アテネは任せた!西武・松坂が五輪仕様の投球を披露
(パ・リーグ、西武1−3オリックス=延長十二回、21回戦、西武13勝8敗、2日、西武ドーム)粘りと気迫の152球だった。アテネ五輪前の最後のマウンド。松坂の調子は決して良くなかった。それでも要所を締める、負けない、五輪仕様の投球を披露した。
「調子自体は最悪でした。九回まで何とか抑えようと思ったけど、最後に点を取られて申し訳ないです。連敗中だし、何とか勝ちたかった」
この日は直球68球のうち球速が150キロを超えたのはわずか6球。変化球もキレはなく、ファウルで粘られた。五回以外は毎回、走者を背負う苦しい内容。9回で10安打を浴びた。それでも最少失点で踏ん張った。白星こそつかなかったが、収穫の投球だった。
状態が悪くて打ち込まれても“次回登板”があるペナントと違い、五輪は一発勝負。負けて「また次、4年後に頑張ります」では済まない。調子が良かろうが、悪かろうが、結果がすべてだ。
だからこそ“封印”を解いた。普段は失投になる可能性が高く「必要ない」と投げることのないフォーク。六回二死一、二塁のピンチで、今季対戦打率.417と苦手の平野を136キロのフォークで三振に斬った。勝負どころでまんまと強打者をかわしてみせた。
実は7月26日のダイエー戦でも城島に2球だけ投げていた“秘球”。捕手の細川は「試合中に大輔から投げようと言ってきた。五輪を意識しているみたいです」。代表でバッテリーを組む城島に見せたことで、五輪でもピンチの際のシミュレーションは万全だ。
この日は試合前に悲しい一報が届いた。長嶋監督がアテネでの指揮を断念したことが正式に発表された。ミスターは必ず戻ってくると信じて投げ続けていただけにショックは大きい。それでも松坂は、前を向いた。
「監督の気持ちも試合でぶつけて、金メダルを持って帰り、直接、報告に行きたい。治療に専念してもらえるよう、いい試合をみせたい」
すでに気持ちは、闘志は五輪モード。5日に日本を離れる松坂は、愛用の硬い枕と、ミネラル豊富な海洋深層水を持参する。心と体の準備は整った。あとは悲願の金メダルまで突き進むだけだ。
(湯浅大)
〔写真:九回に1点を失ったものの、フォークを交えて152球の熱投を見せた西武・松坂。長嶋ジャパンのエースとして、アテネは任せたッ!! =撮影・江角和宏〕
■データBOX 西武・松坂は9回を投げて10被安打。2ケタ被安打は通算4度目で
| 年・月・日 | vs | 安 | ●○ |
| 12・6・10 | ロ | 10 | ● |
| 16・4・29 | オ | 12 | ● |
| 5・5 | 近 | 12 | ● |
| 8・2 | オ | 10 | − |
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負けがつかなかったのは今回が初めて。
また、今季の対戦相手別の被打率は
| vs | 被打率 |
| オ | ・280 |
| ロ | ・265 |
| 日 | ・254 |
| 近 | ・243 |
| ダ | ・203 |
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下位チーム相手に打たれている。今季8勝6敗だが、首位・ダイエー戦の4勝1敗に対し、他の4カードは4勝5敗と負け越している。 |
■シドニー五輪での松坂大輔VTR 五輪史上初めてプロアマ合同チームで臨んだシドニー五輪。しかし、1次リーグの米国戦と韓国戦でいずれもチームを勝利に導けなかった松坂は3位決定戦で再び韓国戦に先発。終盤に李承ヨプ(現ロッテ)に決勝打を浴びて敗戦投手となった。金メダルが期待されたことが逆に重圧となり、結果的に五輪史上初のメダルなしという惨敗。黒木(ロッテ)、中村(近鉄)が人目をはばからず涙するなか、目を赤くした松坂はグッと唇を噛み締める姿が印象的だった。 |
| ■松坂大輔・国際大会での登板成績■ |
| 年 月 日 | スコア | ●○登板 | 相 手 | 回 | 安 | 振 | 球 | 責 |
| 〔シドニー五輪予選・アジア地区決勝リーグ(ソウル)〕 |
| 1999・9・15 | 2x−1 | ○完投 | 台 湾 | 9 | 3 | 13 | 1 | 1 |
| 〔シドニー五輪・予選リーグ(シドニー)〕 |
| 2000・9・17 | 2−4 | −先発 | 米 国 | 10 | 8 | 5 | 2 | 2 |
| 2000・9・23 | 6−7 | −先発 | 韓 国 | 9 | 7 | 10 | 5 | 5 |
| 〔シドニー五輪・3位決定戦(シドニー)〕 |
| 2000・9・27 | 1−3 | ●完投 | 韓 国 | 8 | 6 | 10 | 1 | 0 |
| 〔アテネ五輪予選・アジア選手権(札幌)〕 |
| 2003・11・6 | 9−0 | ○先発 | 台 湾 | 7 | 3 | 12 | 1 | 0 |
| 【注】日付は現地時間 |
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★カブレラが松坂の黒星を消す一発
0−1の九回にカブレラが貴重な9号同点ソロ。試合には負けたが、松坂の黒星を消す一発となった。「(九回に)1点取られたから、自分のホームランで取り返そうと思っていた」。後半戦は15試合で7発。大砲の本塁打ペースが上がってきた。
★伊東監督が試合後に緊急ミーティング
5時間6分の死闘も悔しい敗戦。試合後、伊東監督は野手を集めて緊急ミーティング。「また気持ちを切り替えて、打線をつなげていこう。練習から気持ちを入れていこう」とゲキを飛ばした。それでも今季初めて会見を拒否するなど、ショックの大きさをうかがわせた。
◆延長十二回に2失点で敗戦投手となった西武・長田 「申し訳ないです。調子は悪くなかったけど…」
■データBOX 西武の今季延長試合はこれで5勝6敗1分け。7月16日のオリックス戦(ヤフーBB)から延長戦は5連敗となった。ちなみに、オリックスの延長試合は、この日で6勝2敗2分け。
試合時間5時間6分は6月19日、日本ハム−西武(旭川)の5時間12分に次ぐ、今季のパ・リーグで2番目の長さ。セ・リーグでは5月22日、横浜−中日戦(横浜)の5時間40分が最長。 |
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