五輪の記憶(12)
吉田秀彦−重圧吹き飛んだ「古賀の金メダル」

吉田秀彦 アテネ五輪は、14日から柔道がスタート。サンケイスポーツの柔道評論家を務め、PRIDEをはじめ総合格闘技で活躍する柔道家の吉田秀彦氏(34)は、92年バルセロナ五輪78キロ級でオール一本勝ちで金メダルを獲得。世界の強豪ひしめく中量級での快進撃で、日本柔道の威信を守ったエースは、総合格闘技で戦う今でも柔道の普及活動を続け、日本柔道界に熱いエールを送る。

★重圧の中での歓喜

 バルセロナ五輪で、私とのけいこ中に古賀さんが足を負傷したときは、頭の中が真っ白になりました。先輩でもあり、日本中が古賀さんに期待していた。古賀さんが金メダルを取っていなかったら、自分は日本に帰れませんでしたよ。あれだけ「勝ってくれ」と思った試合はなかった。でも、自分の試合のときは「絶対に勝つ」という思いで集中できた。無心で戦えたのが、オール一本勝ちの金メダルにつながりましたね。古賀さんの金メダルで、重圧がすべて吹き飛んだ思いでした。

★挫折…そして

 4年後のアトランタは、プレッシャーの下での戦いでした。前回金メダリストとしてマークされる中、過熱する期待との戦いも強いられた。その中での初戦一本負け。地獄に突き落とされた思いでした。帰国後、すぐに貯金をはたいて海外で過ごしました。でも、あの屈辱からはい上がろうと思えたから、重圧を感じずに戦える今の自分があると思います。

★格闘家の前に柔道家

 いまは総合格闘技のリングに立っていますが、自分は今でも柔道家です。柔道着でリングに立つのも、そのためです。自分のアイデンティティーであるのと同時に、柔道の強さをアピールしたい。子供たちに「柔道をやっている人は強いな。僕もやってみたいな」と思ってほしいんです。

★後輩たちへ

吉田秀彦 日増しに重圧を感じている後輩たちには、ただただ頑張ってほしいという思いです。講道学舎、明大の後輩でもある泉選手、同じ愛知の大石道場出身の谷本選手には、自分の柔道を貫いてほしい。同じ釜のメシを食った野村選手には、前人未到の3連覇を期待したい。突然のアクシデントに見舞われた谷選手は、経験を積んでいるから調整の仕方はわかっているはず。精神力もあるし、頑張ってほしい。

 吉田秀彦選手は、14日からスタートするアテネ五輪柔道の評論家として、サンケイスポーツに登場します。お楽しみに。

吉田 秀彦(よしだ・ひでひこ)
 1969(昭和44)年9月3日、愛知・大府市生まれ、34歳。小4時に柔道を始め、14歳で上京し講道学舎に入門。弦巻中−世田谷学園−明大。卒業後は新日鉄に入社。92年バルセロナ五輪78キロ級金メダル、96年アトランタ五輪86キロ級5位、00年シドニー五輪90キロ級は負傷で3回戦敗退。吉田道場で後進の指導を続けながら、02年から総合格闘技で活躍中。1メートル80、100キロ。

五輪VTR
 バルセロナでは78キロ級1回戦から準決勝まで、すべて一本勝ち。決勝も3分35秒に内股でモーリス(米国)を沈めるオール一本勝ちを果たし、日本にとっては大会初の金メダルを獲得。後続の選手を勢いづかせた。アトランタでは86キロ級5位、00年シドニーは90キロ級で負傷のため3回戦敗退に終わった。

★第8回VIVA JUDO開催  柔道の普及をめざし、吉田選手が初心者を対象に続けている柔道教室「VIVA JUDO」が9月12日、神奈川県横浜市の吉田道場 青葉台柔道クラブで開催。定員は50人で男女は不問。柔道着はレンタルで貸し出す。午後12時に受け付け開始、13−15時を予定。参加希望者は(株)J−ROCK(ジェイロック)03・3414・9000(E−Mail viva@j−rock.co.jp)まで。


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