アテネ五輪にオーバーエージ枠で高原を招集へ

高原直泰 【ボロス(ギリシャ)11日=佐藤春佳肺動脈血栓塞栓症の治療中のFW高原直泰(25)=ハンブルガーSV=が、8月のアテネ五輪にオーバーエージ(24歳以上)選手として招集される見通しとなった。五輪会場を視察中の山本昌邦監督(46)が、高原と電話で話して回復の手応えを得たことを明らかにした。高原は既に日本に帰国。HSV側からは8月上旬にも復帰できるとの診断結果が出されている。〔写真:オーバーエージ枠で招集される高原がプレーする可能性が急浮上だ

 イタリアなど強豪がそろう『死のB組』を突破するには、この男の力が必要だ。ドイツでストライカーとしての実力を発揮している高原が、今月15日に決定するオーバーエージ選手に選ばれることが決定的となった。

 今月上旬に渡欧した山本監督は、すでに高原と数回にわたり電話で話している。病状について詳しい報告を受け、五輪OKという手応えを得た。この日、試合会場のボロスを視察した山本監督は、「電話で話はしている。本人はいたって元気な様子です」と明るい見通しを語った。

 先月下旬に肺動脈血栓塞栓症を再発した高原は、既に入院治療していた欧州から極秘帰国している。この点についても山本監督は「帰国したことは知っている。長時間の航空機移動ができるほどなので(状態は)いいのでは」と話した。

 所属チームのHSVもゴーサイン。ハンブルク市内で高原を診察したチーム医師、ゲロルト・シュバーツ氏は「タカは8月の初めにはチームの練習に合流できるだろう」と断言。毎日血栓を溶かす薬を投与しているほか、週2度の血液検査をしてきた。高原本人も親しい知人に「今の状態なら8月には大丈夫」と話しているという。

 02年W杯でエースとして期待されていた高原だが、エコノミークラス症候群による肺動脈血栓塞栓症で代表メンバーから外れた。大舞台を逸した悔しさは人一倍で、五輪への思いは強い。高原は8月上旬の欧州合宿から、五輪代表に本格合流できる見込み。体調次第では7月6日からの沖縄・石垣島合宿にも姿を見せる可能性は高い。

 68年メキシコ五輪で銅メダルを獲得して以来のメダル獲りを目指す山本ジャパン。五輪予選で活躍した大久保(C大阪)、平山(筑波大)ら強力FW陣に高原が加われば、得点力が飛躍的にアップ。36年ぶりの快挙も夢ではなくなる。

★他の2人は★

 オーバーエージ候補として、高原の他にMF小野伸二(24)=フェイエノールト=とGK曽ケ端準(24)=鹿島=が挙がっている。曽ケ端の参加に支障はないが、小野については五輪とシーズン序盤の時期が重なるためチーム側が難色。日本協会はフェイエと交渉を続けているが、小野は10日のテレビ番組で「クラブと協会が決めること。出たい気持ちは強いけど、難しいかもしれない」と厳しい見通しを告白した。

★肺動脈血栓塞栓症★

 狭い旅客機の座席などに長時間座り続けることで、下肢の静脈に血のかたまり(血栓)ができ、血管を通じて肺動脈に達する。胸の痛みや呼吸困難などを引き起こす。血栓が脳に移動すると脳塞栓、心臓の血管を閉塞させると急性心筋梗塞となり、生死にかかわる。航空機のエコノミークラス搭乗者に多発したことから「エコノミークラス症候群」として注目された。統計的には航空機の搭乗者4500万人に1人の割合で発生する。機内での適度な運動と水分補給で予防できる

★オーバーエージ枠★

 23歳以下で構成する五輪代表メンバー中、各国3人のオーバーエージ(24歳以上)選手を登録することができる。96年アトランタ五輪から導入された制度。日本はアトランタ五輪で枠を使わなかったが、00年シドニー五輪ではGK楢崎(名古屋)、DF森岡(清水)、MF三浦淳(横浜M=現東京V)の3人が招集され8強進出の原動力となった。


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