長嶋さんヤマ越えた…食欲旺盛、失語症もなし
脳梗塞(こうそく)で東京都新宿区の東京女子医大病院に入院しているアテネ五輪野球日本代表監督の長嶋茂雄氏(68)の病状について11日、主治医の内山真一郎教授ら担当医師団が会見。「最も危険な状態はクリアできた」と生命の危機を回避したとする一方「長い目で見守ってほしい」とリハビリが長期に及ぶ可能性を示唆し、アテネ五輪での指揮の可能性についても明言を避けた。〔写真左:最悪の事態は回避したと医師団からお墨付きを得た長嶋監督。今後はリハビリを続け、早い回復を目指す。同右下:病状説明を行った東京女子医大病院の内山真一郎教授(右)と岩田誠主任教授=撮影・斎藤良雄〕
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衝撃の緊急入院から1週間。一時は最悪の事態もと危ぶまれたミスターの病状は本人はもちろん家族のサポート、そして医師団の懸命な治療で大きな山を乗り越えた。
「現時点での評価としましては、最悪の事態は免れた。最も危険な事態は、ほぼクリアできたと考えております」
午前11時から東京女子医大病院で行われた会見で、こう説明したのは担当医の内山真一郎教授。直接の原因となった心臓の不整脈が現在は正常なリズムに復帰し、明らかな脳のむくみも見られないという。9日にヨーグルトを食べた際には1個を平らげ、もう1つおかわりまでする食欲を見せた。10日にはさらに七分がゆ、豆腐、ヨーグルトを口にする際は左手で持ち、ブランドまで気にする素振りも見せた。
「右手足はほとんど動かない状態です。右手のまひに関しましては、現在も強いまひの状態が続いております」
すでにリハビリを始めているが左大脳の梗塞(こうそく)による右半身のまひは続いている。手に比べ足は筋肉の収縮が見られるようになり、医師団が支えればひざや股(こ)関節が曲げられ、座る姿勢をとれるようにもなったという。
まひとともに気になるのが言葉だが、会見で岩田誠教授は「失語症というのは考えなくてもいい」と明言。現在は、病室の壁に掛けられた「あいうえお」などのひらがな50音の書かれた表を読む訓練をしており、指された音を相手が聞き取れる程度に発音できている。ゆっくりではあるが、短い文章も話せるようになった。
「決して軽くはない症状が現在でもあります。劇的に短期間でよくなるのは、もちろんわれわれも非常に期待しているわけではありますが、長い目で見守っていただくことが必要だと思います」
内山教授は「長い目で見守って」と何度も繰り返した。アテネ五輪での指揮に関しても「一茂さんにもいろいろお考えがあるようでありまして…」と明言を避け、医師として本人、家族の意思を尊重する姿勢を示した。
元気なミスターを願いつつも、焦らせてはいけない。いま周囲にできるのは、リハビリを温かく見守ることだけだ。
◆巨人広報を通じて発表された長嶋一茂さんのコメント 「きょうは顔色も良く、食欲も旺盛でしたので安心しています。治療に関しては先生にお任せしていますので、家族としてはそれを見守るだけです。父の回復が順調なのは、皆様の祈りが通じたものと、深く感謝しております。この場を借りて、御礼申し上げます」
【医師団会見】
−−現在の状況は
内山教授 「最初の会見でも話しましたように、決して軽い脳梗塞ではありません。『中大脳動脈』という血管が詰まっています。脳の深いところで運動神経線維が密集して走行している場所にも、脳梗塞が及んでおります」
(言語に関して)
岩田教授 「脳梗塞の起こっていた場所は言語に関する一番重要な場所を避けていたといいますか、そこは保たれております。普通の患者さんでは出てこないような反応をきちっとしていらっしゃいますし、まだ自由にしゃべれる状況ではありませんけど、おそらく失語症というのは考えなくてもよいでしょう」
内山教授 「(長嶋監督は)非常に健康に気を使ってみえまして、そういう全身状態の良さも、予期された最悪の事態を免れた一助になってくれたのではと思います。ご本人はきわめて元気です。今、意識はまったく覚せいしている状態で表情も豊かです。私たちの話しかける言葉で、笑顔も見られます」
(復帰の見通しについて)
内山教授 「今後は1カ月、3カ月、6カ月、1年というのが1つの目安、評価の時期になると思います。一茂さんをはじめとする家族のサポートもきわめて強固なものがあります。それも機能回復に関しましては重要なことです」
−−退院のメドは
