なでしこジャパンも順風満帆、大谷2発でカナダ3−0完封

大谷 アテネ五輪ダブル壮行試合(30日、国立)の第1試合では、日本女子代表がカナダ女子代表を3−0で撃破した。1次リーグで対戦する『仮想スウェーデン』と位置づけた一戦で、FW大谷未央(25)=TASAKI=が前半12分までに2得点。悲願のメダル獲得を視界にとらえた。〔写真右:日本女子代表は前半9分、FW大谷がPKを決めて先制=撮影・江角和宏。同下:その3分後にはヘディングでカナダゴールに突き刺した=撮影・江角和宏

▼国立
日本女子代表 2−0
1−0
カナダ女子代表
得点者】▼日=大谷2(PK1)、オウンゴール

 終了のホイッスルの瞬間、思わず両手でコブシを作った。胸のすくような快勝劇に2万7262人の大声援は鳴り止まない。ピッチで肩を落とすカナダの選手が、上田監督にはスウェーデンの選手に映っていた。

大谷 「予想よりうちの方がゲームを支配していた。こちらとしては、もっともっと改善していけば点が取れた」。指揮官の顔は確固たる自信が表れている。3−0。試合内容も圧勝だ。

 『仮想スウェーデン』と位置づけたカナダ戦。先発メンバーの平均身長では日本より7・6センチも高く、キック・アンド・ラッシュのパワーサッカーが共通点だ。FIFAランクも日本の13位に対して11位と格上だが、“なでしこジャパン”は勇敢に立ち向かった。

 前半9分にPKのチャンス。ここでFW大谷が右足インサイドキックで確実に右隅に決めて先制した。「いつもは思いっきり蹴るんですけど、きょうは冷静に右隅を狙いました。PKはそのときの直感なんです」と振り返った。

 2分後の同11分には右サイドのDF川上からのセンタリングに素早く反応した。頭で合わせて2点目。代表では通算30得点目となる記念のゴールだった。

 昼間は田崎真珠株式会社(TASAKI)のOL。ネックレスや指輪の宝飾類の加工をする工芸部に勤務する。五輪切符をつかんでからも、勤務形態は変わらない。しかし、私生活では変化が表れた。「これをアテネに持って行って」と知人からプレゼントされたお守りは7つ。まだ大切にしまってある。アテネではユニホームのどこかに忍ばせて臨む。

 「クロスボールの質が悪い。カウンターを食らう場面が多かった」。上田監督は完勝劇に修正点があることを強調した。だが、FW沢をはじめ主力3人が欠場する試合でこの豪快さ。メダルへの可能性を感じさせてくれる90分間だった。

稲垣博昭

■大谷 未央(おおたに・みお)
 1979(昭和54)年5月5日、滋賀県大津市生まれ。25歳。啓明女学院高から98年TASAKI入団。01年からLリーグ3年連続得点王、昨季はMVPも獲得。アジア五輪予選の北朝鮮戦での得点など、大事なところで得点能力を発揮する頼れるFW。Lリーグ今季7試合7得点、代表通算46試合30。1メートル60、49キロ。

★沢の代役、安藤が先制PK誘う

 右足内転筋痛のFW沢に代わって先発フル出場したMF安藤(さいたま)が見せ場をつくった。前半9分、ゴール前にドリブルで切れこんで先制のPKのきっかけをつくり、シュートも4本放った。「フル出場は初めてで楽しかったし、自信がつきました」。実際は3度目のフル出場。過去のことは忘れてしまうほど密度の濃い90分間だったようだ。

★GK山郷ファインセーブでカナダにリベンジ

 GK山郷(さいたま)がカナダ攻撃陣を制圧。FWシンクレアが放った2本の枠内へのシュートにも反応し、昨年のW杯で3失点した相手にきっちりリベンジを果たした。「W杯の借りを返した感じです。スウェーデンはもっと強いと思うし、最後は気持ちの差になってくると思います」。後半34分に小野寺に交代した後も声を出し続けた。

 ◆故障のためベンチで試合を見つめたエースFW沢(日テレ) 「試合に出たかったけれど、11日にベストで臨むための決断。けがは徐々によくなっている。無理をしないようにしっかり治したい」

サッカー女子日本代表世界大会全成績
月日 スコア 相手
91年中国W杯(1次リーグ敗退)
11・17 1次L ●0−1 ブラジル
19 1次L ●0−8 スウェーデン
21 1次L ●0−3 米国
▼95年スウェーデンW杯(8強)
6・5 1次L ●0−1 ドイツ
1次L ○2−1 ブラジル
1次L ●0−2 スウェーデン
13 準々決勝 ●0−4 米国
▼96年アトランタ五輪(1次リーグ敗退)
7・21 1次L ●2−3 ドイツ
  1次L ●0−2 ブラジル
  1次L ●0−4 ノルウェー
▼99年米国W杯(1次リーグ敗退)
6・19 1次L △1−1 カナダ
23 1次L ●0−5 ロシア
26 1次L ●0−4 ノルウェー
▼03年米国W杯(1次リーグ敗退)
9・20 1次L ○6−0 アルゼンチン
24 1次L ●0−3 ドイツ
27 1次L ●1−3 カナダ

 ◆カナダ女子代表・ペッレルード監督 「日本は半年前より格段にうまくなった。(五輪で日本と対戦する)スウェーデンはベテランぞろいで、チームとしてピークを迎えている。日本がプレッシャーの中で、どれだけできるか」

★なでしこジャパンの今後の日程

 カナダに快勝した“なでしこジャパン”は8月1日に、最終合宿地のオランダ・ザイストに向けて出発。6日には当地で、オランダ女子代表と最終調整試合を行う。7日にアテネ入りし、11日のアテネ五輪初戦のスウェーデン戦に臨む。


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