夏季五輪ゴールド史
【第92号】中村兼三−3兄弟の末弟が大仕事
(96年アトランタ・柔道・男子71キロ級)
★97年世界選手権でも金メダル
90年代の柔道界を席巻した中村3兄弟の末弟、22歳の兼三が大仕事をやってのけた。
3歳上の長兄・佳央(よしお)、1歳上の次兄、行成はともに93年の世界王者。史上初の3兄弟同時出場を果たした今五輪で、兼三は、2回戦から3連続一本勝ちと快進撃。郭大城(韓国)との決勝は、引き手争いに苦しみ、先に注意を与えられたが、スタンド観戦の佳央の「逃げるな!」の声におされるように大外、小外、内またと攻勢。逃げる郭に注意が与えられる、旗判定。赤2本、白1本の僅差で勝ち、ついに兄を超える金メダルを獲得した。
柔道を始めたのは5歳のとき。小学生時代から脚光を浴びた兄2人と異なり、牛歩の歩み。母・千鶴子さんが「見込みがないから」と何度もやめさせようとしたが、決して首をタテにふらず、ひたすらけいこを重ねた。スタンド観戦した両親は「あの泣き虫が…。3人で一番努力した末弟が一番いい結果に結び付けた」と涙にくれた。
この五輪、95キロ級の佳央は4回戦敗退に終わったが、65キロ級の行成は銀メダルを獲得している。
兼三は97年の世界選手権で兄2人に並ぶ金メダルを達成。73キロ級で出場したシドニー五輪は4回戦敗退で、連覇はならなかった。
〔写真:1996年アトランタ大会、柔道男子71キロ級で優勝を決めて喜ぶ中村兼三〕
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