内山教授 「なるべく早期にリハビリテーションの専門医院に転院というルートに乗るのですが長嶋さんの場合、きわめて特殊な方でプライバシーやセキュリティーのことも考えなくてはなりません。今後、煮詰めていきたいと思います」
★発症から3週間後の状況が目安
昭和大学病院で救急医学・脳神経外科を専門とする有賀徹副院長(53)は、東京女子医大病院が発表した長嶋氏の病状から、言葉を話したり、計算・思考したりするような機能の回復はかなり期待できるとの見方を示した。「長嶋さんが元気にヨーグルトなどを食べているということは、本人の治りたいという意欲が出ている証拠。病院側が言語機能の回復の可能性は高いと発表したことから、あと2週間ぐらいで小学6年生が読書で音読するぐらいのレベルまで回復するのではないか」と推測した。
有賀氏が心配するのは、むしろ長嶋氏の右手に残る強いまひ。運動機能の回復は脳梗塞(こうそく)の発症から3週間後の状況がひとつの目安になると前置きした上で「病院側は2週間後の右手の症状をみないと、アテネ五輪までの運動機能の回復具合を予測できないだろう」と指摘した。
★「長嶋監督しか登録しない」日本代表編成委員会
医師団によるアテネ五輪野球日本代表の長嶋茂雄監督(68)の病状報告を受けて、日本代表編成委員会・長船騏郎委員長(79)は11日、「従来通り監督は長嶋監督しか登録しない」と改めて長嶋体制堅持の方針を示した。同委員長は「(最終結論が出るまで)長くなることは承知の上」と最悪の場合は、8月24日からのアテネ五輪決勝トーナメントから指揮を任せる案も示している。
| ■長嶋茂雄氏・闘病経過■ |
| 月・日 | 経 過 |
| 3・4 | 都内の自宅で眩暈(めまい)を訴え、東京女子医大病院に緊 急入院。検査の結果、「脳卒中の疑い」と発表 |
| 5 | 精密検査の結果、「左大脳の中程度の脳梗塞(こうそく)」 と発表。関係者を通じて「私がいなくても選考会議を」と病 床から五輪スタッフ会議の決行を陣頭指揮 |
| 6 | 「脳血流シンチグラフィー」検査を実施。「血流低下は、狭 い範囲に止まっている」と良好な所見が発表された。長男・ 一茂氏も初の見舞い客となったサンケイスポーツ専属評論家・ 大久保博元氏に「超人的回復だよ」と明かした |
| 7 | 点滴治療を継続。「症状に目立った変化なく落ち着いている。 前夜は熟睡していたようだ」との発表 |
| 8 | 午前中に入院2度目となるMRI(磁気共鳴診断装置)検査 を受診。前回(5日)受診時と比べ、梗塞は広がっておらず、 心配された脳のむくみもほとんど見られなかった |
| 9 | あいさつに「おはよう」と返答。初めてヨーグルトを食べ、 自力で起き上がる。初歩的なリハビリ開始 |
| 10 | 検査、リハビリはなし。室内にはクラシック音楽をかけ、前 日に続いてヨーグルトを1カップ食べた |
| 11 | 主治医の内山真一郎教授らが会見。「大脳の血管が詰まって いた状況に変わりなく、決して軽くない症状であるが、一歩 一歩回復している」と述べた。心配された言語障害について は「短い文章をゆっくりではあるが、発音している」と説明 |
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★応援メッセージが続々
絶対に病気なんかに負けないで!! サンスポコムには、闘病中の長嶋さんに向けて、続々と心温まる応援メッセージが届き続けています。 ◇
◆小沢賢司さん(35)=会社員 「父を早く亡くした自分にとって、監督は心のよりどころなのです。アテネでの雄姿を楽しみにしていましたが、全快後はゆっくりしていただき、ごくたまに元気な姿を見せてくれれば十分です」(神奈川県)
◆嵩さん(18)=学生 「長嶋さん!! もうちょっと頑張ったら双子の孫と会えるんですから、もうひと頑張りして、またみんなに笑顔を見せてください」(兵庫県)
◆掛神淳さん(38) 「長嶋一茂さんと私は同じ年、私のおやじと長嶋監督も同じ年です。おやじは68歳でも現役で頑張っています。1日も早い回復を祈ります」(山形県)
◆ジャイアンツファン(26)=会社員 「いままで全速力で駆け抜けてきた長嶋監督。長年の疲労の結果だと思います。この機会にぜひお体を完全な状態まで治していただきたい」(東京都)
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