「ドリームチーム」完全終焉…準決勝で敗れる

コートに倒れるアイバーソン 米国、無残…。バスケットボール男子準決勝が27日に行われ、NBAプレーヤーで構成された米国がアルゼンチンに81−89で完敗した。92年バルセロナ大会から結成された「ドリームチーム」が4大会目で初めての金逸。五輪発祥の地で最強伝説が終焉を迎え、傷心のスター軍団はバスケットボール王国のプライドをかけて臨んだリトアニアとの3位決定戦(28日)に104−96で勝ち、何とか銅メダルを確保した。〔写真右:試合中にコートに倒れるアイバーソン。米国の無残な姿を象徴するかのようだった=AP。同下:ゴール下の激しい攻防も…。米国は第1クオーター途中から1度もリードを奪えなかった=AP



 リングがあまりにも遠い。焦燥感と絶望感が交錯する第4Q。米国のシュートが外れるたび、1万4000人の観客から拍手がわきあがる。試合終了のブザーが初めて味わう屈辱を告げた。引き揚げる敗者の背中にも、執拗なブーイングが追い打ちをかけた。

ゴール下の激しい攻防 まさかの完敗だ。第1Qの5分過ぎに15−16とアルゼンチンに逆転を許すと、その後は一度としてリードを奪えない。第3Qの中盤には最大16点差をつけられた。わずか10得点のアイバーソンは「できる限りのことはやった。仕方ないよ」と力なくつぶやいた。

 ついえた4連覇の夢。「ドリームチーム」は88年ソウル大会3位の屈辱を晴らすため、92年バルセロナ大会で初結成された。ジョーダンらを擁した初代チームは全試合で40点以上をつけ、対戦相手からはサインを求められたものだ。

 今回の「ドリームチーム」は当初のメンバーからコービー、オニール、カーターら超一流選手が次々と辞退。その理由は治安への不安、夫人の出産だった。そうはいっても、年俸14億7000万円のアイバーソンら、スターター5人の平均年俸は実に約11億2000万円にのぼる。

 そういう意味では、同じように金メダルを逃したとはいえ、『長嶋ジャパン』(先発平均年俸約2億6660万円)以上の衝撃だ。バルセロナ大会から3大会を無敗で制したことで、「ドリームチーム」がNBAの世界戦略を担ったのは事実。ただ市場は欧州や南米にも広がり、世界中でライバルを育てている皮肉な現実もある。この日、スパーズで活躍するアルゼンチンのジノビリは29得点を挙げた。

 「米国のファンは92年がまだ続いていると錯覚している」とポポビッチ・アシスタントコーチは声を荒らげた。第4Q残り4分でダンカンが5ファウルで退場したことも苦戦の象徴。不動のセンターはプレー時間19分37秒、わずか10得点6リバウンドに終わった。米国は結局、シュート成功率42%、3ポイントに限れば27%−。今回の「ドリームチーム」は並の数字しか残せなかった。

 昨季の王者ピストンズを率いた名将、ブラウン監督は「アルゼンチンはチームとして機能していた。米国は準備期間が短すぎた」と肩を落とした。NBAの世界戦略の推進役だったスターン・コミッショナーは「ドリームチームはもはや新聞の切り抜き。そんな時代は過ぎ去った」とスタンドで無念の表情を浮かべた。

 過去14大会で2敗しか喫していない米国が今大会だけで3敗、そして金逸…。あまりに寂しい最強伝説の終焉だった。

★ダンカンまで退場

 米国の苦戦を象徴していたのが、第4Q残り4分で5ファウルで退場したダンカンだ。「彼の退場などNBAで見たことがない」とブラウン監督は試合後に首をひねったが、経験の浅い米国選手が最後まで国際ルールに適応できなかったのも事実。不動のセンターはプレー時間19分37秒、10得点、6リバウンドでチームに貢献することなくコートを去った。

データBOX
米国が準決勝で敗れ、4大会連続通算13個目の金メダルを逃した。今大会前までの五輪における通算成績は109勝2敗で、黒星はともにソ連(72年ミュンヘン大会決勝、88年ソウル大会準決勝)に喫したものだったが、今大会はプエルトリコ、リトアニア、アルゼンチンに敗れた

決勝は初めて進出するアルゼンチンと、準優勝した80年モスクワ大会以来となるイタリアとの対戦で、どちらが勝っても初優勝。過去15大会の優勝国は米国12度、ソ連2度、ユーゴスラビア1度となっている



★米国紙も衝撃的報道

 「ドリームチーム」の歴史的な敗北から一夜明け、28日付の米国地元紙はその衝撃をいっせいに報道した。「ブレイム・ブラウン」という大見出しでブラウン監督を糾弾したのはニューヨーク・ポスト紙。ロサンゼルス・タイムズ紙では「バスケット発祥の地に激震」という見出しが躍った。もっとも、1次リーグの2敗で王座陥落とみられていたが、内容も厳しい論調だった。

★ジノビリ29点、アルゼンチン臆せず快勝

 アルゼンチンの大金星の立役者は、チーム最多の29得点を挙げたジノビリだ。「われわれがタフなチームであることを証明できた」。NBAのスパーズに所属し、02−03年シーズンのファイナル制覇の原動力になったガードは、4本の3ポイントを成功させるなど絶好調。「真のドリームチームと呼べるのは92年のチームだけさ」。02年の世界選手権に続く米国撃破。年俸1億6700万円の27歳は言葉を弾ませた。

★イタリア歴史的金チャンス

 もうひとつの準決勝では、イタリアが1次リーグから6連勝と絶好調のリトアニアを100−91で下した。80年モスクワ大会で銀メダルを獲得しているが、この大会はソ連のアフガニスタン侵攻に反対する米国、日本などの西側諸国が不参加。それ以外では60年ローマ、72年ミュンヘン両大会の4位が最高とあって、歴史的勝利に首脳陣や選手は狂喜乱舞していた。

★女子は面目躍如の米国3連覇

 女子決勝は米国が豪州を74−63で下し、3大会連続となる金メダルを獲得した。3位決定戦ではロシアがブラジルに勝った。

 女子では米国が五輪3連覇を果たした。男子の準決勝敗退から一夜明け、前回シドニー決勝の再現は“ドリームガールズ”が豪州を74−63で下した。選手をWNBAメンバーで固めた米国は、“史上最強のセンター”レスリーを中心に第4Qで一気に突き放した。負けると、不参加だった80年モスクワ大会を除いて男女とも優勝を逃すピンチだった。バスケット王国の面目躍如だった。

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