王者は死なず。2大会ぶり金メダルを狙う米国が、現世界王者ドイツを下して決勝進出。“クレタ島の決戦”を制し、低かった下馬評を見事に覆した。 「ベテランと若手が協力しあった勝利だ」。ハインリッヒ監督は会心の笑みを見せた。先制しながら主将MFファウディーが負傷退場し、後半ロスタイムに同点に追いつかれる苦境に追い込まれた。勢いはドイツ。しかし、この難局を一発でひっくり返したのが“新旧エース”だった。 延長前半9分、32歳のFWミア・ハムがゴールラインに向かってドリブルで切れ込むと、右サイドからゴール前に上げ、19歳FWオライリーが決勝ゴール。チーム最年少の新エースは「アシストを生かすことができてうれしい」と表情を崩した。 かつて世界最強と呼ばれた米国。昨年のW杯では準決勝でドイツに0−3完敗。黄金期を支えた選手たちは年を重ね、前評判は高くなかった。この日も先発6人が30歳以上。ベテランと若手のコミュニケーション不足も叫ばれていた。 「最後の戦いで、いい思い出を作りたい」とはハム。FIFA年間最優秀選手に2度輝き、代表通算270試合150得点を超えるスーパースターも、32歳で迎えた今大会を最後に引退を決意している。昨年結婚した米大リーグ・カブスのガルシアパーラ遊撃手との生活を優先するためだ。 日本がこの米国との準々決勝で、微妙な判定も絡んで1−2惜敗したことを思うと、返すがえすも残念無念…。米国はドイツへの借りを返して金メダルに王手をかけた。 「金メダルを取る準備はできている」。力強い眼差しで話すハムの思いが、王者復権をもたらそうとしている。
そもそも米国は、五輪と並ぶ2大大会のW杯でも91年に優勝、95年に3位、99年に優勝、03年に3位という好成績。五輪&W杯の「世界大会」では、必ず3位以内に入っており、今回も銀メダル以上が確定した。
「世界大会」で常に3位以内というのは米国だけ。強豪国といわれるドイツ、スウェーデンなども、どこかで"惨敗"を喫している。