由伸燃えた! 同点2ラン&決勝ヘッドスライディング
長嶋ジャパン、金見えた! 日本が野球1次リーグ第6戦で、台湾に延長十回サヨナラ勝ち。高橋由伸外野手(29)=巨人=が同点2ランを含む3安打の大活躍を見せた。日本は5勝1敗として決勝トーナメント進出が決定。22日のギリシャ戦で、1次リーグ1位通過を目指す。〔写真:延長十回、サヨナラの生還を果たした高橋由は、和田と抱き合って絶叫。長嶋ジャパンが歓喜に揺れた=撮影・塩浦孝明〕
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何という激闘、何というドラマだ。延長十回一死満塁。小笠原の浅い左飛に、三走・高橋由が猛然とホームに突っ込んだ。激走する高橋由を背後から返球された白球が追う。「無意識のうちに頭から行っていました」。執念のヘッドスライディング。高橋由の両手がいち早く五角形のベースに到達すると、ジャパン戦士がグラウンドで歓喜の輪を作った。
日本は勝てば決勝トーナメント進出。逆に敗れれば1次リーグ1位通過の可能性が極めて低くなる。台湾も負ければ1次リーグ突破が絶望的。過去2度の五輪(84年ロス、88年ソウル)で日本と延長戦を演じたアジアの盟友は、キバを剥いて襲い掛かってきた。
三回、中5日の上原から4番・陳金峰が先制3ラン。逆に日本打線は台湾先発・王建民(米大リーグ、ロッキーズ傘下3A)の前に六回まで散発5安打と沈黙した。体感気温40度超の猛暑と午前10時半のプレーボール。「条件は相手も同じ」(高橋由)だが、試合終了まで直射日光が燦々と照りつけた三塁側の日本ベンチは明らかに不利な条件だった。
漂い始めた沈滞ムード。傾きかけた流れを長嶋ジャパンに引き戻したのも高橋由だった。七回、1点を返し、なおも一死二塁で左翼芝生席へ2試合連続となる同点2ラン。クールな高橋由が一塁を回ると、右手を突き上げ、雄たけびをあげながら、ダイヤモンドを1周した。
イタリア合宿中から外出を控え、時間さえあれば、DVDで自らの打撃フォームと対戦国を分析。上原らとの野球談義にも花を咲かせてきた。日本と違い反発力の小さい大会球と真っすぐで押す投手の多い国際試合。グリップエンドを公式戦以上に余らして握ったのも、豊かな国際経験のなせる業だった。
「何とかしたいという気持ちだった。(1次リーグ突破で)先が見えたというか、僕らはずっと見続けてきましたから」
おぼろげだった究極の目標が今や手の届くところまでやってきた。脳梗塞(こうそく)のため日本国内でリハビリ中の長嶋監督に心で誓う、金メダルまで残り3試合。ヨシノブのバットがカウントダウンの号砲になる。
★小笠原が何とかしてくれた
延長十回、サヨナラ犠飛を放ったのは小笠原(日本ハム)だった。ここまで打率.176と奮わず「何とかしたかった」というだけに、うれしい様子。「ヨシノブがよく走ってくれた。向こうも必死だし、苦しい試合だった。でも集中していたし、みんなで勝った試合ですよ」と喜びを爆発させていた。
★ノリ絶妙バントでサヨナラおぜん立て
5番の中村(近鉄)が延長十回無死一、二塁で三塁前に絶妙の犠打を成功。サヨナラ勝ちをおぜん立てした。「個人的にも絶対したる、と思ったらサインが出て助かった。勝つことが優先やからね。でも、ドキドキした」。イタリア合宿中の親善試合でも犠打を決めたノリ。勝利に貪欲(どんよく)だ。
★上原3ラン浴びたが粘った
五輪開幕投手の上原(巨人)が中5日で登板。三回に3ランを浴びたものの、粘りの投球で7回を投げきった。マウンド上で時折、右手のツメを気にするしぐさも見せていたが、「内容なんてどうだっていい。勝てばいいんだから」と帰りのバスに乗り込んだ。
★福留超美技ダイビングキャッチで救った
福留(中日)が連日の美技でチームを救った。七回二死一、二塁で2番・黄の右中間への打球をダイビングキャッチして失点を防いだ。「1点でもやれない場面。上原さんも頑張っていたし、行けると思って突っ込みました」。2年連続ゴールデングラブ賞の実力を見せ付けた。
◆長嶋茂雄監督(68) 「きょうは何も言うことはありません。諸君たちのひたむきな姿を見られてとてもうれしい。誇りに思います」
(長男・一茂氏を通じて代表にファクスでメッセージ)
◆台湾に辛勝し、1次リーグ突破を果たした中畑ヘッドコーチ 「しびれたなんてモンんじゃない。これが野球だな。ヨシノブもよく打ったし、上原も粘ってくれた。今後も彼らは絶対にやってくれるよ」
◆延長十回一死二塁をしのぎ、サヨナラ勝ちで五輪2勝目の黒田(広島) 「(ガッツポーズは)1点勝負なんで、自然に出ました」
◆先発の上原について城島(ダイエー) 「先に3点は取られたけど、それで崩れないのが上原さん。あれがあったから勝てたと思う」
★小早川毅彦★
なんとか勝って決勝トーナメント進出を決めることができましたが、力の差は日本が上なのは明らかでも、野球というスポーツは先制点を許し、後手に回るとすごく苦しくなることを選手も実感したはずです。
また、前日の和田、この日の上原と各回の先頭打者に対し、球が浮いたり、変化球が抜けたりとずいぶん苦労していました。日本では攻撃のときに、投手がベンチ前でキャッチボールをすることができますが、国際ルールでは打者と次打者しかグラウンドに出ることが許されていない。暑さもあり、投手はウオーミングアップが足りなくても、十分肩が温まった気になるのでしょう。
この日は六、九、十回と先頭打者を出塁させ、九、十回は犠打で走者を送られました。二塁に走者がいれば、打ち取った当たりでもポテンヒットで生還され、それで試合を落とす可能性もある。日本も十回には城島、中村にバントのサインを出しましたが、決勝Tではどのチームも1点勝負の戦い方をしてくるはず。バッテリーはより先頭打者に注意を払い、出塁を防がなくていけません。
(本紙専属評論家)
★決勝トーナメント★
8カ国・地域による1回戦総当たり方式で1次リーグを行い、上位4チームが決勝トーナメントに進出。まず準決勝で予選1位vs同4位、同2位vs同3位が対戦。勝った2チームが決勝に進み、敗れた2チームが3位決定戦を戦う。
★台湾は1次敗退
台湾は米マイナーリーグ組の奮闘も実らず、2勝4敗で1次リーグ敗退となった。今季ドジャースで出場経験がある陳金鋒が先制3ランを放ち、ヤンキース傘下3Aの王建民は先発で力投したが「(高橋由の2ランは)球が高めにいってしまった…」。ロッキーズでプレー経験のある曹錦輝は延長十回一死満塁のピンチで無念の降板。「九回に右手中指を痛めた。何とか投げたかったが…」と悔しがった。
(共同)
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