和田毅圧巻ピッチ 7回無失点で曲者カナダ封じる
長嶋ジャパン圧勝!! 野球1次リーグ3勝1敗の日本は、4戦全勝のカナダと対戦。9−1で4勝目を挙げ、単独トップに立った。先発の和田毅投手(23)=ダイエー=が7回3安打無失点の好投を演じれば、打線も高橋由伸外野手(29)=巨人=の先制2ランなど、3発11安打9得点の大爆発。1次リーグ1位突破はもちろん、悲願の金メダル奪取にも大きく期待が膨らむ、会心の勝利だ。〔写真右:和田毅は7回無失点と好投。カナダ打線を封じ込んだ=撮影・塩浦孝明。同下:クールな男が絶叫!! 日本は一回、高橋由が先制2ランを放ち、試合の主導権を握った=共同〕
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切れ長の目がキラリと光った。七回二死から7番・ラドマノビッチを見逃し三振。3安打ピッチングの和田は、悠然と三塁側ベンチに向かった。
「もう少し投げたかったけど、次もあるといわれて…。打線がこれだけ点を取ってくれたのが一番。緊張したけど、いい意味で楽しめました」
開幕5試合目でようやく巡ってきた先発マウンド。内角への真っすぐが投球の幅を広くした。先発打者9人中8人が左打ちのカナダに対し、18日のカナダvsギリシャを視察した正妻・城島は内角球を積極的に要求。ダイエーで培った信頼関係が、大胆な配球を生み、得意とする外角スライダーの威力が増大した。7回降板までゴロアウトはわずかに3。三振と飛球の多さが和田の好投を物語った。
18日の豪州戦でまさかの黒星。宿舎ホテルに帰ると長嶋監督からのファクスが届けられていた。『私は敗戦を悲観的に見ていない。リフレッシュに努めて、反省しないように。真っ白な気持ちで(カナダ戦の)グラウンドに立ってください』。チームは19日の休養日を利用して古代遺跡・アクロポリスを観光。歴史好きな和田も「どうしても見たかった。すごく感動した」と世界遺産のパルテノン神殿を堪能した。悠久の歴史に自分を重ね合わせたエース左腕。自らの手で、日本野球に新たな歴史の1ページを刻む決意を固めた。
マウンドで奮投した和田を攻撃陣も強力にサポートした。一回に高橋由が中越えに特大の先制2ラン。「和田が頑張っていたから、少しでも助けたかった」とチーム愛を強調した。スイスイと投げ込む和田に触発された打線は、五回まで3発を含む毎回の8得点。守備でも高橋由や福留が美技を連発させ、ガッチリと歯車がかみ合った。
「予選(1次リーグ)を勝ち抜くことが目標じゃない。一番いい色のメダルを獲ることです。次もこのピッチングを続けていきたい」
8・25決勝でも先発が濃厚な背番号「21」。チームは1次リーグ4勝目を挙げて、当該対決の結果から単独トップに立った。1位通過による決勝トーナメント進出はもちろん、金メダルの夢も広がる白星。アテネの強烈な西日を受け、和田の白い歯もキラリと光った。
★谷は完ぺきスイングで1号
谷(オリックス)が二回、左翼へ1号ソロを放った。「完璧(かんぺき)でした。調子は徐々に上がってきた。1つ(豪州に)負けて、きょうは絶対に負けられない試合でしたから」。アトランタ五輪出場など国際経験の豊富さを大一番で生かした。
★福留打って刺していい仕事
福留(中日)が、1番打者の役割を全うした。一回に四球で出塁して先制機を演出するなど3打数2安打。守備でも六回に右越えの打球を処理し、自慢の強肩で二塁封殺に仕留めた。「一回の出塁が大きかった。(守備は)打球の勢いとフェンスの跳ね返りで狙えるかなと。(決勝まで)あと4つ全部勝ちます」と言葉に力を込めた。
★初登板の小林雅、1失点も収穫アリ
守護神・小林雅(ロッテ)が、9−0と大きくリードした九回に初登板。いきなり2安打され1点を失ったが、最後は空振り三振に仕留めた。「ストライクを取りに行き過ぎたかな。まあ、1試合投げられて、感覚がつかめた。最後がいい形で終われたから」と収穫を強調していた。
★長嶋監督コメント★
快勝でした。流れを引き込む意味でも由伸の先制パンチは大きかった。攻撃面に関してはベンちゃんのホームランで勝負あった。
一方、先発・和田君もいいリズムで投げていた。あのリズムだと守りやすいし、攻撃のときのリズムも作れる。ナイスピッチングでした。その後の岩瀬君も素晴らしかった。相手につけ入るスキを与えていない。小林君は点を取られはしたけども、初登板を終え、落ち着いたことでしょう。次に向けて修正してください。
きょうで5試合目。諸君たちは今まで経験したことのない充実した毎日を送っていることと思います。これは野球人として最大の喜びです。
残り4試合。これからが本当の正念場になるでしょう。先発メンバー以外の選手たちも、いつでも行ける準備は常にしておいてください。一寸先は何が起こるかわかりませんから。
日本代表監督 長嶋茂雄
追伸「きょうはいつもより興奮して見ていました」一茂
◆1次リーグ4勝目に中畑ヘッドコーチ 「理想的なゲーム展開だった。(18日の)豪州戦の屈辱的な敗戦があった中で、和田と高橋由がジャパンにいい流れを持ってきてくれた」
◆先発の和田毅について大野投手コーチ 「(日本が)先制するまで我慢して投げてくれと伝えていた。その中で理想的な投球をしてくれた」
◆和田毅をリードした城島(ダイエー) 「スライダーが一番いい球に見えたかもしれないけど、内角の真っすぐがすごく効果的でした」
★カナダは試合前リラックス、試合後シュン…
試合前のカナダは超リラックス。赤いTシャツに黒の半ズボンで登場したカナダは、日本の練習中にもかかわらず右翼でアップを開始した。18日のギリシャ戦に先発したスポルジャリックも「われわれのチームは偉大だ。メダルのチャンスは十分にある」とコメント。メジャー経験者15人を擁し、開幕4連勝を飾った余裕にもみえたが、試合後はシュン…。
★小早川毅彦★
日本が全勝のカナダを倒し、一方、台湾がイタリアに敗れ3敗となったことで、日本の決勝トーナメント進出が有力となりました。これで上原、松坂、和田と日本が誇る3本柱もすべて登板しましたが、絶好調だった松坂は別格としても、上原、和田も文句のない状態に見受けられました。
18日の豪州戦では「打者はミート中心」という事前のデータと異なり、内角の直球でもガンガン振り切ってくる打線に城島が相当戸惑ったようです。それだけに夜は球場に出向き、自身の目でカナダ打線をチェックしていた。決勝トーナメントは1度戦った相手だけに、城島もリードしやすいでしょう。
準決勝の相手が豪州、カナダなら先発は和田でいい。球威がそれほどないだけに、ボール先行になると一発を浴びる危険がありますが、この日のカナダ打線のタイミングのズレを見ていると、和田のようなタイプとは対戦経験が少ないからか、1、2度の対戦では対応し辛いはずです。
相手がキューバなら再度、松坂のほうが確実です。もっとも、松坂の腕の回復具合が心配なだけに、できれば決勝まで間隔をあけてあげたいところです。
(サンケイスポーツ専属評論家)
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