“クレタの決戦”女子米国が世界一のドイツ破る

FWミア・ハム サッカー女子の準決勝2試合が23日にイラクリオンで行われ、2大会ぶりの優勝を狙う米国が昨年のW杯覇者ドイツを延長の末に2−1で下し、3大会連続の決勝進出を決めた。FIFAランク1位vs2位の“事実上の決勝”を制し、金メダルに王手をかけた。ブラジルはスウェーデンを1−0で下した。決勝は26日にアテネで行われる。〔写真右:大会後の引退を決意している米国のFWミア・ハム。決勝点をアシストした=AP。同下:米国は延長前半9分、FWオライリーが決勝ゴールを決めた=AP



FWミア・ハム 王者は死なず。2大会ぶり金メダルを狙う米国が、現世界王者ドイツを下して決勝進出。“クレタ島の決戦”を制し、低かった下馬評を見事に覆した。

 「ベテランと若手が協力しあった勝利だ」。ハインリッヒ監督は会心の笑みを見せた。先制しながら主将MFファウディーが負傷退場し、後半ロスタイムに同点に追いつかれる苦境に追い込まれた。勢いはドイツ。しかし、この難局を一発でひっくり返したのが“新旧エース”だった。

 延長前半9分、32歳のFWミア・ハムがゴールラインに向かってドリブルで切れ込むと、右サイドからゴール前に上げ、19歳FWオライリーが決勝ゴール。チーム最年少の新エースは「アシストを生かすことができてうれしい」と表情を崩した。

 かつて世界最強と呼ばれた米国。昨年のW杯では準決勝でドイツに0−3完敗。黄金期を支えた選手たちは年を重ね、前評判は高くなかった。この日も先発6人が30歳以上。ベテランと若手のコミュニケーション不足も叫ばれていた。

 「最後の戦いで、いい思い出を作りたい」とはハム。FIFA年間最優秀選手に2度輝き、代表通算270試合150得点を超えるスーパースターも、32歳で迎えた今大会を最後に引退を決意している。昨年結婚した米大リーグ・カブスのガルシアパーラ遊撃手との生活を優先するためだ。

 日本がこの米国との準々決勝で、微妙な判定も絡んで1−2惜敗したことを思うと、返すがえすも残念無念…。米国はドイツへの借りを返して金メダルに王手をかけた。

 「金メダルを取る準備はできている」。力強い眼差しで話すハムの思いが、王者復権をもたらそうとしている。

データBOX
 米国が3大会連続の決勝進出を決めた。正式種目になった96年アトランタ大会では金メダル、00年シドニー大会では銀メダルを獲得している。

 そもそも米国は、五輪と並ぶ2大大会のW杯でも91年に優勝、95年に3位、99年に優勝、03年に3位という好成績。五輪&W杯の「世界大会」では、必ず3位以内に入っており、今回も銀メダル以上が確定した。

 「世界大会」で常に3位以内というのは米国だけ。強豪国といわれるドイツ、スウェーデンなども、どこかで"惨敗"を喫している。



★ドイツ、奇跡は2度起こらず

 FIFAランク1位で昨年のW杯を制した世界最強国ドイツがまさかの敗戦。後半ロスタイムにFWバホーが奇跡の同点ゴールを決めたが、延長前半9分に失点した。テウレメイヤー監督は「よく頑張ってくれた。満足している」と奮闘した選手を目を赤くしてねぎらった。昨年のFIFA女子最優秀選手で、1次リーグ5得点のエースFWプリンツは結局、決勝トーナメントでは無得点。初の五輪金メダルへ「次は必ず」と視線は早くも北京に向いていた。

★“サンバ・サッカー”のブラジル、初の決勝進出

 ブラジルは五輪、W杯を通じて初の決勝進出を果たした。男子同様の“サンバ・サッカー”ともいえる個人技で、組織力上位のスウェーデンを圧倒した。再三のチャンスを、今大会5得点の18歳エースFWマルタが決められずにいたが、後半19分に、3大会連続出場のベテランFWプレニチャが左足シュートで決勝点。これで、男子も獲得していない五輪金メダルに王手をかけた。DFモニカは「銀では満足できない。決勝は絶対に勝つ」と気合十分だった。

★守備固めたスウェーデン、縦パス1本で破られた

 日本に1次リーグ初戦で0−1敗戦を喫したスウェーデンは、準決勝でブラジルに0−1で敗れた。ウォルシュ監督は「ブラジルの方が格上だった」と完敗を認めた。昨年W杯で準優勝した強豪だが、ブラジルの強力な個人技に対し、ゴール前を固める守備的布陣。しかし、鋭い縦パス1本で失点した。「守備に人数をかけ、逆に攻撃が封じられた。何とか、メダルは持ち帰りたい」と同監督。26日の3位決定戦でW杯決勝で敗れたドイツへの雪辱を誓っていた。


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