【サッカー】エース小野が山本ジャパンを蘇生させる!
【ボロス(ギリシャ)13日=佐藤春佳】サッカー男子日本代表は13日、第2戦のイタリア戦に向けてボロス入りした。12日のパラグアイ戦は山本体制ワーストの4失点。オーバーエージ(24歳以上)のMF小野伸二(24)=フェイエノールト=が00年シドニー五輪落選の悔しさを胸に、PK弾2発を決めたが黒星発進となった。負ければ1次リーグ敗退が決まるイタリア戦。やはりエース小野に頼るしかない。〔写真右:パラグアイ戦の前半22分に同点PK弾を決めた小野。後半8分にも2発目のPKを決めた=撮影・奈須稔。同中:普段は温厚な小野が珍しくエキサイト。相手選手の胸ぐらをグイッ。イタリア戦ではこの闘志も必要だ=撮影・鈴木健児。同下:パラグアイ戦は山本ジャパンのワーストとなる4失点。山本監督はイタリア戦で小野にすべてをかける=撮影・鈴木健児〕
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悔しさは“水”に流した。敗戦から一夜明けた13日午前、選手たちは宿舎プールに入り全身の疲れを取った。水しぶきとともに笑みがこぼれる。「次だよ、次」。がけっぷちに立たされたイレブンだが、前向きな空気が満ちていた。そして午後、背水のイタリア戦に向けてボロスに上陸した。
「試合後のロッカーでは誰も肩を落としていなかった。勝つしかない。チームを盛り上げていい試合をしたい」
前を向くのはMF小野だった。12日の初戦でパラグアイに3−4で敗れた。主将DF那須のミスから先行される中、前半22分と後半8分にPKで2得点を挙げた。相手のやりとりからGKが飛ぶ方向を読み切った。崩れかけるチームを必死に立て直した。

同時刻に行われたイタリアvsガーナは2−2ドロー。15日のイタリア戦で敗れると1次リーグ敗退が決まる。引き分けで首の皮1枚つながるが、8強進出は他力になる。運命の地ボロスでは勝利だけが大命題だ。
アテネ五輪にかける思い。00年シドニー大会は度重なる故障で無念のメンバー落選。中田英、俊輔ら同じ『黄金世代』が8強入りする光景を複雑な気持ちで目に焼き付けた。パラグアイ戦のスタンドでは、シドニーに連れていけなかった母・栄子さん(59)が「あの思いを精いっぱいぶつけてほしい」と目を潤ませていた。
肺動脈血栓塞栓症から直前でオーバーエージ入りのハシゴを外された親友FW高原(ハンブルガーSV)には電話で「頑張るよ」と誓った。4年分の闘志と大切な人たちへの思いは、1次リーグの3試合だけでは出し尽くせない。
「後半はボールと人がコンパクトに動いて崩すわれわれのスタイルができた」と山本監督。パラグアイ戦は同20分からFW田中達を投入して3トップを形成。小野がトップ下からボランチ(守備的MF)に下がりリズムが生まれた。4バックを敷くイタリア相手にも3トップが濃厚だ。
小野はイタリアが優勝したU−21欧州選手権(兼五輪予選)を2試合観戦。カテナチオ(かんぬきの意味。堅守を表す)攻略のヒントはつかんでいる。勝利あるのみ。頼れるエースが必ず日本に朗報を届ける。
■最近の国際大会で黒星発進でも1次リーグ突破のケース■
★02年W杯 トルコは初戦でブラジルに●1−2。しかし、コスタリカに△1−1、中国に○3−0と巻き返し。勝ち点4で並んだコスタリカに得失点差で上回り、執念で2位突破した
★04年欧州選手権 ポルトガルがギリシャに●1−2発進も、ロシアに○2−0、スペインに○1−0で1位突破。イングランドもフランスに●1−2だったが、スイスに○3−0、クロアチアに○4−2で2位通過。優勝候補の2カ国が意地をみせた
★04年アジア杯 イラクはウズベキスタンに●0−1スタート。その後はトルクメニスタンに○3−2、サウジアラビアに○2−1と逆襲。政情不安が続く国内に希望の光を灯すように、2位で決勝トーナメントへ
★痛恨ミスの那須「イタリア戦で帳消しに」
主将DF那須(横浜M)は「下を向いていてもしようがないです。イタリア戦で帳消しにしたい」と前を向いた。パラグアイ戦は2失点に絡む痛恨ミスを連発。後半から途中交代した。体調不良やスパイクが合わないなどの不運もあったが言い訳はせず。まじめな性格だけに、山本監督も「精神的なことも立て直したい」と気をつかっていた。
★大久保は有言実行の1ゴール
FW大久保(C大阪)は大会前にあげた目標『1試合1得点』をまずは有言実行に移した。パラグアイの固い守備を破ったのは2−4で迎えた後半36分、右中間突破のFW田中達からのパスに、右足で相手DFの股間を鋭く抜いた。「1点とったし、自信になる。2戦目で慣れてくればもっといける。次にたたけばいい」。アジア最終予選で見せたがけっぷちのパワーを、イタリア戦で再現するだけだ。
◆パラグアイ・サゲル監督 「勝ち点3を取れたことが重要。われわれのほうが日本よりパワーがあった」
★未明でも視聴率10%
フジテレビ系で13日午前2時すぎから中継放送されたアテネ五輪サッカー男子1次リーグ初戦、日本vsパラグアイの平均視聴率が、関東地区で10・5%、関西地区で7・8%の高視聴率だったことがビデオリサーチの調査で分かった。瞬間最高視聴率は、関東13・7%、関西9・9%だった。
★イタリアは0−2から追いついた
イタリアはガーナに2−2ドロー発進。前半で2点先制されたが優勝候補の意地をみせた。「決勝トーナメントに近づくためにも日本をたたく」と同点ゴールを決めたFWジラルディーノ(パルマ)。昨季は代表とパルマで計40得点を決めたエースは打倒・日本を予告した。
ただ死角はある。オーバーエージ選出のMFピルロ(ACミラン)は、ガーナ戦が五輪代表初試合。攻撃の起点と期待され指令塔で先発したが、不慣れなチームで得点に絡めなかった。ジェンティーレ監督も「試合勘を取り戻せていない」と心配する。
13日付のイタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトは「あのチームを心配するようならおしまい。守備は穴だらけ。まあ、頑張ってはいるが」と日本を酷評した。油断があるのは確実だ。「後半のように日曜日もぶっちぎる」と同監督。アズリーニ(イタリア五輪代表の愛称)とのがけっぷちの戦い。勝機はある。
★ポルトガルは「レッドカードの誤算」で黒星発進
男子D組のポルトガルはイラクに2−4と黒星スタート。プラタス監督は「レッドカードの後に混乱してしまった」と悔やんだ。2−2の後半6分にFWボアモルテが退場処分。準優勝した欧州選手権で活躍したFWのC・ロナルドを擁する攻撃力は高いが、さすがに10人対11人の数的不利は厳しかった。同監督は「引き分けを狙ったが、相手のカウンター攻撃が鋭かった」とレッドカードの誤算に嘆き節が続いた。
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