国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長に抗議文を送る意向を明らかにした。広報担当者によると、ロシア・オリンピック委員会は多くの場面でロシアが不利を受けている疑いを感じているといい、国際体操連盟(FIG)への抗議も検討している。
★あのチャスラフスカも
「前代未聞」といいたくなる得点変更だが、実は68年メキシコ五輪でも同様の事件が起きていた。64年東京大会の体操女子個人総合で優勝し、『東京五輪の名華』とうたわれたチェコのベラ・チャスラフスカの段違い平行棒の点数の低さに怒った観客が約10分間、ブーイング。得点が上方修正され、チャスラフスカは金メダルを獲得した。
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