アテネ切符もぎ取った! 日本女子感動感激の3−0激勝

日本女子代表 国立で奇跡を起こした! サッカー女子のアテネ五輪アジア予選準決勝(24日、国立ほか)で日本が北朝鮮と対戦。前半11分に先制点を挙げたFW荒川恵理子(24)=日テレ=の活躍などで、苦戦必至とみられた強敵に3−0で快勝した。96年アトランタ大会以来、2大会ぶり2度目となる五輪切符を獲得し、やはりアトランタ以来となる男女アベック出場を決めた。〔写真右:日本女子代表が国立で奇跡を起こした。ここ13年間勝っていなかった北朝鮮に3−0快勝。日の丸が、スタジアムが揺れた=撮影・森本幸一。同中:日本は前半11分にFW荒川=左端=が先制=撮影・森本幸一。同下:日本の2点目は北朝鮮のオウンゴール。チャン・オクキョン=左=は両手で顔を覆った。右はFW大谷=撮影・鈴木健児

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 ▼準決勝(国立)
日本女子代表 2−0
1−0
北朝鮮女子代表
【得点者】▼日=荒川、オウンゴール、大谷

 試合終了の笛と同時にグラウンドには歓喜の輪ができた。国立の夜空に乙女たちの願いが通じた瞬間だった。日本女子代表が聖地で“奇跡”を起こした。
荒川=左端=が先制
北朝鮮のオウンゴール

 「やれない相手ではない…と。自信を持ってやれました。アテネでは金メダルを獲りたい」。笑いたい。でも涙があふれてくる。スタンドでは日の丸が揺れている。ヒーローのFW荒川はドでかい仕事に目を赤くはらした。

 女子サッカー史上最高の観衆3万1324人。サポーターの熱い声援を受け、“奇跡”の扉を開けたのは前半11分だ。右からMF川上のクロスボールを相手DFがクリアミス。「来たって感じでした」と右足アウトサイドで先制点を奪った。前半ロスタイムには左サイドを突破。ゴール前に低いクロスを入れた。ボールはDFにあたり、2点目となるオウンゴールを誘発した。

 こんな筋書きを誰が予想しただろう。96年アトランタ大会に出場した日本女子だが、その後に始まったのは『北朝鮮の呪縛』だった。97年12月から7連敗中。しかも最近の4試合は完封負けで、FIFAランクも北朝鮮7位、日本14位と立場は逆転した。

 打倒・北朝鮮。最終合宿の紅白戦では黒いマジックで『対北朝鮮用』と書かれた袋がお目見え。その中には北朝鮮カラーの「赤いビブス」があった。控え組が相手メンバーと同じ背番号のものをつけ、同じポジションに入った。それほど、この決戦を意識しなければならなかった。

 「みんなからサンキューの嵐でした」と荒川。前半終了後の控室は、愛称の『がん』が鳴り響いたという。実家は東京・練馬駅前にあるラーメン店。その店名「元祖札幌や」から取ったものだ。01年6月に左肩脱臼。12月に復帰するも、翌年1月には右足すねを骨折した。1年間のリハビリを強いられたが、そんな苦しみも今は大きな喜びに変わる。

★サッカー日本女子代表の世界大会成績★
大会名 場所 成績
91 W杯 中    国 1次L敗退
95 W杯 スウェーデン 8  強
96 アトランタ五輪 米    国 1次L敗退
99 W杯 米    国 1次L敗退
03 W杯 米    国 1次L敗退
【注】五輪はアトランタ大会から正式競技に採用
 さあ、アテネへ。自身2度目の五輪となるエースFW沢も、気迫を前面に押し出した。負傷している右ひざに、テーピングをぐるぐる巻きにして出場した。

 「ずっと痛かった。90分間出られるとは思ってなかった。最後は早く笛が鳴ってくれないかと思っていた」

 沢も泣いていた。夢はかなった。だが、26日にまだ中国との決勝がある。大和ナデシコは、初タイトルを勝ち取ってアテネに乗り込む。

(稲垣博昭)

