アルゼンチン金、テベスのシンデレラストーリー始まった

カルロス・テベス サッカー男子の決勝が行われ、アルゼンチンがパラグアイを1−0で下して初優勝。52年ヘルシンキ大会以来、同国にとって52年ぶりとなる金メダルを獲得した。『マラドーナ二世』FWカルロス・テベス(20)=ボカ・ジュニアーズ=が前半18分に決めたゴールが決勝点となった。〔写真:決勝ゴールを決めたテベスは、天を仰いで神に感謝した=撮影・奈須稔



 大きな男たちが、顔をくしゃくしゃにして走り回った。「アルヘンティーナ! アルヘンティーナ!!」。全員で手をつなぎ大きな輪を作り、母国の名を叫びながらピッチの中央で歓喜のダンスを踊った。

 全競技を通じ、52年ヘルシンキ大会のボート競技で獲得して以来の金メダル。宿敵・ブラジルに先んじて南米勢初制覇の称号も得た。A代表兼務でアテネに懸けたビエルサ監督は「勝利が必要不可欠だった。勝利の喜びは人々に幸せを運ぶ」と感無量だった。

 立役者はやはりFWテベス。前半18分、右サイドからのクロスを右足でゴール左隅に爽快弾。強力DF陣にはこの1点で十分だった。大会を通じて無失点で優勝を飾った。国際サッカー連盟(FIFA)によると、FIFAの大会では史上初だ。

 「金メダルをとれてうれしい。だって僕らは素晴らしいチームだし、みんなすごく仲良しだからね」。8得点で得点王に輝いたテベスは、ブエノスアイレス市内で最も危険な犯罪多発地域「フエルテ・アパッチェ」に5人兄弟の長男として育った。耳の下から胸に今も残る大きなケロイドは、生後10カ月のときに誤って熱湯を浴びた跡だ。

 小学生時代に折った前歯は今もそのまま。所属のボカが手術費負担を申し出ても「これは僕の勲章」と断った。貧民層出身、ドリブルのときに舌を出すクセの共通点から『マラドーナ二世』と呼ばれる。セリエA・インテルら強豪クラブは早くも高額オファー。シンデレラストーリーの階段を一気に駆け上がる。

 9月4日のW杯予選ペルー戦には、この金メダル組からテベスをはじめ11人がA代表に選出されている。2年後のドイツW杯へ死角なし。アルゼンチンの黄金時代がアテネから始まる。

 ◆アルゼンチンMFダレサンドロ 「僕たちは歴史を作った。この素晴らしい勝利をアルゼンチンの人々と、個人的には僕の大切な家族に贈りたい」

データBOX
 28年アムステルダム大会のウルグアイ以来、76年ぶりの南米勢の金メダルが確定していたが、その栄冠はアルゼンチンがつかんだ。

 五輪優勝国は特定の国に偏っておらず、今回21度目の大会でアルゼンチンが16カ国目。最多は3度のハンガリーで、2度も英国、ウルグアイ、ソ連の3カ国しかない。ほかに11カ国が1度ずつ優勝を経験している。ちなみに、W杯は過去17度で優勝経験国は7カ国。

 また、イタリアが銅メダルに輝き、欧州勢のプライドを保った。欧州勢がメダルに絡まなかったのは、過去に96年アトランタ大会の1度だけ。



★パラグアイは銀にも誇り

 パラグアイの同国初メダルの色は「銀」で終わった。後半からは攻勢に転じたが、アルゼンチンGKの好守備に阻まれた。ヤラ監督は「このタフなトーナメントを乗り切り、銀メダルに満足している」と満足そう。A代表の主将も務めるDFガマラは「このメダルが国民に誇りを与えられることを願っている」と笑顔を見せた。


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