山本ジャパンは万事のんびりの“ギリシャ流”にも動じない

スタンドのいすも壊れているスタジアムで練習する五輪代表 【テッサロニキ(ギリシャ)9日=佐藤春佳】まずは先制パンチだ! 男子五輪代表は、対戦相手パラグアイより1日早い8日にテッサロニキに入りし現地の事情を把握。ID発行や設備の不備など“ギリシャ流”の洗礼も受けたが、山本昌邦監督(46)は選手たちに「泰然自若」を徹底した。パラグアイと同フロアに寝泊まりする宿舎で余裕と『和の心』を見せつけ、機先を制する。〔写真:照明が暗く、スタンドのいすも壊れているスタジアムで練習する五輪代表。チームの“和”で打ち勝つ=撮影・鈴木健児

 ゴングの前から戦いは始まっている。ち密な準備でのぞむ山本ジャパンが眼前の敵にまず、先制パンチだ。8日午後4時半。パラグアイ五輪代表に24時間以上さきがけ初戦の地・テッサロニキ入り。待ち受ける“ギリシャ流”の洗礼も泰然自若を貫いた。

 到着後直行したID発行手続きでは、3台あるカウンターに係員1人。案の定、長蛇の列だが今年4月のギリシャ遠征で知り尽くしたルーズな“ギリシャ流”には誰も動じない。のんびり構える選手の一方、山本監督は先乗りさせたスタッフにホテル到着後側、食事→休養を取れるよう手配の変更を指示。結局、4時間後の練習をキャンセルすることなくすべてを間に合わせた。

 「いきなりこういう状況ならスケジュールが遅れて練習ができなかったはず。準備しているから動じません」と山本監督はニヤリ。一方、9日に現地入りしたパラグアイは、到着が遅れ午前11時からの練習をキャンセル。試合直前の貴重な一分一秒。日程変更によるストレスも含め、小さいようで大きな違いだ。

 8日の練習場は照明が半分しかつかず、薄暗い中での調整となったが、これも順風。他の練習場の環境を調べ今後のスケジュールや練習内容を変更する予定。事情を知らないパラグアイがこの練習場を使えばセットプレーなど細かな動きは確認できないが…もちろん日本戦までそんな情報を教えるつもりはない。

 宿舎は、テッサロニキで試合を行う6カ国のうちギリシャ以外の男女5チームが同宿。パラグアイとは同じフロアでエレベーターや廊下で毎日顔を合わせる「呉越同舟」状態だが、だからこそ『和』を重んじる。

 「イライラした方が負け。選手がまとまっていれば自然に相手に威圧感は与えられる」(山本監督)。ハプニングにもスキを見せない“余裕”の演出を徹底。これまであえてライバルや、年代の違う選手同士を組ませてきた部屋割りも、今回は『仲良し分け』。OAコンビのMF小野−GK曽ケ端や、鹿実高の同窓生、DF那須−MF松井、親友のFW平山−DF菊地…。リラックスと笑顔の『和』で、精神的な団結を強調する。

 今月4日のポルトガル戦(0−5と惨敗)のビデオも入手し、パラグアイ分析もヤマ場。「初戦は本当に重要な一戦」と山本監督。泰然自若と同宿の心理戦を制し、重要な一戦のアドバンテージを握る。

  ◆MF小野(フェイエノールト)「非常にいい気候だし、ここから集中してやりたい」

 ◆MF松井大輔(京都)「みんなすごくリラックスしている。できるだけパラグアイを分析して初戦にのぞみたい」

★テッサロニキ★
 ギリシャ北部に位置し、首都アテネに次ぐギリシャ第2の都市。人口約80万人。気候は地中海性気候で、夏は乾燥して暑く、冬は温暖で雨が多い。テルマイコス湾の良港に恵まれ、商工業の中心として発達。考古学博物館や、96年に世界遺産に登録されたギリシャ最大の教会、アギオス・ディミトリオス教会など、多くの歴史遺産が存在する。
 

★ライバルは?

 日本は“死のB組”と呼ばれる激戦区に入った。五輪予選でサッカー王国ブラジルを倒したパラグアイと初戦。第2戦はU−21欧州選手権で優勝したイタリア。第3戦のガーナも、情報がなく不気味な存在。決勝トーナメントに進める上位2チームに入るため、激しい戦いが繰り広げられる。

★パラグアイは情報漏えい防止に躍起

 日本と12日に対戦するパラグアイは情報漏えい防止に躍起。9日午後からの練習は「パラグアイ人以外は立ち入り禁止」と日本の報道陣を締め出した。1次登録(30人)に名前のなかったエースFWサンタクルス(バイエルン)が、最終登録でバックアップメンバーに入るなど“隠し球”もあるだけに、不気味な空気が漂い出した。


著作権、リンク、個人情報について