■日本サッカーの奇跡&歓喜アラカルト■
★ベルリンの奇跡 日本サッカーは初めて五輪の舞台に立った36年ベルリン五輪。16カ国がトーナメントで戦った。日本の1回戦の相手は優勝候補のスウェーデン。前半は0−2も後半の3得点で大逆転。地元メディアも絶賛の嵐だった
★マイアミの奇跡 96年アトランタ五輪。1次リーグ初戦はブラジル戦。シュート数日本4、ブラジル28という防戦一方ながら、後半27分の伊藤のゴールで1−0で勝利した。各国メディアは「五輪史上に残る番狂わせ」と報道。日本では「マイアミの奇跡」と快挙をたたえた
★ジョホールバル
(マレーシア)の歓喜
97年のフランスW杯アジア最終予選(アジア枠3・5)。B組2位の日本はA組2位イランとの第3代表決定戦に進んだ。試合は2−2の同点で迎えた延長後半13分、岡野が劇的ゴールを決めた。日本は54年スイスW杯挑戦以来、44年目で悲願の初切符を手にした

★得点王・大谷がダメ押し3点目

大谷未央 後半19分、勝利を確信させる3点目を決めたFW大谷(TASAKI)は「積極的にいこうと考えて戦った。勝つイメージだけ意識していた」と会心の笑顔。この日のゴールで、今大会は3試合連続の4点目。FW沢とともにチームをけん引する「エース」が、昨年Lリーグ得点王&MVPの存在感を強烈にアピールした。

写真:日本の3点目はLリーグ3年連続得点王のFW大谷だった=撮影・佐藤雄彦

★主将代行・磯崎、こん身のディフェンス

 この日の“守役”は主将代行のDF磯崎(TASAKI)。後半34分、必死の反撃をみせる北朝鮮が、ゴール前の密集から押し込んだボールを、こん身のヘディングでクリア。「FWが3点も取ってくれたから、1点も許さないつもりだった」と“完封”を演出するファインプレー。キャプテンの重責をまっとうした。

★アテネ五輪女子サッカー★

 出場は10カ国。アジア2カ国が決まり、これで全チームが出そろった。男子同様、6月9日に組み合わせ抽選が行われ、8月13日の五輪開会式に先がけ11日にスタート(決勝と3位決定戦は26日)する。3カ国ずつ2組(E、F組)、4カ国1組(G組)の計3組に分かれて1次リーグ。E、F組の2位までと3位同士の成績上位チーム、G組の3位までの計8カ国が決勝トーナメントに進出する。

★女子サッカー・アテネ五輪大陸別出場国★
地域 国名
開催国 ギリシャ(初出場)
アフリカ ナイジェリア(2大会連続2度目)
欧州 ドイツ(3大会連続3度目)
スウェーデン(3大会連続3度目)
アジア 日  本(2大会ぶり2度目)
中  国(3大会連続3度目)
南米 ブラジル(3大会連続3度目)
北中米・カリブ海 米  国(3大会連続3度目)
メキシコ(初出場)
オセアニア 豪  州(2大会連続2度目)

★日本の球技の五輪最多出場★

 64年東京、76年モントリオール、96年アトランタの6種目がこれまでの最多。サッカー女子がアテネ五輪出場権を獲得し、サッカー男子、バスケットボール女子、ホッケー女子、ソフトボール、野球と合わせ最多6種目に並んだ。バレーボール男女に出場権獲得のチャンスがあり、これまでの最多記録を上回る可能性がある。

★日本団体球技のアテネ五輪出場権獲得状況★
サッカー 男子 3月のアジア最終予選で獲得
女子 24日のアジア予選準決勝で獲得
野球   昨年11月のアジア選手権で獲得
ソフトボール   02年の世界選手権2位で獲得
バスケットボール 男子 × 昨年9月のアジア選手権で敗退
女子 1月のアジア選手権2位で獲得
バレーボール 男子 5月8〜16日に世界最終予選
女子 5月22〜30日に世界最終予選
ハンドボール 男子 × 昨年9月のアジア予選で敗退
女子 × 昨年9月のアジア予選で敗退
ホッケー 男子 × 3月の五輪最終予選で敗退
女子 3月の五輪最終予選優勝で獲得
水球   × 昨年9月のアジア選手権で敗退

★君が代のサムシング・エルスも絶妙ハーモニー

 試合前に両国国歌が披露され、君が代を歌ったのはアカペラ3人組みのサムシング・エルス。3人の息の合ったハーモニーで歌い上げた。選手は日本国旗に向かって全員で右手を左胸にあてながら精神を集中させた。(国立)


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