イラク希望の灯、イレブン快進撃の4強
【イラクリオン(ギリシャ)22日=国際電話】男子サッカーの準々決勝4試合が21日行われ、4大会ぶり出場のイラクが1−0で豪州を下し、同国初の4強入りを果たした。“政治的理由”で注目を集めてきたが、大会に旋風を巻き起こす存在として急浮上。60年ローマ大会・重量挙げの銅メダル以来、2つ目となるメダル獲得へ向けての快進撃ぶりは、イラク国民にとって勇気と希望の象徴になっている。〔写真右:豪州との準々決勝で決勝ゴールを決め、仲間に抱きかかえられるイラク代表FWエマド=右上=AP。同下:イラクサッカー史上、初の4強入りに熱狂するサポーター=AP〕
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アテネの地に、新たな神話が生まれる。イラクが、準々決勝で豪州に1−0快勝。史上初のベスト4入りを果たした。
後半19分、CKのこぼれ球から、FWエマドが右足オーバーヘッドの曲芸弾。これが決勝弾となった。「この勝利が、祖国にささやかな幸福をもたらすことを祈りたい」。殊勲のエマドは、神妙な顔でつぶやいた。
中部ナジャフでは、イスラム教シーア派の強硬派、サドル師の民兵組織と米軍の間で激しい戦闘が発生するなど、混乱は続いている。
しかし、男子サッカーチームの快進撃ぶりに、首都バグダッドでは“祝砲”としてクラクションを鳴らして走る車があふれ、「自由と民主主義の始まりだ」との叫び声を上げながら行進する人々も。苦難を一時でも忘れさせる象徴として、国民の胸に希望の2文字を刻んでいる。
戦禍の祖国では練習施設がすべて閉鎖。土のグラウンドさえ無い。7月のアジア杯直前にはシュタンゲ監督が突然辞任。財政難からA代表と五輪代表の活動を並行させることは難しく、同大会へは五輪代表で臨んだ。他国のA代表相手に8強進出した経験が五輪で生かされたのは、逆風を力に変える意志の産物だった。
日本にとっても、うれしい勝利だ。日本サッカー協会は昨年、都道府県支部とともにボール1214個、ユニホーム4853着などをイラク協会に寄贈。2月の親善試合でも渡航費用1000万円を援助するなど、支援を続けている。
準決勝の相手は、その日本と韓国から白星を挙げているパラグアイ。「応援してくれるアジア諸国のためにも、誇りを持って戦う」とエマド。残る唯一のアジア代表として気概に満ちている。
「金メダルを狙う。きっと、国民に喜びを与えられるはずだ」とハマド監督。60年ローマ大会の重量挙げでの銅メダル以来、2つ目のメダルに王手をかけた。イラク国民の希望を背負う限り、快進撃は止まらない。
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