勝負強いぜ大久保! マリ戦同点弾で五輪メンバー当確

大久保嘉人 サッカー国際親善試合(1日、札幌ドーム)。U−23日本代表が、同じくアテネ五輪に出場するU−23マリ代表と対戦。後半30分のFW大久保嘉人(21)=C大阪=のゴールで1−1で引き分けた。あまり対戦経験のない未知のアフリカ勢を相手に執念のドロー劇。大久保にとっては生き残りをかけた最終登録メンバー18人への“当確弾”となった。〔写真右:FW大久保が後半30分に同点ゴール。最終登録メンバー18人生き残りへの“当確弾”だ=撮影・小倉元司。同下:一度は決定的チャンスを逃した大久保。しかし、やはり最後は頼りになる男だった=撮影・尾崎修二

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 どうだ、この勝負強さ! 大久保の鮮やかな同点劇は0−1の後半30分だった。

 「松井さんがずっと僕の動きを見ていたので、来る、という感じはありましたね。ゴールにパスする感じでした」

大久保嘉人 MF松井がマリDFの股間を抜く芸術的スルーパス。ペナルティーエリア中央から相手GKの動きをよくみて、右足でゴール左へ流し込んだ。サバイバル生き残りへの“当確弾”。現U−23日本代表の初試合となった北の大地は大揺れ。3万7489人のサポーターを魅了した。

 1次リーグでは、マリも含めたアフリカ勢と同組に入ることが決まっている。フィジカル面が弱いとされる日本人は、身体能力に優れるアフリカ勢が苦手だといわれた。だが「そういうのはなくなりましたね。みんなもないんじゃないですか」と、予行演習を最高の形で締めくくった。

 五輪に対する思い入れは強い。昨年ノートパソコンを購入。インターネットを始めるに当たってメールアドレスを取得した。電子メールアドレスに五輪イヤーを記す「2004」を入れようと考えたほどだった。

 だから、ジーコ・ジャパンから外れたうえ、2月の五輪最終予選・UAEラウンドのメンバーから落選したときは落ち込んだ。しかし、その挫折が謙虚さを生んだ。失点直後に放った右足弾を含めた2発は、コースを狙ったインサイドキックだった。どん底を味わった点取り屋は、駆け引きと平常心を身につけた。

 「出たら絶対に決めると考えていた。引き分けだけど、いいサッカーができた」

 オーバーエージ枠で五輪代表入りが有力視されていた高原が、肺動脈血栓塞栓症を再発した。でも、山本ジャパンには大久保がいる。U−23代表ではアテネ行きを決めた3月18日のUAE戦(国立)以来、4試合ぶりのゴール。ひと回り大きくなったゴールハンターがメダル狩りへ突き進む。

大沢謙一郎

 
大久保嘉人(おおくぼ・よしと)
 1982(昭和57)年6月9日、福岡県刈田町生まれ。21歳。長崎・国見高から01年C大阪入団。昨季Jリーグでは日本人トップタイの16得点。A代表デビューは03年5月31日の日韓戦。山本ジャパンデビューは02年9月28日の釜山アジア大会パレスチナ戦(1アシスト)。J通算81試合40得点(J2も含む)。A代表通算15試合無得点。五輪代表通算18試合8得点。独身。1メートル68、61キロ。

 ◆大久保についてU−23日本代表・山本監督 「久しぶりに決めたので、本人はうれしいんじゃないかな。満足? うーん、あそこはよく落ち着いて決めましたね」

★アシスト松井、快感スルーパス

 MF松井(京都)自身も快感スルーパスだった。0−1の後半24分から出場すると、6分後の同30分、相手DFの股間抜きで大久保の同点弾をアシストした。「気持ちよかった。あとは決めてくれよと思ったので決めてくれてよかった」と満足顔。ただ、山本監督が勝利を重要視していただけに、引き分けには悔しそうだった。

★復帰の駒野、サバイバル抜け出す大奮戦

 MF駒野(広島)が、山本ジャパン初戦の02年8月の中国戦以来となるスタメンでフル出場。「最初から飛ばすつもりでいったのがよかった。クロスも狙ったところに蹴れた」と手応えだ。左ひざの故障で戦線離脱。トルコ選抜戦から復帰を果たし、山本監督も「気持ちも含めてアフリカ勢に当たり負けていなかった」と絶賛。生き残りに一歩抜け出した。

★GK黒河は1失点に反省

 トルコ選抜戦に続いて先発したGK黒河(清水)が、好セーブでチームをもりたてた。それでも、「失点はボクの責任。GKは安定感がなきゃ」と反省しきり。オーバーエージ枠が有力なポジションだけに、「(点を)入れられるとチャンスが無くなる…」と複雑な心情をのぞかせた。「あと1カ月ある。まずはチームで試合に出て、アピールしたい」と静かな闘志。(札幌ド)

★ご当地・山瀬に熱い声援

 札幌市出身のMF山瀬(浦和)が、地元の熱い声援を受けて前半の指令塔を務めた。「久々に『帰ってきたな』って感じ。ある程度落ち着いてできた」。好機を演出しながらも、得点には結びつけられなかったが、「マリはしっかりボールを回したり、難しい状況でもつないでいた」。本戦でも当たるアフリカ勢の実力だけはしっかり体感した。

 ◆日本の1本目のシュートを放ったMF鈴木(浦和) 「トルコ選抜戦は出られなくて悔しい気持ちがあった。アピールしたかった」

 ◆安定した守備をみせたDF那須(横浜M) 「アフリカ勢の身体能力も感じられたし、自分たちでやれたこともあった。でも、勝ちきれなきゃ、上にはいけない」


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