ミア・ハム有終、米国女子“王国”復活のV

ミア・ハム 女子サッカー王国の復活だ。決勝で米国が延長の末、初優勝を狙ったブラジルを2−1で下し、2大会ぶり2度目の金メダルを獲得した。世界的スターのFWミア・ハム(32)は、有終の金で現役引退を表明した。3位決定戦はドイツがスウェーデンを1−0で下し、2大会連続で銅メダルを獲得した。〔写真右:現役ラストゲームで優勝を果たしたミア・ハム。有終の金だ=撮影・鈴木健児。同下:星条旗を掲げ、ビクトリーランをする米女子サッカーチーム。2大会ぶりに金メダルを奪回した=撮影・鈴木健児



 胸に下げた金メダルの上に、歓喜の涙が流れ落ちた。「U・S・A」コールに包まれ、女子サッカー界の女王・ハムが有終の美を飾った。

米女子サッカーチーム 「人生いろんな経験をしてきたけど、こんな感動的な夜はないわ。素晴らしいキャリアの終幕になったと思う」。涙はこぼれるままにハムは白い歯を見せた。15歳で米国代表入り後、国際試合は266試合で153ゴール。輝かしいキャリアの上にアトランタ大会以来、2個目の金メダルを付け加えた。

 女子サッカー大国の意地でつかんだ勝利だった。ハム、主将のJ・ファウディら5人の選手が引退を正式表明。スタメン11人中、6人が30代という絶頂期を過ぎたチームに、初の決勝進出を決めた若さのブラジルが襲い掛かった。1−1のまま、延長に突入。延長後半の22分、CKをFWワンバックが押し込み、何とか逃げ切った。

 ベテラン勢の経験と技が、若手の勢いと融合した。先制弾を決めたMFタープリーはチーム最年少の20歳でノースカロライナ大の現役女子大生。「引退する先輩のために金メダルが欲しかった」。決勝ゴールのワンバックも24歳だ。「互いの信頼がチームを1つにまとめた」とハインリクス監督もうなずいた。

 シドニー五輪では決勝でノルウェーに敗れ、昨年のW杯でも準決勝でドイツに完敗。米女子プロリーグも財政難で休止中だ。低迷打破へ、アテネでの世界一が必要だった。

 五輪後は夫で野球のスター選手でMLBカブスのノーマー・ガルシアパーラー内野手と「幸せな生活を送りたい」というハムも、プロリーグ再開を願って、若手の活動支援の基金設立などを検討しているという。米女子サッカーが再び、隆盛の時を迎える。

★美しいサッカー、女子もブラジル時代がやってくる

 『王国』建設への第一歩は確実に刻んだ。「こんな美しいプレーを見せられる彼女たちの境遇を変えたかった」とシモンエス監督。98年フランスW杯で男子ジャマイカ代表を率い日本を破った現ブラジル女子代表監督がつぶやいた。

 男子はサッカー王国といわれるブラジルだが、女子はプロとして活躍する場がなく、一部の米女子プロリーグ所属選手も、同リーグ休止後は生活苦を強いられている。「3人の娘に誇りに思ってもらおうと、就任を決めた」という同監督は、5カ月前に監督就任を受諾した。

 「米国のお株を奪う、ぶつかり合いも制した。試合には負けたが、勝負には勝った」。誇らしげな同監督。同点弾をアシストしたFWクリスチアネは19歳。50メートル独走ドリブルで沸かせたFWマルタは18歳。男子も果たしていないサッカーでは初の五輪メダルは、銀色に終わった。しかし、その輝きは、未来を明るく照らしている。


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