荒川殊勲弾、なでしこ金星メダルが見えた!

荒川 【ボロス(ギリシャ)11日(日本時間12日未明)=牧慈】アテネ五輪サッカーが13日の開会式に先駆けてスタート。日本女子は1次リーグE組初戦で昨年のW杯準優勝のスウェーデンと対戦。前半24分、主将DF磯崎浩美(28)=TASAKI=のFKからFW大谷未央(25)=TASAKI=が頭でつなぎ、相手GKがはじいたところをFW荒川恵理子(24)=日テレ=が右足で押し込んだ先制点を守り切り、1−0で強豪を破る金星。メダル獲得へ視界が大きく開けてきた。日本は14日、アテネでナイジェリアと対戦する。〔写真:FW荒川が前半24分に決勝ゴール。なでしこジャパンがいきなり大金星を挙げた=撮影・尾崎修二

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1次リーグE組
日本
1勝
勝ち点3
1−0 スウェーデン
1敗
勝ち点0
0−0
【得点者】▼日=荒川

 気温29度のパンテサリコ競技場に乙女たちの大きな声がこだました。大柄なスウェーデンの選手はぼう然だ。その一撃に日本から駆けつけた選手の家族ら総勢63人の大応援団からは大歓声が上がった。

 前半24分だった。主将DF磯崎のFKから相手ゴールを奪った。FW大谷が頭でつなぎ、相手GKがはじいたところをFW荒川が右足で押し込んだ。アテネ五輪のボロスで生まれた歴史的1勝。このゴールが女子サッカーの五輪初勝利、初勝ち点をもたらした。

 何とFIFAランク4位(日本は13位)で昨年のW杯準優勝の強豪から大金星。過去の対戦で1分け4敗と1度も勝てなかった相手を前半から苦しめ、決定的なチャンスすら与えなかった。アテネ切符をつかんだ4月のアジア予選準決勝、北朝鮮戦(○3−0)の奇跡は再現された。

 ヒロインの荒川は、その北朝鮮戦でも先制点を挙げている。サッカーを始めたのは小学校2年から。ある1人の大物選手との出会いが、ますます荒川をサッカーにのめり込ませた。小学校5年のとき、東京・池袋の西武百貨店でのことだった。当時のアルゼンチン代表FWマラドーナが特別講師として招かれた「少年サッカー・クリニック」に参加した。

 超高速ドリブルにうっとり。笑顔で優しく指導してくれた思い出は今でも忘れない。部屋にあるマラドーナのビデオも数え切れない。誕生日はマラドーナと同じ10月30日(荒川は79年、マラドーナは60年)。目立つ髪は自称「アフロ風おばパーマ」。これもマラドーナを意識した? ド肝を抜く先制弾は確かにマラドーナのようだった。

 96年アトランタ大会は3戦全敗で涙にくれた女子サッカー。この日の先発の平均身長は1メートル62でスウェーデンの選手に約6センチも劣る。誰の目にも細く、小さく見えた選手たち。何度も倒されそうになったが、主将の磯崎らDF陣が、中盤をまとめるMF沢が、スウェーデンのチャンスの芽をつみとった。

 「相手のボール処理が悪かったので、ウチのサッカーがはまった」とFW大谷。これで準々決勝でドイツ、中国との対戦を回避するE組1位通過も見えた。いや、見えたのはそれだけではない。メダルがはっきりと視界に飛び込んできた。

荒川恵理子(あらかわ・えりこ) 1979(昭和54)年10月30日、東京都生まれ。24歳。小2のとき、地元のサッカー少年団でサッカーを始める。中学生で読売メニーナに入り、文華女子高在学中に読売ベレーザ(現日テレ)へ。00年6月のカナダ戦で代表デビュー。Lリーグ今季7試合5得点。代表通算21試合8得点。1メートル66、55キロ。

両親もギリシャで感無量

 FW荒川の先制ゴール後、ラーメン店「元祖札幌や」を休業してまで応援に駆けつけた両親は好対照の表情を浮かべた。父・富蔵さん(65)は「やったなあと思いました」と冷静。母・栄子さん(64)は喜びのあまり涙をこらえきれなかった。「小6のときに自画像を描いたその下には『女子サッカー選手になって活躍したい』と。願いが通じて五輪で点が取れてよかった」とハンカチで顔を覆った。

データBOX

サッカー日本女子代表が五輪で初勝利、初勝ち点を挙げた。正式種目となった96年アトランタ大会では1次リーグ3戦全敗で敗退。ドイツに●2−3、ブラジルに●0−2、ノルウェーに●0−4だった

これで五輪通算成績は1勝3敗。五輪と並ぶ世界大会・W杯は、過去4度の出場で2勝1分け10敗の成績を残している。世界大会は通算3勝1分け13敗となった

この勝利で決勝トーナメント進出に大きく前進した。日本女子代表が過去1度の五輪、過去4度のW杯で1次リーグを突破したのは、95年スウェーデンW杯だけ。世界大会としては9年ぶりの突破にリーチ!

サッカー女子日本代表のスウェーデン戦全成績
年月日 大会 スコア
88・ 6・ 5 国際親善 ●0−3
91・ 4・ 3 国際親善 △2−2
11・19 W杯 ●0−8
95・ 6・ 9 W杯 ●0−2
96・ 7・15 強化試合 ●1−3
04・ 8・11 アテネ五輪 ○1−0
※通算1勝1分4敗
【注】Aはアウエー、Nは中立国

日本サッカー協会・川淵三郎キャプテン 「採点するなら200点。攻撃の狙い、守備の狙い、上田監督の目的意識がはっきりしていた。感心した。正直、引き分けで上出来と思っていたが、申し訳ないなぁ。前半の戦いをしていけば、優勝も狙えると思う」


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