同点直後の千金ヘッド大久保、日本救った!
アテネ五輪アジア最終予選B組・日本ラウンド(16日、国立)堪えた、アテネに“王手”だ! サッカーU−23日本代表はレバノンに2−1勝利。アジア最終予選初先発のFW大久保嘉人(21)=C大阪=が後半24分、気合満点の決勝ヘッド弾を決めた。“国見高2トップ”を組んだ後輩・平山相太(18)に刺激されるように、山本ジャパンでは昨年5月以来のゴール。日本は得失点差で1位を死守。18日のUAE戦で、3大会連続7度目の五輪出場を絶対に決める!!〔写真右:初先発のFW大久保が後半24分、執念の決勝ヘッド。プロ入り後は“鬼門”だった国立で、山本ジャパンの救世主となった=撮影・小倉元司。同下:決勝弾の大久保に、国見高の後輩・平山も抱き着いた〕
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もうヒールとは呼ばせない。窮地に陥っていたチームを帰ってきた点取り屋が救い出した。国立競技場が揺れている。やはり、その激しさを武器に変えたのは大久保だった。
「ドンピシャでした。自分は(頭で)当てるだけだった」。振り返ったゴールは後半24分。2分前に守備陣のミスから同点に追いつかれ、国立の5万大観衆が沈黙した直後。「下を向くな!」とチームメートを鼓舞した言葉を、自身のゴールで示してみせた。
中盤右からMF前田(磐田)が入れたアーリークロス。飛び込んだFW田中達(浦和)に「OK」の声をかけてスルーさせ、強烈ヘッドでレバノンゴールを突き破った。昨年5月21日のニュージーランド戦(神戸ウ)以来のU−23代表ゴール。「少しはスッキリしましたかね」とそこにはさまざまな思いが交錯していた。
天皇杯決勝まで進んだ年明けからA代表合宿に参加。2月18日のドイツW杯アジア1次予選のオマーン戦のメンバーから外れ、UAEラウンドに臨む五輪代表からも漏れた。直後には代表合宿中にキャバクラに行ったことも発覚。FWでありながらイエローカードをもらう“常習犯”の大久保にとっては、追いうちをかけるような出来事の連続だった。
そんなイメージもこの日の試合で払拭した。国見高の後輩で『釜本2世』と称される平山と初めて組んだ2トップが、大久保の激しい闘争心に冷静さを刷り込んだ。
国見高時代の全国高校選手権では、2試合で3得点した国立競技場の舞台。プロ入り後はJリーグなどで“鬼門”となっているが、山本ジャパンの危機に初先発指名を受けた男は、ひたすらゴールをこじ開けることに集中した。
前半13分、相手ゴール前で相手DFの激しいタックルを受けたが、グッとこらえた。これで得たFKが阿部の先制弾につながった。後半33分に受けた警告も、自陣での守備中に犯した反則。相手のチャンスをつぶした代償だった。
やっと“あの人”へも恩返しできた。カタール遠征中の昨年11月1日。C大阪に誘ってくれた吉村大志郎氏が脳内出血で急逝(享年56)。大久保は帰国後、色紙に「マジメに頑張ります」と書いて霊前にささげた。この日の試合を観戦したC大阪の鬼武会長は「(吉村は病床で)よう怒っとったけど、きょうはよう頑張ったな」と大久保をほめたたえた。
「そりゃもう、点を取るだけです」。最終戦のUAE戦に向け、大久保がどこまでも頼もしい。五輪切符は見えた。“王手”はかけた。エースがアテネへの先導役となる。
(岡田薫士)
【データBOX】
大久保は山本ジャパン出場15試合目。得点は03年5月21日のニュージーランド戦(神戸ウ)以来、5得点目。ヘッドで3得点、右足が2得点。
プロ入り後の国立競技場は“鬼門”だった。J1通算44試合(01、03年=02年はJ2)で18得点しているが、昨季第2ステージ10月26日の横浜M戦での1得点のみ。ナビスコ杯、天皇杯でも得点はない。
国見高時代の国立競技場は、3年の高校選手権準決勝&決勝で計3得点をマーク。山本ジャパンでは03年5月1日のミャンマー戦以来、2得点目になる。
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★大久保の苦闘メモ★
★遠いゴール 昨年5月の韓国戦でA代表デビューも、今年2月のイラク戦まで15試合出場で無得点。昨年12月の東アジア選手権の韓国戦では前半18分、2枚目のイエローを受けて退場。初代王者を逃した“戦犯”に
★掛け持ち A代表デビューから山本ジャパンとの掛け持ちが常態化。精神的、肉体的な疲労を考慮したC大阪は今年1月、日本協会に「一本化してほしい」と要望
★ダブル落選 W杯アジア1次予選のオマーン戦の代表から落選。さらに五輪アジア最終予選のUAEラウンドのメンバーからも外れた。山本監督は掛け持ちによる体調面の不安を落選の理由にあげた
★掟破り 2月のA代表の茨城・鹿嶋合宿で大久保ら7選手が無断外出し、飲食していたことが発覚。協会、クラブ側からの処分は現時点で科されていないが、ジーコ監督は「プロの自覚をもて」と猛省を促した
★平山“先輩絶賛”
5日のUAE戦以来、2試合ぶりの先発出場で初めてフル出場したFW平山相太(国見高)は高校の先輩、FW大久保と初コンビ。決勝ゴールを決めた大久保に「やっぱり頼りになる先輩」と尊敬のまなざし。自らはUAEラウンド後、体調を崩していただけに、「90分? 辛かったです」と初のフル出場にグッタリ。この日はシュート2本で無得点。最終戦で必ず五輪予選初ゴールを奪い取る。
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