長嶋ジャパン金ロードへ揺ぎなし、準決勝は豪州

高橋由 長嶋ジャパンが金メダルに向けて大きく前進した。野球1次リーグ最終戦で、日本はギリシャに6−1で圧勝。6勝1敗として、同リーグ1位通過を決めた。決勝トーナメントには日本のほか、キューバ、カナダ、豪州が進出。日本はまず24日の準決勝で、豪州と対戦する。〔写真右:七回に3戦連発となる2ランを放った高橋由は、思わずガッツポーズ=撮影・尾崎修二。同下:ベンチに戻った高橋由は、上原=右、松坂らとハイタッチ=撮影・尾崎修二



高橋由は、上原=右、松坂らとハイタッチ 一歩でも本塁に近く。一つでも塁を進めたかった。三回。右前打の宮本は一塁を回ってもスピードを落とさなかった。右翼手がお手玉した瞬間、一気に二塁へ。得点にこそならなかったが、主将の泥臭いプレーに日本ベンチは勇気をもらった。

 「(1次リーグでは)全勝するつもりだったけど。負けても1位は最低限、確保しようと思っていた」

 ギリシャ戦に勝てば、文句なしの1次リーグ1位通過が決まる。白星フィニッシュは、宮本にもチームにとっても一つの大命題。宿命を帯びた“首位打者”は試合開始から貫禄(かんろく)を見せ付けた。

 第1打席で中前打。六回の第3打席には三塁前へのボテボテのゴロになったが、必死に一塁を駆け抜けた。七回の中前打は次打者・高橋由の2ランを誘発するつなぎの打撃だった。21日の予選6戦を終えて打率・440は出場選手中、トップの成績。4打数4安打は、その数字通りの暴れっぷりだった。

 昨秋のアジア予選で長嶋監督から主将の命を受けた。リーダーシップを存分に発揮して、五輪出場権を獲得。その夜、宮本は予選を戦い抜いた“戦友”の部屋一つ一つに『本当にありがとう』と書いた紙を挟んだ。五輪本番でもやはり、主将。長嶋監督の出場辞退にショックを受けたが、中畑ヘッドとの“心中”を心に決めた。

 日本をたつ直前、同ヘッドに小学校時代の思い出を告白。「野球教室でグラブに書いてもらった中畑さんのサインは今でも宝物です」と成田のホテルで打ち明けた。五回の守備で右足を痛め、七回で交代したが、「大丈夫。配慮してもらったんだと思う」と首脳陣との太い絆(きずな)を再確認した。

 宮本に触発された打線は、七回に福留の3号2ランと高橋由の3戦連発の2ランで4得点。24日の準決勝を前に、最高の弾みをつけた。

 「今からはもう調子は関係ない。気持ち一つ。金を取るという強い気持ちで臨みたい」

 宮本は熱く、冷静に先を見据えた。佳境を迎える“聖戦”。首位打者、そして最高のキャプテンが、長嶋ジャパンを世界一へといざなう。

山田貴史


 ◆長嶋茂雄監督(68) 「ギリシャ戦、お疲れさまでした。清水君、ナイスピッチングでした。七回途中までギリシャ打線を抑え込んだことが勝因です。打つ方も、1点1点貪欲(どんよく)に取っていこうという姿勢がよく出ていました。そして予選(1次)リーグ1位通過、おめでとう。ここまで7試合を終え、猛暑の中、疲れもピークだと思う。ほぼ満身創痍(そうい)の状態でしょう。決勝トーナメントは精神力が勝負です。己の限界がどこまであるのか、自分自身と向き合ってみてください。あした(23日)はゆっくり体を休めて準決勝、決勝のために英気を養ってください」 (長男・一茂氏が代筆して代表宿舎にファクス)

★ヨシノブ3戦連発

 高橋由が七回、左中間芝生席へ3戦連発となる3号2ランを放った。「もっと早い回でどうにかしたかった。(3発を打ったが)そのために来たんじゃない」とキッパリ。九回の第5打席で右上腕に死球を受けながら、その裏の守備も続行。「あと2試合、全力で行く」と力強く宣言した。

★清水粘って好投

 先発の清水直(ロッテ)が七回途中1失点で五輪初勝利を挙げた。18日の豪州戦は立ち上がりの不調から黒星の原因を作ったが、この日は粘りの投球。「2日前に先発を言われた。中継ぎも疲れているので、チャンスだし、何とかしようと思った」と肩の荷が下りた様子だった。

 ◆七回、大会3号となる2ランを右翼へ放った福留(中日) 「最初の3打席で全く仕事ができなかったから。もう負けられない。どんな形であれ、絶対に勝つ。倒れてもいいから」

 ◆1次リーグ1位通過について中村(近鉄) 「これからは負けは許されない。目の前の一戦だけに集中する」

 ◆二回に先制打の小笠原(日本ハム) 「先取点が大事だし、いいところで打てた」

 ◆イタリア合宿中のけがでこの日が初出場の木村拓(広島) 「中畑さんが気を使ってくれた。感謝したい」

 ◆六回に左前に渋い適時打を放った谷(オリックス) 「ラッキーだった」

 ◆九回を三者連続三振に抑えた小林雅(ロッテ) 「きょうは珍しくコントロールが良かったかな」

★スタンドに家族ら40人

 1次リーグ最終戦には選手の家族や関係者もスタンドに集結した。中畑ヘッドは「40人ぐらい来ているみたい。きょうは家族とリフレッシュすればいい」と試合後は家族との食事会が開催された。「ここに来た意味合いはこれから。本当のスタートはこれからです」と同ヘッド。

★小早川毅彦★

 準決勝の相手は豪州に決まりましたが、決勝は日本とキューバで戦っていると予測しています。

 決勝ではキューバは左投手を先発に立ててくるのでは。予選は好調だった日本打線ですが、対左投手は、左打者はもちろん、中村、谷、和田一といった右打者もインサイドのひざ元をうまく攻められ、内の意識が強いためか、体の開きが早いような印象があります。

 キーマンは、打者では3試合連続本塁打の高橋由。投手では岩瀬、石井弘の左のリリーバー。決勝トーナメントに進んだ3カ国はいずれも長打力のある左の好打者がいます。どの場面で先発から左にスイッチするか、首脳陣の判断も重要です。

 スーパースターばかりの日本代表が、好機できっちりバントで送るなど、日本では見られない作戦も忠実にこなしています。日本のプロ野球のプライドを守りたい、との思いがそうさせているのでしょう。戦いである以上、勝利を求められていますが、金メダルを獲得しても「おめでとう」ではなく「ありがとう」、また敗れることがあっても同じ気持ちで、ラスト2試合を見守っていくつもりです。

サンケイスポーツ専属評論家



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