五輪のエースは渡さん!松坂が岩隈との死闘を制す

サヨナラ勝ちに松坂(中央)を中心に歓喜の輪 (パ・リーグ、西武1x−0近鉄=延長十回、15回戦、西武8勝7敗、29日、西武ドーム)これがエース。これが長嶋JAPANの五輪戦士だ! アテネ五輪野球日本代表の西武・松坂大輔投手(23)、近鉄・岩隈久志投手(23)の投げ合いはどこまでも続いた。九回を終わって0−0。そして…。試合を決めたのも五輪戦士だった。延長十回、西武・和田一浩外野手(32)が劇的なサヨナラ打。これなら、間違いない。日本中に“金メダル奪取”を宣言。そんな熱い一戦だった。〔写真右:サヨナラ勝ちに松坂(中央)を中心に歓喜の輪。もうひとりのヒーロー・和田は手荒い祝福に隠れてみえません=撮影・江角和宏。同中:試合が終わっても大歓声はやまない。十回完封。五輪エース対決に投げ勝った西武・松坂はバックネット裏のビクトリーロードをかけあがった=撮影・江角和宏。同下:ダイスケを救え! 西武・和田は延長十回、右中間に劇的なサヨナラ打=撮影・江角和宏

松坂 怪物のプライドvs無敗エースの意地。激しい投手戦に2万2000観衆は誰ひとりとして席を立たない。いや、ふたりの気迫に立てなかった。

 延長十回、和田のサヨナラ打に松坂がベンチを飛び出した。

 「相手は負けていないピッチャーだったので、なかなか点は取れないな、と。岩隈クンの連勝を止めるのは自分しかいないと思ってました」

和田 敵意むき出しのマウンド。年齢は同じだが、学年は1つ上。先輩として負けられなかった。実は“事件”もあった。前日28日に発表された球宴(10、11日)のファン投票選出選手で、パ・リーグの先発投手部門1位となった岩隈が「松坂さんを抜けてうれしい」とコメント。過去5度の選出(2度はケガで欠場)で4度の1位を誇る松坂を奮い立たせた。

 この日、松坂は監督推薦で選ばれたが、一時は「ファン投票で選ばれたわけでもないから」とコメントを“拒否”。球団の説得でコメントが発表されたが、ライバルの名指しの“勝利宣言”に闘志がみなぎった。

 松坂は言った。「彼より先にマウンドを降りたくなかった」と。延長から交代した岩隈に対し、10回を投げきった。被安打5で2戦連続、今季4度目の完封。1−0勝ちは3度目。勝負強さは天下一品だ。

 「見に来てくれる人たちに、こういう試合をみせられたらいい」と松坂。合併問題に揺れる球界だが、なんとかファン離れを阻止したい。五輪戦士による壮絶な投手戦は、五輪本番の金メダルを期待させるに十分な内容。勝つためだけじゃない。日本のため、野球界の未来のため、エースは力いっぱい投げ続ける。

湯浅大

 ◆西武・伊東監督 「緊迫の投手戦で大輔はよく投げてくれた。岩隈も持ち味を出して、素晴らしい試合だった。気迫のぶつかり合いだったね」

 ◆近鉄・梨田監督 「岩隈は150球を超えていたから、あれ以上は投げさせられなかった。松坂がいたから逃げたとかではないよ。でも、さすがにオリンピックに出る投手同士、大したもんやね」

データBOX
 西武・松坂の完封勝利は、4月9日(○1−0近鉄)、同16日(○1−0ダイエー)、今月22日(○6−0オリックス=いずれも西武ドーム)に次いで今季4度目。シーズン4完封は自己最多。球団最多は、西村貞朗のシーズン8完封(昭和29年)。

 なお、「1−0完封」のシーズン最多記録は、阪神・江夏豊の6度(昭和43年)。

★和田が今季2度目のサヨナラ打

 エースが投げ、主将が打って勝った。延長十回一死満塁で、選手会長の和田が、吉川の初球を右中間に弾き返す今季2度目のサヨナラ打。「ダイスケがいいピッチングをしていたので、ここで決めたかった」。歓喜の輪ではユニホームを脱がされ、もみくちゃ。八回二死二塁で凡退した悔しさを見事に晴らした。

★近鉄・岩隈が充実感「いい投球ができてうれしい」

 負けはつかなかったものの、12連勝がならなかった岩隈は「松坂さんと投げ合えて、いい投球ができてうれしい」と充実感を漂わせた。九回を終えた段階で無失点ながら153球を投げ、十回からは救援を仰いだ。「ボール球が多かった」と反省を口にはしたが、連打を許さず、松坂と互角に渡り合ったことは自信になった様子。「次頑張ります」と気持ちを切り替えていた。      


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