パラグアイ決勝へ、アルゼンチンと南米対決

決勝進出を果たしたパラグアイ サッカー男子の準決勝が24日に行われ、初4強のパラグアイが決勝進出を決め、全競技を通じて同国初の五輪メダルが確定した。オーバーエージ(24歳以上)枠で出場のFWホセ・カルドソ(33)=トルーカ=の2得点などでイラクに3−1圧勝劇。決勝の相手はイタリアを3−1で下したアルゼンチン。南米勢がともに初優勝を目指し、28日(日本時間午後4時開始)に激突する。〔写真:決勝進出を果たしたパラグアイ。ベニテス、マンスール、ガマーラ=左から=が抱き合って喜ぶ=AP



 南米のサッカー強豪国の歴史に新たな1ページが加わった。初の4強同士の対戦で、パラグアイがイラクを破り決勝進出。同国にとって、全競技を通じて初めてのメダル獲得が決まった。

 「大きな感動と幸せを味わえたよ」。殊勲の2ゴールをあげたカルドソは、目を赤くしながらスタンドを見つめた。前半17分、FWバレイロが頭で流した球に走りこんで先制ゴール。同34分には相手DF2人の間を突破して決めた。02年南米最優秀選手にも輝いた33歳のベテランが熟練の技を披露した。

 パラグアイの五輪初参加は72年ミュンヘン大会。今回のアテネはサッカーを除けば参加選手は10人で、前回00年シドニー大会は全競技でわずか4選手だった。サッカー以外の競技は財政面などから政府援助も少なく、サッカーが国民のすべての期待を背負っているといっていい。
 アルゼンチンも決勝進出を決め、南米勢が金メダルを獲得することも確定。南米勢のサッカー金メダルは実に76年ぶりのこと。王国・ブラジルもたどり着いていない栄光を前に、ハラ監督は「最高の環境とはいえない中で、南米の2チームが頂点を戦うなんて、素晴らしいことじゃないか」と興奮を隠さない。

 多くのA代表経験者を有するパラグアイの五輪世代だが、欧州のクラブに所属する選手は18人中4人のみ。後半23分にダメ押しの3点目を決めた22歳のバレイロは「この大会をきっかけに欧州でプレーするチャンスを得たい」という。

 五輪の舞台は各国の代理人が集まる若手の見本市。欧州のように立派なロッカールームがあるクラブは数少なく、給料が滞ることもしばしば。それが中小の南米クラブの実情。若手が“ヨーロピアン・ドリーム”を描くのは当然のことだ。

 「勝てない相手などいないよ」とハラ監督。1次リーグ初戦は日本を4−3で破っている。ついに頂上に手をかけるところまできた。5試合16得点無失点の相手にも、もう歩みを止めるわけにはいかない。

★アルゼンチンはテベスが大車輪

 アルゼンチンはまたもFWテベスが1ゴール1アシストの活躍。2大会ぶりの決勝進出を決めた。7得点で大会得点王もほぼ手中に収めたエースに対し、普段は個人評価を口にしないビエルサ監督も「適応力が素晴らしい。チーム意識もプロだ」と絶賛した。過去2度の決勝でいずれも逃した悲願の金メダルは、目の前まで迫っている。

データBOX
南米勢同士の決勝は28年アムステルダム大会以来で2度目。確定した南米勢の金も、このときのウルグアイ以来、76年ぶりとなる。

五輪サッカー男子はウルグアイの24、28年の連覇以降、プロと変わりない生活を送る「ステート・アマ」を擁する東欧の時代に突入。36年ベルリン大会から、実に欧州勢が13大会連続で金を獲得した。この間、欧州以外の国がメダルに絡むことも難しかった。牙城を崩したのが68年メキシコ大会で銅に輝いた日本だった。

南米勢の復活はプロ解禁となった84年から。戦国時代に突入し、同年と88年にブラジルが銀メダル、96年にアルゼンチンが銀、ブラジルが銅、00年にチリが銅を奪っている。



★イラクは銅へ闘志新た

 イラクのハマド監督は「まだメダルのチャンスはある。次に全力を尽くす」と27日(日本時間28日午前2時半開始)の3位決定戦に気持ちを切り替えた。観客席では約400人の応援団が熱狂的に「イラク、イラク」と叫び続けた。試合後は「ありがとう」の大合唱も起こった。「戦争で命を落としていった女性、子供のことを思って頑張りたい」とハマド監督。60年ローマ大会の重量挙げで取った銅メダル以来、44年ぶりの同国のメダルに思いを込めた。

 ◆68年ぶりの金メダルが消えたイタリア・ジェンティーレ監督 「もう一度試合をしても同じ結果だろう。圧倒的な力を持った相手に対してできる限りのことはやった。これ以上、何かができたとは思えない」

★決勝オッズ

 世界最大手のブックメーカー、ウィリアム・ヒル社(英国)による優勝国予想オッズは、開幕前から断トツの一番人気だったアルゼンチンが1・44倍で、6・50倍のパラグアイを大きくリード。引き分け(PK戦決着)は3・60倍となっている。


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